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「二度目からの精霊の試練は少し大変らしいけれど頑張ろうね、マリスティア。クロストは初めての精霊の試練だね。それから、君…イーラさん、だったかな? 頑張ろうね」
水の精霊の試練に合格してから一週間。よく晴れた空の下。今日は火の精霊の試練を受けに、火の洞窟前に来ている。(移動は勿論、学園地下の例の転移サークルで!)
ちなみに、これまで実施された一年生の精霊の試練は現在までで、水と地の二つ。
今日が火の精霊の試練。来週に風の精霊の試練で一年生の精霊の試練は終わりらしい。
一つも精霊の試練がクリア出来なかった生徒は、冬にもう一度チャンスが貰えるらしく、それまでに力をつけて、もう一度挑む。
大抵はそこで全員何かしらの属性の精霊と契約出来るらしい。
「ええ。グリストラ様の足を引っ張らぬように…そして、自分の為にも頑張りますわ!」
「はいっ! オレも頑張ります! 初めての精霊の試練、どんな試練なのか楽しみですっ!」
「は、はいっ! わ、私も今回が初めての試練ですが皆様の足を引っ張らぬよう精一杯頑張らせて頂きますっ」
そして、お気づきかもしれないが。今回はグリストラ、クロストと同じ班になった。
もう一人は、またチームイエロー三姉妹の一人(いや、チームじゃないけどね! つい三人一組で考えちゃうんだよね)イーラさんだ。
これって――…多分グリストラ、私、クロストは面倒(万一の事を考えて)だからって、まとめられたっぽいな。担当教員も、実はかなり強いラングリスタ先生だし。
「それじゃ、リーダーはシールを取りに来てー! はーい。それじゃー、今回が初めての精霊の試練って子の為に色々説明するわねー!」
今回も水の精霊の試練同様の説明を聞いてから、六つの班が順に出掛ける事になった。(今回が一番人数が多いんだって)
私達はF班。順番はラストで、待ち時間が長い。一時間近く待つから、暇だよね。
さて。ようやく、E班が出発して十分。私達の班もいよいよスタートだ!(岩場に座って居たからお尻が痛いとか言えない!)
火の洞窟内に入ると、ほんの少し外より暑いと言った感じの空気に包まれた。
「思っていたよりも暑くないな」
と、言うグリストラの言葉に頷きながら。私達は奥へと進んで行った。
この前の水の精霊の試練の時には途中で他の班とすれ違ったりもしたのだけど、今回は二十分前に出発したD班とすれ違っただけ。
あれ? E班ともそろそろすれ違ってもおかしくないんだけどなー? と思いつつも奥へと進んで行くと――…
「! マリスティア達は下がって! クロストッ!!」
「はいっ!! 殿下もお下がり下さいっ!」
先頭を歩いていたグリストラとクロストが急に立ち止まり、薄暗い中、警戒の色を滲ませながら辺りに視線を走らせていた時。
複数の…人が走っているような軽快な足音が、すぐに私にも聞こえて来た。
(えっ? あれって…)
水の洞窟と同じく、けれども少し内部の温度は入口付近よりも高い開けた場所の手前の脇道から現れたのは復路の途中にある筈のE班の生徒達だった…のだけれど。
何か様子がおかしい、そもそも何故脇道から? と思い眉根を寄せた。
ザザザーッと。滑り込むようにして脇道から出てきた生徒達は、私達に気がつくと息を切らせながら――…
「た、たいへん…大変なんだっ! 君達早く、逃げてっ!!」
「あ、あああ…! は、早くっ、たたた助けないとっ! せ、せせっ先生に! 助けを!」
…――パニック状態だったのか、それだけ言うと同時に、二人は入口(出口でもある)方面へと、転びそうになりながらも慌てて駆け出して行ってしまった。
今のは一体…? なんて会話をする暇はなかった。
それから直ぐに。
ゴゴゴゴゴ――…と。何やら地響きの様な音と、体に揺れを感じたんだけど、それは脇道の先の方から聞こえて来たものだった。同時に、僅かだけど悲鳴のような声も聞こえてきている。
あー。これは、この先の展開が読めてきたよ私。(なんて呑気に言ってる場合じゃないけど!)
「わっ! 何だっ!? 今のは地震かっ!?」
「それにっ、悲鳴のようなものが聞こえましたわっ!?」
クロスト、イーラが動揺する中で。
「いや、試練の洞窟で地震が起こるとすれば、地の洞窟位だよ。今のは…恐らく地の術を使ったか、何か術と術がぶつかり合ったのだと思うよ」
「聞こえてきた悲鳴も気になりますわね…先程会ったのが二人。恐らく残りの二人がこの先に入っていて、術を使わざるを得ない状況下にあるのだと思います」
グリストラは落ち着きを見せた様子で脇道の方を見ていた。私もそれに続いて脇道の先に視線を向ける。
(助けになるかは何とも言えないけど。あの先はマズイ状態になっていそうだな…。悲鳴が聞こえてくる位だから、そんなには下位精霊の試練の間から距離は離れて居ない筈。約十分…ううん、先生方ならそんなに時間は掛からない筈――…)
「うーん。先生方が到着するまでの時間稼ぎ位なら出来るかな? …これじゃ、まるで乙女ゲームじゃなくてRPGのイベントみたいだね」
一番近くに居るグリストラにでさえ聞こえない位の小さな声で呟く。
(下位だけど。この中で火に対抗出来る水の力――…水の精霊と契約をしているのは私だけだからね。ちょーっと…いや、かなり頑張らないといけないかも? でも、このまま何もしないで居るのも後味悪いしな…)
「グリストラ様、皆様方はこちらで待機なさっていて下さいませ」
そう声を掛けて。私は先程E班の二人が走り抜けてきた脇道へと向かった―…
「マリスティア!?」
…―困惑したグリストラの声を背中で聞きながら。
もう少し続きます。ファンタジー(と言うか表現が難しいです;)とまでは言わないので、なんちゃって位には、なっていると良いのですが^^;
ここまで、お読み下さりありがとうございます。また次回もお付き合い頂けたら嬉しいです!!




