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久々の更新です。また、時間を見つけて修正予定です。※序盤、名前だけ登場のエウラさんとの話につきましては、短めの番外編にて書く予定です。

 それから数日後。私は手作り片栗粉に関してエウラさんから聞いた話と、何とか前世の記憶を頼りに(お菓子を作っていた時に市販の片栗粉だと使い切れない事もあったから、手作りで少量作れないかなーって、調べてみた事があったんだけど――…まさかここで役に立つ日が来るとは思わなかったよね)片栗粉を完成させた。

 ちょっと記憶については、あやふやな所もあったけど、多分…大丈夫だろう。


 一旦、刻んだジャガイモを綺麗な布に包んでから絞った物の上澄みを捨てて、沈殿を待つのに暫く放置しておく作業の時。

 寮の厨房を借りて居たんだけど、何度か繰り返していたからか、もう不要な物なのだろうと思われて、親切な寮の料理人さんに片付けられそうになったり。

 最終工程まで終えた時。丁度天気も良く、部屋の外に天日干ししていた時にもサリーに片付けられかけたりして危なかったけど――…無事完成して良かったよ。







 そんな訳で更に数日後。いつも通り(…って言っても過言ではない)シャルと一緒に寮の厨房を借り、完成した片栗粉を使って早速作ってみた物。


 それは――…


 「うん、美味しい! オレンジソースも我ながら良い感じに出来たよ! あ! シャルも、よかったら食べてみて!」

 「はい、それではお言葉に甘えまして。頂きます」

 「どうぞ〜」


 …――ミルクプリン・オレンジソース掛け、だったりする。


 最近は暑い日もあるから、冷たく、ぷるぷるとした食感のくず餅とかも良いな〜と思ったのだけど、いかんせん材料が足りないんだよね。


 そして、作り方がよく解らないのも難点だったりする。(和菓子より洋菓子を作る事の方が断然多かったからね…あの子も洋菓子の方が好きだったし、喜んでいた――…え? あの子? 前にも何か思い出しそうだったような気がする。けど、誰…だった? ううーん、駄目だ。思い出せないな――…)


 「…――様? お嬢様?」

 「あっ、ごめん! ちょっとぼんやりしてた! 何?」


シャルの声でハッとなり、彼に目を向ける。


 「感想をお伝えしようと思いまして。こちらのミルクを使ったプリンですが、街等で売られている品よりも、もっちりとした食感で面白いですね。彩りもオレンジと白で綺麗ですし、オレンジソースの甘酸っぱさと、ミルクの甘さの割合も丁度良いかと思います」

 「本当!? シャルに褒めてもらえると嬉しいな! 普段は結構辛らt…いやいや、何でもない。でも、これならルチアーニ先生にも堂々と渡せるわ! 何しろ、以前マズいクッキー食べさせちゃったからねー…ん? あれ、シャル? 何でまた冷蔵庫開けてるの?」

 「いえ、あまりにも美味しかったので、おかわりを頂こうかと思いまして…」

 「え、そんなに気に入った? いやぁ、作り手としては嬉しいなぁ…って!?」


 ミルクプリンは片栗粉の量から考えて、大量には作れない。今回作ったのは、四つだけ。つまり、私・サリー・シャル・ユリアス(出来たら上げると約束したし!)の分だけなので、当然おかわり分は無い。


 「ちょっ、待って、待って!! その二つは余ってる訳じゃないからね!? サリーと先生の分だから、食べないで!? そんなに気に入ったなら、また作るから!」

 「本音を言わせて頂くなら、おかわりは頂きたいと思いましたが、ほんの冗談です、お嬢様。しかし…サリーは解りますが。何故、ルチアーニ先生が出てくるのでしょうか? おまけに以前にもクッキーを差し入れたかのように聞こえましたが? 何故ルチアーニ先生に差し入れをなさったのでしょう?」


 シャルは、うっすらと笑みを浮かべてるんだけど何でかな? 少し寒い気がするよ?


 「何だ冗談か…びっくりした。でも、気に入ってくれたなら嬉しいよ。うん? ああ、今回片栗粉を作るのにジャガイモを分けて貰ったの。その流れで、お礼も兼ねてね、片栗粉を使ったお菓子が出来たら先生にもお持ちしますー…って話になったんだよ」


 しかし、片栗粉の残りがあまり無いし、他のお菓子にも使いたいから、一個か二個ってところだけど。また今度、いつも厨房まで着いてきてくれるシャルへのお礼にミルクプリンも作ろうと思う。


 「ハァ、解りました。それで、マズいクッキーとは?」

 

 あ、やっぱり聞くのね? 


 「少し前に、寮と学園の厨房を借りてクッキーを焼いたんだけど…片方は生焼け。片方は砂糖入れすぎて固くなちゃったクッキーをどうしたものかと思っていた時、食べるのを手伝ってくれた? みたいで。だから、差し入れした訳じゃないよ。ははは…」


 わざわざ失敗したクッキーを差し入れとかしないよ? 嫌がらせ以外の何物でもないよね。


 「? クッキーを私は頂いた記憶がありませんが?」


 ん? ああ、そっか。シャルやサリーにも試作品を食べて貰っているから、気にしてくれたのかな?


 「いや、シャルも食べてるよ? そのクッキーね、寮に持ち帰ったんだよ。それで、厨房を借りて、生焼けのは形を崩してから、きちんと火が通るように焼き直して、固くなってたクッキーと一緒に細かく砕いて。その上にチーズクリームを塗って、フルーツを乗せて冷やしてタルトにしたやつ」

 「ああ…確かに、お嬢様とサリーと三人で頂きましたね。あれがそうだったのですね」


 シャルは納得したようで頷いていた。

 

 「ふふふっ」

 「お嬢様? 何故笑うのですか? どうかしました?」

 「いや、シャルがそんなにお菓子が好きだったなんて今まで知らなかったなって。普段済ました顔をしている分、意外だな〜ってね」


 そう言えば、シャルは一瞬きょとんとした表情を見せた後。


 「…まあ、今はそういう事にしておきましょう」


 …――と。ほんの少し口元に笑みを浮かべながら、小さく笑って見せたのだった。


ここまでお読み下さりありがとうございます…!!

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