第12羽 自分の心配
読んで頂き、誠にありがとうございます。
最近イライラする俺。
200年以上生きている俺は、誰もが恐れる存在だ。
それなのに、たった1人の人間に、しかも人間の女に振り回されている自分に気が付くと、無性に腹が立つ。
自分に呆れる。
下らん‥‥。
何故だ?何んでだ?
時々、女‥‥マリアの言葉を聞くと、自分の心に棘か刺さり痛くなる。
振り回され、気に掛ける事で痛みが無くなる‥‥
‥‥馬鹿馬鹿しい。
俺は天空の覇者、聖獣シャルベーシャ様だ。
「チッ!止めだ!止めだ!」
そんな事を考えている自分に又、腹が立ちイライラする俺。
これからどうすべきか?
逸その事、俺の正体を晒し恐怖で女を支配するか?
確か、契約相手が死ねば無効になったはず‥‥‥(チクッ)
‥‥又だ。
分からん‥女の事を考えていると、胸が痛い‥‥
尖り帽子の定位置にいながら移動中、そんな事を考えていた。
何時もの様にマリアがギルド支部に着くと、ギルドの中が人でごった返している。
「参加者は、裏の倉庫前に集まってくれ!」
知り合いを見付けたマリア。
「あっ!リズさん、おはようございます。これ何の騒ぎですか?」
「おはようマリア。何でも北の山にキングヒュドラスが現れて、領主のオロム様が150人の兵士を派遣したら、逆に返り討ちに合って63人にしか帰ってこなかったらしいのさ。」
「それで、ギルドに依頼が‥‥」
「そう言う事さ。参加者全員銀貨3枚。討伐達成は1人金貨5枚の大盤振る舞いさ。」
「相棒のためにも、私も参加します!」(チクッ)
キングヒュドラス‥‥三つ首ドラゴン。
普段は土の中に潜り、夜に這い出し獣を捕食する、翼が無く飛ばないドラゴンだ。
奴の力量なら、最低でも兵団500人は必要だ。
たしか、ランクの低い魔法は完破したな。
倉庫前に集まったのは、約70人の冒険者達だ。
「皆、この書類にサインをしてくれ!明日の早朝町の入口で集合したら出発だ!」
当然、マリアもサインをして銀貨3枚を受け取った。
「チャコ~これで暫くチャコのご飯の心配しなくて良いからね~。」(チクッ)
何故、俺の心配をする?
俺は超強いから心配無用。
自分の心配は誰がするんだよ!
‥‥チッ!たっく‥‥
生暖かい目で、宜しくお願いします。