表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

序章 その名で呼ぶな!

読んで下さって、ありがとうございます。

眠っ‥最低1日の3分の2は寝ていたい。

寝る事が一番の至福の時。

俺?俺は猫だ。色は茶色。

乳離れして、今は独り‥‥1匹暮らし。

ただ、普通の猫とチョイと違うところがあるんだよ。

背中にさ、羽が生えているんだ。


たまに、毛作ろいで羽を広げている姿を見た人間達は、俺の事を「猫天使」と呼びやがる。


猫の天使って、バカにされた言い方で、俺は嫌いだ。

だからさ、人間を見たら直ぐに逃げる様にしているんだ。

けど、腹が減った時は別だけどね。

人間の足にすり寄って、愛嬌を振り撒いて飯にありつく。生きる(すべ)って奴よ。


さっき魚の頭を貰って食ったから眠い。


狭くて暗い場所が好きだからさ。

そんな場所で昼寝をするため、(ねぐら)を探してうろちょろしてんだよ。


おっ、良い感じの馬車発見。

コッソリ忍び込み、暗い隙間に体を入れて‥寝る。



何時の間にか爆睡の俺‥‥


△▼△


「段ボールを切って‥手を入れて‥よし!」

二枚段ボールに細工して手を通して、翼の完成。

机の上からジャンプしたり、広げた傘を2本持ち物置の屋根から飛んだりと、ガキの頃から空を自由に飛び回るのが、俺の夢だった。

小学生になった時は、チャリンコにベニヤ板を着けて坂を走り下りたり、何時か自力で空を飛ぶ夢を追い続けた。

中学に上がった時、空を飛ぶ夢が突然潰えた。

小児性ガンてやつだ。

そんな時でも良く見る夢は、電信柱の上に立ち、空に向かって飛ぶ夢だ。


発覚して半年の中2の夏、人間としての俺は空への思いを抱きながら、その人生の幕を閉じた。


と思ったら、

「よくきたね。」

妙にフレンドリーなオッサンが話し掛けてきた。

「ここって‥?」

「皆は、天国と呼んでる場所だよ。」

天国‥ヤッパり俺は死んだんだ。けど‥

「貴方は、神様?」


「神の端くれのマルコだ。宜しくね。」


「あっ、俺は‥‥」


「知ってるよ。空に憧れを持ち、飛ぶ事を夢見る少年、高橋疾風(たかはしはやて)君だね。」

流石は神様だ。

「普通はね、そのまま天の国へ行き、再生の時を待つのだが、不運な君には違う世界で‥つまりは転生という形で、新しい人生を送って貰うべく、こおして呼んだんだよ。」


転生?‥‥例のあれ?入院中に呼んだ沢山の本の‥‥死んで異世界でヒーローに成り上がる‥あれか?


「はあ‥」

「君の空への情熱に引かれてね、次の世界では空を飛べる能力を授けようと思うんだ。」


粋な計らいだ。

俺は2つ返事で、

「是非!お願いします。」



▽▲▽



という、昔の事を夢で見ていると、


「ニャン子ちゃん‥‥チッチッチッ」


どうやら潜りこんだ馬車は、次の町までの乗り合い馬車らしく、何時の間にか眠りこけているうちに、人が乗り込み動き出していたんだ。


その中の1人の女の娘が、俺を見つけた。

黒いローブに尖り帽子、手には杖の魔法使いだ。

「ニャン子ちゃん、お腹空いてない?」


丁度、小腹が減ったので、

「ミャー」と子猫らしく鳴いてみた。


女の娘は、鞄から干した肉の欠片を、俺の鼻先に置いてくれ、俺は美味しく頂いた。


「ニャン子ちゃんは、名前ある?」


我輩は猫である。名はまだ無い。


「答える訳は無いよね。」

「ミャー」


「茶色だから、チャ太郎‥‥チャ助‥‥チャチャ丸‥‥チャ色のニャン子だから、チャコね!私はアンナ。駆け出しだけど冒険者をしている魔法職のアンナよ。宜しくねチャコ。」


人間て奴は、なんて安易なんだ。

しかも俺はオスだ!

毛色だからチャは分かるぜ。何故、コ を?

気に食わなん。

(しかし俺はこの後、このヘンチクリンな名前で大変な事態になって行くとは、この時はまだ知らない。)


とは言え、次の町までの辛抱だ。我慢我慢。


ん?馬車が止まった。

既に囲まれている‥‥


「大変だ!ハンタードックの群れだ!」

ハッキリ言って、ハンタードックは雑魚だ。

1、2匹なら石コロでも何とかなる。

しかし、群れとなると別だ。

群れを統率してるリーダーを倒さない限り、爪が鋭く尻尾から放たれる針で厄介な事になる。


何でそんなに詳しいかって?

冒険者ギルドの中にある、酒場が俺の塒の1つで、色んな魔物の話しが入ってくるから、情報には事欠かないのだよ。


暇潰しに外を覗くと、ハンタードックが20匹はいる。

コッチは、

御者と冒険者の護衛が二人。俺に干し肉をくれた娘と、乗客が8人。

護衛の冒険者がベテランなら、何とかなるんだが‥‥ありゃダメだ。

あの数を見て完全にビビってる。

時間の問題だ‥‥


おっ!干し肉娘が加勢に出たな。


「こっちは私が!フアィア!!」


結構やるね。頑張れ頑張れ。

けど、群れの後ろに居る黒いボス犬を倒さないとなぁ‥‥


その時だった、馬車の後ろから顔出してた俺に、ハンタードックの流れ針が飛んできた。

警戒態勢をとる瞬間、干し肉娘のマリアが俺を庇い右の肩に針をくらった。


バカな娘だ。この俺の盾になり自ら進んで針を受け止めるとはバカだ‥‥

「チャコ‥良かった‥‥無事ね‥クッ‥」


だが、その真っ直ぐな心‥‥嫌いじゃない。


干し肉を貰った借りは、返さないとな。


俺は馬車の上にフワリと上がり、群れの後ろで余裕をブッこいてるボス犬に向け、奴だけ分かるように殺気を放っち、

「雑魚犬。消えろ。」

と脳に直接、言葉と

大鷲の翼を広げた巨大な獅子のイメージを送った。


ボス犬は、ガタガタ震え後ろ足の間に尻尾を潜らせ、小さく「ワン‥(撤収)」と力なく吠えると、一斉にハンタードック達は森の奥へと消えていった。


マリアは自力で肩に刺さった針を抜いたが、かなり体力を消耗しているのが分かる。

俺はマリアの胸に飛び付き、


「チャコ‥何とか追っ払ったよ‥」


じゃれる振りをしながら、背中に隠している小さな天使の羽を使い、傷口を癒してやった。


これで、貸し借りはなしだ。

「チャコこっちにおいで。」


つったく‥‥その名で呼ぶんじゃね!


暫くしたら、馬車も動き出すだろう。

マリアとも、次の町でお別れだ。


めでたし、めでたし‥だよな?




猫天使  オス


茶色い猫 

背中に天使の様な小さな翼を隠している


年齢 ?才


スキル ?

(レベル?)



マリア  女 


駆け出し冒険者 魔法職


年齢 18才


スキル 炎 水 風の魔法が得意

(魔法レベル 15)































生暖かい目で、応援して頂ければ幸です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