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いつもお読み下さり有難うございます。
また後程、加筆修正します。
ビュオォオオ!! ゴォオオオオー!!
「こーのーさーきーがー! しーれーんーのー! まーのーよーうーでーすーわー!!」
「くっ、皆、気を引き締めて行こう!」
「えーっ? すーみーまーせーんー! でーんーかー、きーこーえーまーせーん!!」
「きーをーひーきーしーめーてー、いーこーうー!」
「はーいー!」
(しかし、これじゃ、引き締まるものも引き締まらないなー)
ゴウゴウと止まない風。(時々、気まぐれみたいに弱まるが、またすぐゴウゴウと音を立てた強い風が吹いてくるんだよね)若干前屈みのような姿勢を取りつつ、向かい風に、逆らいながら薄暗い洞窟内で歩みを進める私達。
ちなみに上から私、グリストラ、クロスト、私の順で風の音に負けないようにと、かなり大声で話している。
そして、実はもう一人女子が居るのだけど彼女は体力を温存したいのか、スカートがめくれないようにと意識しているのか、会話にはあまり参加していない。
そう、現在。私は、またもや(と言うか予想通りと言うか)グリストラ、クロストと同じ班で風の精霊の試練の真っ最中だったりする。
もう一人の班員の女の子は隣のクラスの子で名前はミーナ・ロレンさんと言う。(ちなみに、前回の火の精霊の試練で同じ班だったイーラさんは、カルロスと同じ班になったみたい)
そうそう! すっごい強風なんだけど、何故かスカートは捲れないのよ、この風の洞窟内!(ミーナさんは捲れないよう気にしてるけどね!) RPGでもあるよね。何故か風に吹き飛ばされはしても、スカートは一々捲れない不思議。それを今、私は体感している。
まあ、一部RPGではイベント等で女性キャラのスカートが突風でバッサーて捲れて――…
『きゃああっ! やだぁ! ゆ、勇者様、今の…』
『み、みみみ見てない! 俺は何も見てないから! 花柄とか全然見てないからっ!』
『花柄!? み、見てるじゃない!! 勇者様のエッチーッ!!』
バチーン!!(あ。ビンタ音ね、コレ)
…――みたいのも偶にあるけど、この辺りの心配は無さそうだった。良かった、良かった。
歩くだけで大分疲れたんだけど(力入れて進まないとだし、向かい風で息苦しいし、何かやたらグリストラ達が喋ってるから、相槌打たなきゃだし)風の精霊の試練の間に入ると風はピタリと止んだ。
風でボサボサの頭になっている私達は精霊の試練の間を進む。
中央に石版のような物があり、その石版のような物に私達は魔力を注ぐ。これは四精霊の洞窟内では、どこも共通みたいで、魔力を少しだけ注ぎ込む事で精霊を呼び出す事が出来る。
そして、石版からは明るい緑色の光が溢れ出し――…
ポンッと。軽い…例えば安いシャンパンの栓を抜いた時のような(前世では安いのしか飲んだ事無かったんだよ! 今世ではまだ未成年だし!)音がした。
「いやっほー! ワシを呼び出したのは、だぁれ?」
…――緑色のサンタ帽を被った、おじいちゃんが出てきたんだけど。
え? 下級精霊だよね? 風の精霊王とかじゃないんですよね?(まあ、この四人の魔力を全力で出したところで、今のこの四人では上級精霊も呼べないよね)ここは普通、緑のサンタ帽は良いとしよう。半袖半ズボンな元気なショタっ子…いやいや、元気な男の子の容姿なんじゃないの? イメージで。
「まさかのおじいちゃん精霊!!」
「マリスティア?」
ハッ!? 思わず口に出てしまっていた! 横にいたグリストラが『どうかした?』と言いた気にこっちを見ている…!
「何でもありませんわ。私ったら、少々驚いてしまいまして、ホホホホ」
そんなやり取りをしていると。
「おー、おー。マリリン達は試練を受けに来たのじゃなー?」
フワフワと浮いた風の精霊のおじいちゃんは私の方を見ている…ような? しかし。
(マリリン、誰!!)
