28 ―番外編―
マリスティアサイドになります。後程修正予定です。
「ルチアーニ先生、皆様。お話中のところを申し訳ありません。先生へ質問をさせて頂きたいのですが、少々お時間を頂いても宜しいでしょうか?」
授業後、浮かれた声色の女子生徒に囲まれて、うんざりした表情を浮かべるユリアスに声を掛ける。
ユリアスが『ああ、君か。授業に関する質問ならば、聞かせて貰おう』と頷き返してくれたので、遠慮なく質問させて貰う事にする。
「ありがとうございます、ルチアーニ先生。それから、皆様のお気遣いに感謝致しますわ」
と言うのは、私が教科書とノートを抱えて声を掛けると、ユリアスを囲む(って言うと何かユリアスの危機みたいだね)女子生徒達はスペースを開けてくれるのだ。皆、実は優しいところもあるのかもしれない。
そして。私が質問をしている間に、いつの間にか彼女達は居なくなっているので、気を使わせちゃっているのかな〜なんて思う。
でも、ユリアスの解答は為になるし、面白かったりするので、つい聞きたくなるのだ。まあ、それももしかしたら来年までの事(学園追い出されたら、会えないような人だし―…)かもしれないので、ただユリアスに纏わり付きたいだけなのならば見逃して下さいよー、とも思う。
ユリアスへの質問は、授業ではやらないような事まで含めて尋ねる事もある。
今後に役立つかもしれないなら、今から何かに使えないかなー、と考えたいからだ。
「それで、何を聞きたいんだ?」
「はい、先程の授業で習いました『ユカリグサの葉』についてです。効能は腹痛や下痢といった症状を緩和する、との事ですが、ユカリグサの葉の効能につきましては、他の効能もあるのではないかと思いまして」
私はノートを開いて、今日習った『ユカリグサの葉』について書き記したページを見せた。
丁寧にユカリグサの葉を模写した(つもりの)物の横に、主な生産地を書いて。他に効能・腹痛、下痢と書き、その下には『もしかしたら?』と書いて、健胃効果・精神安定と書き込んでおいた。
まあ、ぶっちゃけコレ前世からの知識なんだけど、前世にあった紫蘇(大葉とも言うよね)と同じ効能があるなら、持っておいて損は無いな! と思ったんだ。
ちなみに紫蘇については確か…『貧血に良いもの』みたいな言葉で、ある日検索を掛けたら出て来て…そうしたら沢山の効能があるって解り、紫蘇スゴイ! って思ったんだよね。
「健胃効果、精神安定…」
ユリアスは書き込んだ箇所を小さく読み上げた。
「何故そう思ったか、聞いても?」
そりゃ、聞かれるよね。
「はい。まず、精神安定の効果についてです。これは以前、読んだ物に投稿されていた話なのですが、紫蘇…いえ、ユカリグサの葉をあるご婦人が、普段忙しく常にイライラとして、眉間にシワを寄せていたご主人の食事に出し続けていました。それを食していたご主人は、いつの間にか穏やかな人柄になったのだ、とあったのです。私もまたユカリグサの葉をサラダに混ぜて食べてみたのですが、気分がスッキリしたような気がしましたので、もしかしたら…と思いました」
まあ、コレについてはもう言うまでもないだろう。作り話(あ、紫蘇を常食して精神が安定っていうのは前世で本当に見掛けた話。それをそのまま言うのも怪しいから投稿されてた話と言う事にしておいた。それで、私がユカリグサの葉を予習を兼ねて食べてみたのも、本当の話だ)です。
何だろう? ユリアス黙り込んじゃったよ。やっぱり怪しいかなー。
駄目か? この話は駄目だったのか? なんて思いながらユリアスを見上げると――…
「ああ、答えとしては合っている筈だ。曖昧な返しになり済まない。しかし、それらについてはまだ、専門の研究者達が検証中の為、明確な答えを僕からは返せない。ちなみに健胃効果についても、聞かせて貰える?」
そっかー、この世界では実証されていなかったのか…って!? ユリアスの雰囲気が何か少し柔らかくなったような? えっ? なんで??
「えっ? は、はい! こちらも記事によるものですが、ユカリグサの葉をよく揉んだ後に、日の当たらぬ場所で干したものを粉末状にし、薬味…えっと、お料理のトッピングに使う事により健胃効果が現れる、とありましたので、どうなのでしょう? と、気になりました」
これについては、近所のおばちゃんの家で、あの子と一緒に聞いた事があったって程度だから、本当かどうかは解らない。(ん? あの子? 誰かと一緒だったっけ? うーん。まあ、いっか―…)
「…」
「あ、あの? ルチアーニ先生?」
ん? ユリアス、何か考え込んでいる?
「ああ、済まない。その粉末を君は持っているのか? 持っているのなら、実証出来るかもしれない」
実証出来る? それによって健胃効果が実証されればユカリグサの葉の粉末を大量生産して売り出せば――…!
あれっ? 私、菓子屋やるんじゃなかったのか? うん…ユカリグサの葉の粉末で商売は止めよう。
多分コレ、実証済みとなれば大きな商会とかも目をつけるだろう。商品化されたら一個人じゃ生産量も販売ルートも、とても叶わないね。
ならば、ユカリグサの葉の粉末を使ったお菓子を作った方が売りになる筈だ。何が良いだろうなー…あ。考えるのは後にしないと!
「いいえ、残念ですがユカリグサの葉を少量ならともかく、大量に手に入れるのは、この時期ではまだ難しいですから…」
そうなんだよねー、まだ時期じゃないからあんまり手に入らないんだよね。本当に残念だ。
そう思って居たら――…
「僕の研究室に大量とまでは行かないけど、昨年のユカリグサの葉を乾燥して、保存した物があるんだ。それを使って、僕らで実証してみないか?」
…――渡りに舟ー!!
「まあ! ナイス…いえ。良い提案ですわね!」
勿論、イイ笑顔で頷いておきましたよ!
やっぱりと言うか、いつも通りと言うか。いつの間にか、女子生徒達は居なくなっていて、薬草学の授業で使われている教室の前には、私達二人だけになっていたのだった。
長話しすぎちゃったかな? と思いつつ。
私とユリアスは今度の休日、ユリアスの研究室で、ユカリグサの葉の粉末作りをする事を約束したのだった。
(あ。シャルかサリーに付いてきて貰えるか聞いて置かないとね)
ここまで、読んで下さりありがとうございます…!!




