第13羽 一筋の光
読んで頂き、大変ありがとうございます。
「チャコ~おはよう!今日はキングヒュドラスって言う、とても恐い魔獣を退治しに行くから、チャコはお留守番よ。」
「‥‥ミィ‥‥(知ってる。)」
「えっ?何でって?凄く危険で、チャコになにかあったら大変だから、連れていけないのよ。」
「(ズキン!)‥‥ミャ‥‥(‥勝手にしろ。)」
「それじゃ行って来ます!」
「‥ミャー‥(‥好きにしな‥)
朝一番にギルド討伐隊に参加した私マリアは、ここから北に2日移動したところにあるグルーペ村へ向かった。
途中野宿をして、2日目の夕刻に村へ到着した私達一行は、この村で一晩泊り翌朝ここかは半日、森を抜けたキングヒュドラスの出現地に到着した。
キングヒュドラスの火炎弾のせいか、森は焼け辺りは焦げ臭ささで充満している。
今回、リーダーでAクラスの冒険者ユーリさんが、
「全員!そろそろだぞ!打ち合わせ通りに!行くぞ!」
焼けた森を抜けた荒れ地に奴はいた。
馬ほどの大きさの岩が、等間隔に地面から三つ並んでいる。
一見すると岩。ゴツゴツとしたトカゲの頭。
前部の鼻が僅に動いている。
奴だキングヒュドラス!
初手として、私を含めた魔法職がファィアボールと、狙撃手の弓使いが火矢を放った。
その攻撃に起きた奴は、体を地面から出し叫び声を上げた。
「ギャーアアアアスー!!」
とても大きい!2頭匹馬車の5台分はある。
次に投げ槍と投石、怯んだ隙にファィアボールと剣士職の攻撃。
「仲間に当てるなよ!行けえっ!」
キングと名が付くだけあって、全然応えている様子は無い。
魔法による攻撃が効かず、皮膚が硬いため剣での攻撃も効果は薄い。
麻痺や暗視魔法も無意味。
そこで、1人の獣人リールさんが前に出て、
「これでも喰らいな!ゴルゴンの盾!」
左の頭から首にかけて石化に成功!
誰もが、「行ける!!」
そう思った瞬間、石化は解けた口から炎を吐き出した。
その時、薄曇りの空が暗くなり雨が降りだしだ。その雨は徐々に強くなり、どしゃ降りとなった。
足場はぬかるみ、雨が私達の体力を削ぎ落として行く。
口には出さないが、
「無理だ。」
そんな諦めの空気が漂い始めつつ、キングヒュドラスの攻撃は続き益々威力が増して行く。
私も魔力の底が着き始め、杖を使い立っているのがやっとだった。
でも、私は窮地にいても、
「宿屋のおばちゃんに、ご飯貰えてるかな?
チャコ‥‥。」
そんな事を考えたの。
それは突然起きた。
私達とヒュドラスの間の地面から蒼白い熱光線が突き出たの!
けど、それは違った。
空からだ!大きな翼を持つ魔獣が放っていた。
その光線はヒュドラスの前を真っ直ぐ横切り、後には深く抉れた直線の深い溝。
あたかも、これ以上前へ出るな!と言わんばかり。
熱光線に、身の危険を感じたキングヒュドラスは後ろに下がり、空の熱光線の主を目で追っている。
雄大な存在感を放ちながら、翼の魔獣が私達の前、線の向こう側へ降り立ったのよ。
とても悠々強い鷲の翼を広げた獅子。
全身薄茶色の毛に濃い茶色の鬣
ライオン。
まるで、私達を守るために降臨した魔獣‥‥いや!神が遣わした聖獣様!
「ガオオオオオオオオオオオオー!!!」
空気が震えた。
一瞬、怯んだキングヒュドラス。たが奴もキングの名を持つ物。三つの口から火炎を獅子に放つと、同時に獅子が口から熱光線を真横に放ち、キングヒュドラスの首を三つ共跳ね、更に縦に光線を放ち胴体を真っ二つ。
決着は着いた。
獅子の圧勝。
厚い雲に覆われた空の隙間から、一筋の光りが獅子に降り注いだの。
その光りを浴びた獅子の体が様変わりし、全身白い毛並みに、エメラルドグリーンの鬣。
首には宝石が散りばめられた首輪の様なネックレス。四肢の足首には細工の細かい金の足輪。
尻尾の根本と先にも金の腕輪。
正に聖獣。
何処から途も無く声が響いて、
「諦めるな。人間よ勇敢であれ。」
その声に皆が皆な、涙を流し手を合わせいる。
辺りが明るくなると、茶色のライオンに戻った聖獣様は翼をはためかせると、何処かへ飛んで行ってしまった。
「と言う事があったのよ。凄いでしょう?チャコ。‥‥ちゃんと聞いてるのチャコ?」
「ミャー‥(うっせえな!)」
「又、お眠かな‥?ハゥワァ~~私も寝る‥‥おやすみチャコ‥‥」
「ミィ~‥」
俺も疲れた。
おやすみ マ リ ア。
生暖かい目で、宜しくお願いします。
よい週末を。