「ワシー、見てたもんねー。お空の髪色のお嬢ちゃんがー、マリリン♪」
(マリリン、私だった!!)
「金の稲穂の髪色のお坊っちゃんがー、グリリン♪」
「「「ぶ、ふっ…!」」」
「……ハハ」
耐え切れずに吹き出してしまった。わ、私だけじゃ無いからセーフだよね? ね?
「草原色の頭がー、クロリン♪」
「……っ」
ひー!! もう止めてくれー!! なんで、クロストは髪色と頭一緒なの!? 吹き出すどころか笑っちゃうからー!!
「それでー、お姫様みたいな髪の子がー、ミナリン♪」
お姫様? ああ、ミーナさん。そう言えば風のせいで解らなかったけど髪巻いてあるよ。おしゃれな子なんだろうなぁ。
「それじゃー、準備はいーい? 風の試練を受けて貰うよ〜?」
私達は、その言葉(何か気が抜けそうだけどね)で、気を引き締め、それぞれが自分の魔力を放出して行く。
「はい、宜しくお願い致します!」
「ええ。お願い致しますわ、風の精霊様」
「よろしくお願いしますっ!!」
「宜しくお願いします!」
精霊の試練は一年生が受けられる四精霊の場合。どの精霊の場合でも自分の魔力を見せる事から始まる。(とは言っても、魔力がはっきり見えるのは精霊とか高位の魔族だけみたいだけどね)
精霊がその人間の魔力を気に入らなかったり、あまりにも合わない魔力だと、この時点でストップ(試練終了)になる。
また他の精霊と先に契約を交している場合、次に契約を望まれている精霊から何かしらの試練が追加される――…
「んー、マリリンは水の加護もあるんだねぇー? ねー、ねー! お水! 何にも言わないで飲めるお水は出せるー?」
…――私の場合はこんな感じで。
んー? と首を傾げて問い掛けてくる、じいちゃん精霊の言葉に頷いて、私は両手を前に出し、お椀の様な形を水で作り出す。
「……(うん、器は出来た)」
そして、そのお椀の形を崩さないようキープし続け、そのままお椀に水が注がれるイメージをする。(これ、結構キツイな…)
攻撃や防御、回復とはまた勝手が違うし、詠唱は無し(何も言わないで、とは多分、そう言う意味だと思う)なので、ガリガリと魔力が削られて行くのが解る。
「わ〜! マリリン凄い〜! どれどれー? ん。うまーっ!! あっ、もうマリリンは魔力放出と、お水いらないよー! 合格っ♪ 次はグリリンねー、グリリンは―――…」
水のお椀から水をゴクゴク飲んだ、風のじいちゃん精霊は親指を立て『グッ!』とポーズを取って、合格と言った。契約を結んで貰える事になり、魔力放出を止め、維持していた水の器を消しながら。『ああー、良かったー!』と思うのだった。
「はあっ、はっ…はあ、っ」
ガクッと、片膝を付き息を切らせる。ツツーと頬に汗が流れてきて、ハンカチをポケットから取り出しササッと拭き取った。
「……(キツイ。魔力流しっぱなし、詠唱無しで水の器と飲み水出すのは……キッツイわ、ホント)」
ちらりと、隣を覗えばグリストラが試練を受けているところで。
「グリリンはー、そのままで、こん位の土のお馬さん作れるかな〜? ワシ、お馬さん見たいなー? あっ、喋ってもいーよ〜」
既に地の精霊との契約を結んでいるグリストラには、じいちゃん精霊が緑の光の玉を出し、こん位のーって言われた大きさ(サッカーボール位の大きさだ)の土で出来た馬を作るよう要求している。
うわ…詠唱可とは言え(喋って良いって言ったし、詠唱はいいのだと思う)難しそうだなぁ。
ここまでお読み下さりありがとうございます!!(久々に日刊ランキングにて33位まで上がりました。皆様のおかげです!これからもよろしくお願いします!!)




