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一から始める町作り  作者: 素人屋
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初めての住人

そう言って取り出したのは三冊の本だった。


「その本買ったの?」


「あぁ、そこの魔法図書館で」


「じゃあお金はもう…」


「全部使った」


「えー!本は食べられないじゃない、せっかく何か美味しいもの食べられると思ったのに…」


「塩なら買ったよ」


「さいですか…」


「まぁまぁ、この本は数週間分の食料に値するものだと思うよ?」


「と、いいますと?」


「これをご覧よ」


そういってナナシはおもむろに本を広げた本には何やら難しい文字が沢山並んでいたが、あるページを指差した。


「これ、移動術式とその構築方法」


「移動術式…ってことはもう二時間かけて歩かなくてもいいってこと!?」


ナナシは、なにも言わず少し笑みを浮かべながらコクリと頷いた。


「でもでも、移動術式って凄く複雑で上位の魔法使いしか使えないって聞いたよ?」


「それが、この本を見掛けたとき何かできそうな気がしてね、というか出来ると思う」


「ますますナナシが何者のか気になってきたよぉ」


「それは僕も知りたい」


村から少し離れた場所に移動すると早速取りかかる、魔方陣の作成、それから魔力を込める。


「これでよし、それじゃ戻ろうか」


「へ、これ使うんじゃないの?」


「残念ながら、移動先の魔方陣を作成しないと飛べないんだ、だから使うのは次の機会ってことになる」


「そんなー」


余程疲れたのか、疲れて座り込んだベルを途中で背負いようやくナナベルにたどり着いた。気がつくとベルはすやすやと背中で寝息をたてていた。起こさないようにそっと横に寝かすと早速魔方陣の作成に取りかかる。魔力を込めると薄く光を帯びて輝きだした。どうやら成功したらしいこれで移動面は解決できるだろう。


家に戻るとベルが起きてこちらを見つめていた。


「お腹すいた」


そいうえば昼、村で少し食べてから何も口にしていなかった。


「はいこれ」


「塩以外にも買ってたんだ」


「明日の分まではないから、明日また村に行ってみよう」


「うん、明日こそ誰か誘えるといいね」


「とにかく今日は疲れただろう、もうお休み」


「うん、お休みナナシ」


翌日、魔方陣での空間移動を試してみる。魔方陣の上に立つと光に包まれたかと思うといつの間にか村近くの森にたっていた。


「凄いよナナシ、ワープしたよ!」


ベルは興奮してはしゃぎ回っている。


「ワープとは少し違うんだけどね、どうやら成功のようだ」


「なんでもいいよ、これでもう歩かなくてもいいんだし」


村に行くと再び二手に別れて行動することにした。


「ナナベルで一緒に暮らしませんかー?」


しかし、一時間たっても誰も足を止めるものはいない。ベルも少し今日はダメかと諦めかけていたとき、三人の親子らしき人が話しかけてきた。


「あの、私達でもよろしいのでしょうか?」


「本当に来てくれるんですか!?」


「はい、この村で暮らしていたのですが貧乏で、夫は仕事もさせてもらえずこのままでは家族全員の垂れ死んでしまいます」


「歓迎です!少し待っててください」


その後ナナシと合流すると早速魔方陣を使ってナナベルへと移動した。


「おお、なんという、私は幻でも見ているのか」


驚くのも無理はない空間移動など、大都市にいかなければないだろうし、ましてやこんな田舎では滅多にお目にかかれないものだからだ。


「ここが、ナナベルだよ!私はベルでこっちがナナシ」


「よろしくお願いします」


「私はロンド、こっちは妻のサリナ娘のセーラです」


「これ、セーラご挨拶しなさい」


少女は、母親の後ろに隠れて出てこようとはしない。


「こんにちは、セーラちゃん私はベルお友だちになってね」


「ごめんなさいね、この子ったら恥ずかしがりやで」


「住居はこちらを使ってください、あまりいい出来ではありませんが」


「いえ、すむ場所があるだけでも十分です、それと私達にも何かお手伝いをさせてください」


「どうするナナシ?」


「それでしたら、畑の管理とあちらに川があるのですがそこから水路を引いてきてもらいたいのです」


「分かりました、精一杯やらせてもらいます」


畑の管理を任せればその間に他のことができるだろう、もう少し村での情報収集もしたいところだし。


「ナナシはもう一度村に戻るの?」


「そのつもり」


「じゃあ私はロンドさん一家に我がナナベル村を紹介するね!」


「紹介出来るほどまだ大したものはないのだが、早くなれてもらうためには重要だ、頼んだよベル」


「まっかせなさい」


どうやらここはベルに任せておいて問題なさそうだ、私は再び村に戻ることにした。薬草やらを売ったお金で、ある程度の食料と気になる書物を買いあさった。途中気になる会話を耳にする。


「なぁ聞いたか、隣の村が魔物に教われたらしいぞ」


「最近魔物が増えてるし怖いわ、この村は大丈夫かしら」


「この村は時々国の兵士様が見回りに来てくれる、だから何かあったときは応援が来てくれるはずだ」


魔物か、この近隣にはそういった類いのものがいるらしい、ましてや私達が作ろうとしている村は森のど真ん中、今まで何もなかったが、いつそういったものが出てきてもおかしくはないこれは防衛についても考える必要がありそうだ。それに国からくる兵士か…そちらも気になるな確かレイスとか言う国が統治しているとか言ってたっけ、幸い今村がある森はまだ未開の土地で他との干渉はないが今後そいつらに目をつけられる可能性もある。問題は山積みだな。物資をある程度の揃えると村に戻ることにした。

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