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書ききれてない部分はまた次回以降に続きます。

 医務室で三人共、異常が無いかを診て貰って。(全員、先生方の回復魔法でちゃんと回復していました。本当に有難いね!)


 そして、今いる場所は指導室。先に話を済ませた他の生徒達は特にお咎めは無く。(最初に会ったE班の二人は反省文数枚を提出らしいけど)解散となったらしい。


 私達はと言えば――…


 「それじゃー、まずはアーネストの双子ちゃん達から聞かせて貰いましょうか。他の班員二人からも聞いたけどー、どうしてあんな所に居たのか話してちょうだい」


 ラングリスタ先生は一人用の黒い革張りの椅子に深く座り、腕と足を組んでいる。私達は立っているのだけど何だか威圧感のような物をヒシヒシと感じていた。


 「その…火の精霊の試練が思っていたよりも簡単だったので―…」


 キール、だっけ? 彼がそこまで言うと。次にカナンが言葉を続ける。


 「…―中級の精霊の試練も簡単にクリア出来るんじゃない〜なんて思ってしまって…」


 気まずそうな双子達はそれぞれ視線を斜め上に向けている。


 話を聞いているラングリスタ先生の顔、徐々に無表情化してるもんね…あれは、目を合わせたくないわ…こわっ。


 「すみませんでしたっ!!」

 「すみませんでしたっ!!」


 同時に頭を下げて、謝罪する二人。ラングリスタ先生は―…


 「…はあぁー」


 大きく呆れた様子を隠さずに溜息を吐いた。その様子に、二人はビクウッと体を揺らした。


 「毎年…とまでは言わないけどねー。何年かに一回はこういうコトがあるのよー。自分の力を過信しすぎるおバカさん達が居るのよねー」


 ギッと音を鳴らし椅子からラングリスタ先生が立ち上がる。


 「あのねー、どんなに魔力が高かろうとも、実力が伴わなければ強い力は得られないのー。精霊あっちもタダで力貸してくれる訳じゃないのー。だから、力を貸すに値するかちゃんと見る訳。アンタ達みたいな、ひよっこの実力じゃ、下級レベルなの。自惚れてんじゃないわよー。そこんとこ、解らないならー魔法教本を百回位読み直しなさいなー」


 『はい、コレ』と。分厚い紙の束をラングリスタ先生がキールに手渡すと、その紙束の説明を始めた。


 「二百枚あるわ。アーネストの双子ちゃん達、それぞれ百枚ずつ。明後日の放課後までに反省文提出ねー。ああ、そうそう! あなた達は明後日まで謹慎処分だから。時間は、たーっくさんあるわねー? ちなみに魔法具で書いても無駄だからー。手書き以外で書くとインクが消える魔法が掛かっている特殊紙だからー。間に合わなかったら――…お前ら。もっと厳しい処分になるからな?」


 最後の(貴重な?)男言葉とニタリとイヤな笑顔を見せるラングリスタ先生に、双子達の顔色は紙のような白に近い色になっていた。(ありゃ、腱鞘炎になりそうだな…)


 「はい! それからー、次に。グリンベルグちゃん!」

 「は、はいっ!」


 ぐっ、次は私の事情聴取だ。


 「貴女の事は殿下達から、アーネストの双子ちゃん達を助ける為に単独行動をしたって聞いたんだけどー、間違いないかしらー?」

 「は、はい。ただ、助けられる程の自信はありませんでしたので、先生方がいらっしゃるまでの時間稼ぎを、と考えて行動しました」

 「ウンウン、立派な行動ねー? でもねー、大した実力も無いのに一人で突っ走るのはダメよー? 結局、貴女まで危ない目にあってるしー? そんな訳だからー、はいっ! コレはグリンベルグちゃんの分ねー」



 バサッと手渡されたのは今見たばかりの特殊紙だ。うわー…何枚あるんだろ、コレ。そして、痛い所を突かれたな。


 「まあ、貴女が無茶をしたから、この子達の怪我はあの位で済んだのかもしれないわね。あ、それ三十枚あるからー。貴女も明後日の放課後までに提出ねー。ちなみに謹慎処分にはならないけど、学園を休まなくても書けるわよね!」


 爽やかな笑顔なのに、全然爽やかさを感じないのは何故だろうね?


 「はい…」


 もう、帰っても良いかな…? ほら、反省文書かないと。今日から一日十枚。いや、明後日の放課後に提出と考えて、十数枚ずつ書かないと間に合わないな。


 「あの、グリンベルグ様」

 「はい?」


 不意にカナンに声を掛けられ、視線を合わせる。


 「この度はご迷惑をおかけ致しまして申し訳ございませんでした。それから…ほら、お兄ちゃんも!」

 「あ、ああ。その…助けて下さりありがとうございました。あの場にグリンベルグ様がいらっしゃらなかったら、先生が仰ったようにボク…僕達の怪我はもっと酷いものになって居たかもしれない」

 「下手すりゃ命の危機だったかもしれないわよねー。反省なさいなー」

 「うっ、ラングリスタ先生の仰る通りですね。本当に私達の為にありがとうございました、グリンベルグ様」


 双子達が私に向かって頭を下げるので―…


 「い、いえ! そんな、頭を上げて下さいませ! 私も大してお役には立てて居ませんでしたし! 私も助けられる側になってしまいましたから!」


 …―慌てて私も二人にペコペコ頭を下げていたら。


 「アンタ達、ソレ。キリがなさそうだし。話は済んだから、早く帰って反省文に取り掛かればー?」


 ラングリスタ先生からの言葉で私達は指導室を後にしたのだった。


 アーネストの双子ちゃん達(あ。ラングリスタ先生のが移った…)は、別れる時に『今度改めてお礼をさせて頂きますので』と言って去って行った。








 …――それから、三日後。


 「か、書き終わった…」


 目の下に隈を作りつつ。反省文三十枚。きっちり書きましたよ! うう、腕が痛い。手が痛い。




マリスティアが反省文を書き上げるまでの三日間については小話(シャル視点)を予定しています。

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