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5.一瞬だけなら…!

「雪姉、聞いてたよね?

僕が何してたか、知ってるんだよね……?」


リングが砕け散っている、彼の周囲には赤黒いエネルギーが渦巻いている。

部屋全体が濃いSPYエネルギーで満ちており、そのエネルギーの強さは私の肌にもビリビリと伝わって来るほどだ。


「いや!せ、静夜……?お、お姉ちゃん別に怒ってないから、ね?落ち着いて?

ほ、ほら!まずは私と少しお話しをね?」


「嘘だ、雪姉は僕から離れようとしてる、僕の姿見た瞬間顔を青くした」


「いやほら、だってそんな攻撃的なオーラ出されたらお姉ちゃんも困っちゃうから……」


「やだ、嫌わないで雪姉、僕のこと見て、目を逸らさないで、逃げないで、見捨てないでよ……」


「こ、これお姉ちゃんの声届いてないなぁ。というか威圧感が凄過ぎて軽く腰が抜けちゃったんだけど……」


「雪姉雪姉雪姉雪姉雪姉雪姉雪姉雪姉雪姉.…..」


「ひえっ」


せ、静夜って私のことそんなに思っててくれたんだぁ……う、嬉しいなぁ……

しかし実際これは笑い事ではなく、もし静夜の機嫌を損ねればこの研究所一帯ごと消滅させられてしまうという事実を忘れてはならない。

きっと私が「静夜気持ち悪い」なんて言おうものなら彼は一瞬で周囲を消しとばすだろう。

そんな状態の静夜をなるべく傷付けずに治める方法、方法……な、難易度が高い!

こ、告白でもしてみるか?

いやその先に破滅の未来しか見えない!

というか人としてダメだ!

そうだ!お姉ちゃん!私はお姉ちゃん!静夜を抱き寄せてお姉ちゃんっぽいことを言って良い話感出してこの場を収めよう!お姉ちゃんっぽいことがよく分からないけど姐様をイメージすれば何とかなるのでは!?天才か!天才だったか私!よし!これだ!これで行こう!


革命的な発想を思い付いた私は横目でハワードと亮介に合図を送る、彼等もそれに気づいた様で僅かに頷いた。


……ちょっと怖いけど、私が行かないと大変なことになる。も、もし何かあっても最悪あれを使えば何とかなる、かもしれないし……大丈夫、大丈夫、私ならできる。


そう意を決して立ち上がろうとした私の横で……


「静夜くん、君も僕と同じなんだろう?」


何故か亮介が喋り出した。


「なんですか千頭さん、僕は今雪姉と話してるんです、邪魔しないで下さい」


そうだよ邪魔すんな!

そう目で訴えかける私に彼は両目でウインクをした、できないならするな!


「静夜くん。僕には分かる、分かるよ。君のお姉さんは綺麗で美しくて……正に理想の女性だよね、君の行為も仕方ないと僕は思う」


そう言って再びこちらに向かって両目でウインクをしてくる、さっきから挑発行為なのだろうかこれは?


「千頭さん、貴方も雪姉のことが好きなんですか……?」


「恋愛する気は無いけど好きだよ、大好きさ!こんな女性はなかなかいない!」


「……恋愛する気無いんですか?」


「まあなんだかんだ言っても同性だしね、僕だって彼……いや彼女を困らせたくは無い」


なぜ言い直したのか、そして現在進行形でお前に困らされていると私は顔面に蹴りを入れてやりたい。


『嘘だ!!』


「「「!?」」」


「さっき寝ている千頭さんと雪姉が手を繋いでいた所を僕は見た!付き合っているんだろう!?僕を騙しているんだろう!?」


「ちょ、ちょっと待って静夜!それは誤解で……!」


「雪姉まで僕に嘘をつくの!?そんなに僕のことが嫌いなの!?あんなに優しかったのに!!」


あっ、私小説で読んだことあるこういうの。たしかヤンデレって言うんだよね。そうそう、怒った妹に彼女共々皆殺しにされちゃうんだよね、皆殺しに……あっ……


『千頭さんだ、きっと千頭さんに洗脳されたんだ、そうだそうに違いない、あんなに優しかった雪姉が僕に嘘をつくなんてありえない千頭さんさえ殺せば戻るはず千頭さんさえ居なければ、あいつさえ居なければ!!』


そ、そうきたかぁ……


「あ、あれ、僕こんなはずじゃ無かったんだけど……お、おかしいなぁ……」


「だから私は余計な事するなって合図したのにぃ!」


「言ってる場合かお前等!早く逃げろ!

静夜の能力は"原子破壊"!壁があろうと無かろうと完全に消しとばされるぞ!!」


「もう!亮介のバカ!

ハワード!静夜の能力の最大射程は!?」


「3000mだ!最大直径10mのレーザー状破壊エネルギーをほぼ音速で照射してくる!」


「無理じゃん!死んだじゃん!

亮介!"精神端子"使えない!?」


「え〜っと……僕のリングに触れてもらって、その状態で1分貰える?」


「貰えるわけないでしょ!ああもうどうしよう!

そうだ!ハワード!肉体強化で2人抱えて……」


「邪魔するならハワードさんも千頭さんの味方だと判断して撃ち抜きます」


「うーん……これ僕死んだな、あはは……」


「馬鹿野郎諦めるな!今から俺がこのリングを自分の筋肉だけで破壊して……!」


「それだ!それに賭けよう!って無理に決まってるでしょバカゴリラ!」


「大丈夫だよ雪姉、殺すのは千頭さんだけだから、直ぐに洗脳から開放してあげる。千頭さん程度なら1/10の出力で十分だと思うから周りに被害は出ない、だから安心して」


「雪ちゃん、僕は君のこと本当に理想の女性だと思ってた、社会が許すなら結婚したかったよ」


「諦めるなぁ!この状況でそんな告白を受ける私の気持ちを考えろばかぁ!」


亮介の突然の謎の告白に困惑しながらも私は考える。静夜の状態を見るに静夜をどうこうするのは不可能、私にバレたショックと亮介との関係の誤解で完全に暴走している。かと言ってリングのせいでハワードも亮介も能力が使えない。2人のリングに触れる余裕も貰えない。


……どう考えても打開策は1つしかない。

現状で動けるのは私一人。

衝撃と反動でどうなるかまでは分からないけど、やるしかない!


「それじゃあね、千頭さん」


静夜の右腕から音速に近い速さでエネルギーが放たれる、その場にある空気すらも分解する、ガード不可、認識すら困難な必殺の一撃。


でも、それでも、それでも私なら……


一瞬だけなら…!なんとか、なる…!

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