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4―シャル―

また後に改稿します…!

 私の名は、シャル・ウィングスと申します。グリンベルグ侯爵家、長女。マリスティア様付きの執事をしております。今から少しばかり、どうぞ私の話にお付き合い下さい――…


 



 私は騎士の家系の六男に生まれた。祖父が今の私位の時に起きていた隣国との戦時中、先々代の国王陛下の御命をお助けし、他に騎士としての功績が認められて。祖父の代から国王陛下より子爵位を賜った騎士の家の出で今年、二十二歳になる。


 魔法学園在学時。家の方針で剣も習っては居た事から魔法騎士になる事も少しは考えたが、やはり自分には合わないなと思い、騎士への道は進まなかった。(団体行動とか堅苦しくて、苦手だったんですよねぇ…まあ、それは今もですが。それに、男ばかりでむさ苦しい事も解りきって居ますし…。ああ、絶対嫌です)


 幸いにも。私は爵位を継ぐ立場にも、領地経営に携わる立場にも当たらなかった為、比較的自由にさせて貰ってきていた。騎士への道も兄弟の三人が進んでいたので充分だろう。


 …――それにしても。私は卒業後、何がしたいのだろうか?


 そんな風に、進路を考えていたところ。


 丁度、学園に来ていた求人募集で、グリンベルグ侯爵家にて執事とメイドを若干名募集して居るという貼り紙を見つけた。


 本来。人に仕えるのは嫌いだが…研究や魔法機関での仕事にも全く興味が湧かなかった。

 とりあえず、求人募集の中で一番待遇が良かった、というだけの理由により、私は十八歳からグリンベルグ家に執事見習いとして入り…(試験ですか?勿論ありましたよ。項目は、学力・マナー・魔法…でしたね。余裕で合格しました。これでも一応、学園では首席でしたので)


 見習いを終えた、十九歳からは長女であるマリスティア様付きの執事兼従者を勤めている。


 …―見習いの頃。マリスティア様を遠目に見て、当時マリスティア様に付いていた執事やメイドに『子守り、大変ですね。お疲れ様です』と、よく思ったものだ。


 当時のマリスティア様と言えば。それは、もうプライドが高い上にワガママ。そしてキャンキャン煩い。

 けれども。婚約者の第二王子。グリストラ様の前では礼儀正しく淑やかな振る舞いをしていた。その辺はしっかりしていて、流石、侯爵家の娘だなと思った。


 まあ、遠目に見ている分には構いませんがね…などと思っていたら。翌年からマリスティア様付きの執事が私になるとか、何の冗談かと思いましたけど。


 意外にも、バカな…失礼。“何とか”な子ほど可愛いと申しますか、私はお嬢様付きになった事を段々嫌には思わなくなって行きました。

 遠目からでは解からない事もある、という事が解りましたし、お嬢様も徐々に落ち着きが出てきましたし。


 さて、長くなりました。


 最近、お嬢様の様子がおかしいのです。


 先日も突然、私に紅茶の淹れ方を教えて欲しいと言ってきたり。(第二王子に紅茶を淹れて差し上げたいとか、言ってましたが…あれは嘘ですね。普段の様子を見ていれば解るものです…ですが、少々面白くありませんでした。まあ、教えないというのも大人げないと思い、お教えしましたけどね)


 また、別の日には…


 「シャル。この手紙をミレーヌ叔母様まで出したいのだけど…」

 「それでは、すぐお届けするよう使いの者を手配致します」


 ミレーヌ様とは奥様の妹君。グリンベルグ領から王都を抜け、ずっと先にある隣国との境の警備も担う伯爵領に嫁がれている方で、マリスティア様との仲は奥様よりも良い。


 「えっ、あ…そっか。そうだよね…貴族なら普通はそうなるか…困ったな」


 お嬢様は驚いた表情を浮かべた後に、何やらブツブツ独り言を言っている。全部、聞こえていますけどね。


 それにしても。独り言にしても話し方が普段とかなり違うのは一体…?まあ、今はいいだろう。


 「お嬢様?いかがなさいましたか?」

 「っ、いえ。では、これを。お願いするわね」

 「畏まりました。……あの、お嬢様」


 ミレーヌ様への手紙を受け取ると、お嬢様は落ちつかなさげなご様子(まあ、言ってしまえば不審者のようなんですよね)で、何か言いたそうにしていた。


 「えっ?な、何かしら?」

 「…もしかして、何か尋ねたい事がお有りですか?」


 こちらから話を振ると…


 「え、ええ。あのね?私、思ったのよ。私達はこうして手紙を送るけれど、平民の方達はどうやって手紙や荷物を送るのかしら?って。シャルは知っているかしら?」


 まるで。小さな子供が、もじもじと照れくさそうに、恥ずかしそうに大人に質問するような態度で(質問内容は特に照れたり恥じるような物ではないんですが…?)問い掛けてきた。


 とりあえず、質問には解る範囲で答えておいた。


 「どうもありがとう、シャル!よく解ったわ!」

 「…いえ。お役に立てたなら良かったです」


 ああ。やっぱり最近のお嬢様は、何だかおかしい。


 その後も。やたらと平民に関して聞かれたのだが…私も一応、子爵家の出身なので。平民についてそれほど詳しくはない。


 お嬢様は何故、急に平民の生活について興味が出てきたのだろうか?


 まさか、とは思うが。平民に気になる方が――…?


 いやいや。あの鈍いお嬢様に限ってそれはないでしょう。

 口に出せば不敬になるので言いませんが…立派(になるかどうかは解からない)婚約者様も居ますし?


シャルはこの段階では、まだ恋心を自覚してはいません。

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