第10羽 新魔法
読んで頂き、ありがとうございます。
残りのパーティーメンバーの怪我も大したことは無かった。
討伐部位の右耳を切り落とし、屍は綺麗に焼いていた。
ロックゴブリン2匹は、マリアとリーダーに、他の10体は4と4のEだ。後は1と1に分けてマリアとリーダー。
皆、笑顔だ。
奴等の残党がいる可能性を考慮して、もう一晩牧場の見回りをするらしい。
俺の索敵魔法の範囲を広げても、ゴブリンは見受けられん。
暇猫の俺。
相変わらず、休憩時間は俺にチョッカイをかけてくるマリア。
「チャコ、その隠れてる小さい羽で飛べるの?」
「ミィー」
飛べるけど飛ばないよ。
「チャコ、レベル上がったかな?」
「ミャー」
知らねえ。
「ミー」
腹へった。
「お腹すいた?今ご飯にするね。」
出されたのは、牧場だけあって新鮮な牛乳。
その中に、固かっただろうパンがフヤケテ入っている。俗に言うオートミールだ。
食べてる様子を、微笑みながら見ているマリア。
夜になり、何事も無く朝を向かえて町に帰る事になった。
「よし!トリドスに戻るぞ!」
町までの道中は、歩きながら反省会をしていた。
口火を切ったのはリーダーだ。
「まさかロックゴブリンが2体とは‥」
「全部で12って‥話が違いすぎ!」
「まあまあ、結果よければオーライさ。」
「けど、あの蛇見たいな雷って何だったんだ?」
「あれ、マリアがやったの?」
「滅相もないでござる!?」(ショコタンか!)
心の中で一応ツッコむ俺。
「不思議ですね‥あれチャコがやったの?」
「ミャ~(そう!俺!)」
「違うわよね‥‥恐らく、土地神様のライオンですよ。」
「ライオンって‥あの獅子か?」
「はい。大きな鬣が見えた気がします。」
「ライオンか‥‥」
マリアが土地神と言い、皆が納得していた。
昼には町に着き、ギルド支部へ向かった。
討伐完了報告と、依頼時の調査不足により、固体数のクレームを付ける一同。
その為、追加料金の上乗せがされ、皆が笑顔に変わり一件落着。
どうやらマリアはレベルが17になったらしい。
「チャコ、へへへへぇ~レベル上がったよ。
(ブチュッ!)」
「ミャー」
オデコにチュウをされた俺。
「宿屋へ帰ろっかチャコ。」
宿屋の食堂で早めの晩飯をたべた。
焼き鳥だった。旨い。
着替えてもせず、突っ伏し溶けるように寝るマリア。
次の朝。
熱を出し魘されているマリア。
半日もすれば治るだろう。
新しい魔法が発現する時、何時もこうなる。
血の契約の時、彼女の記憶の一部にあった。
知ってはいるが、少し心配な俺。
‥‥いや‥‥全然心配てない俺!‥俺だ‥‥。
夕方。
「おはよう~!チャコ‥!?‥あれ?まだ朝?」
寝過ぎると、時間感覚が麻痺し時々、夕日を朝日と勘違いする。
普通、新たな魔法を覚えるには修行を積み重ね覚え、理を詠唱し具現化させるが、
マリアは違う。
勝手に体内の血から新魔法が発現して、無詠唱で具現化できる。
例えば、
「我に集え炎の民よ、我に従い敵を打て。
ファィア!」
だが、マリアは一言。
「ファィア!」
ヤクシニーの血族が成せる技だろう。
「先ずは、朝ご飯にしましょう。チャコ。」
「ミャー」
元気なマリアを見て安心な俺。‥‥?
何故、安心する?‥‥してない!‥‥安心なんかせん!‥‥ただ‥‥腹が‥減った‥‥そう!それだ!‥腹が減ったからだ!‥断じて、安心なんかしてないぞ!‥‥‥‥して‥‥ないよ。
この日の夜。
ふざけたマリアにより、尻尾が凍った俺。
〇
マリア 女 (ヤクシニーの血族)
駆け出し冒険者 魔法職(魔女)
年齢 18才
スキル 炎 水 風 氷の魔法が得意
(魔法レベル 17)
生暖かい目で、宜しくお願いします。