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27―ユリアス― 番外編

マリスティアへの好感度は、こうして上がっていた…!的なユリアスの小話になる筈が、予想以上に長くなってしまったので、番外編としました。(次ページはマリスティアサイドになります。)この話を含め、三話位の予定です。


※26話の少し前の話になります。

 「ルチアーニ先生、皆様。お話中のところを申し訳ありません。先生へ質問をさせて頂きたいのですが、少々お時間を頂いても宜しいでしょうか?」


 授業後、浮かれた声色の女子生徒に囲まれて、うんざりしていた時だ。


 落ち着いた声で問い掛けてきた声の主に、僕は『ああ、君か。授業に関する質問ならば、聞かせて貰おう』と頷き返す。


 「ありがとうございます、ルチアーニ先生。それから、皆様のお気遣いに感謝致しますわ」


 声を掛けてきたのは、マリスティア・グリンベルグだ。彼女はこうして、僕にとっては丁度良いタイミングでいつも質問をしてくる。


 マリスティアは侯爵令嬢で、その上、第二王子の婚約者だ。彼女に楯突こうと思う生徒は、まずこの中には居ない。


 案の定。マリスティアからの声で、煩かった女子生徒達は、マリスティアの為にスペースを開けたのだった。


 マリスティアの質問に答えながら話をしていると、彼女達はいつの間にか居なくなっているので、彼女マリスティアからの質問は僕にとっても非常に有難いものとなっている。


 そして、真面目に学びたいが為だけに質問をしに来ている彼女マリスティアには好感が持てる。


 更に彼女からの質問は、授業では教えないような事まで含めて尋ねられる事があり、僕は彼女からの質問を密かに楽しみにしていたりする。


 「それで、何を聞きたいんだ?」

 「はい、先程の授業で習いました『ユカリグサの葉』についてです。効能は腹痛や下痢といった症状を緩和する、との事ですが、ユカリグサの葉の効能につきましては、他の効能もあるのではないかと思いまして」


 彼女はノートを開いて、今日学習した『ユカリグサの葉』について書き記したページを見せてきた。

 

 丁寧にユカリグサの葉を模写した物の横には、生産地の他に、効能・腹痛、下痢と書かれており、その下に『もしかしたら?』と書いて、健胃効果・精神安定と書き込んでいた。


 「健胃効果、精神安定…」


 僕はその書き込みを小さく読み上げる。


 「何故そう思ったか、聞いても?」

 「はい。まず、精神安定の効果についてです。これは以前、読んだ物に投稿されていた話なのですが、シソ…いえ、ユカリグサの葉をあるご婦人が、普段忙しく常にイライラとして、眉間にシワを寄せていたご主人の食事に出し続けていました。それを食していたご主人は、いつの間にか穏やかな人柄になったのだ、とあったのです。私もまたユカリグサの葉をサラダに混ぜて食べてみたのですが、気分がスッキリしたような気がしましたので、もしかしたら…と思いました」


 ユカリグサの葉は、万能薬にもなると一説では言われている。


 そして、効能については授業で教えた事以外にも幾つかあるが、それらはまだ研究者達により検証中の為、公にはされていない物だった。


 (驚いたな――…)


 合っていますか? 間違えていますか? そう問いたそうな顔で僕を見上げている彼女に、僕は答える。


 「ああ、答えとしては合っている筈だ。曖昧な返しになり済まない。しかし、それらについてはまだ、専門の研究者達が検証中の為、明確な答えを僕からは返せない。ちなみに健胃効果についても、聞かせて貰える?」

 「えっ? は、はい! こちらも記事によるものですが、ユカリグサの葉をよく揉んだ後に、日の当たらぬ場所で干したものを粉末状にし、薬味…えっと、お料理のトッピングに使う事により健胃効果が現れる、とありましたので、どうなのでしょう? と、気になりました」


 一体、彼女は普段何を読んでいるのだろう? 専門書にも無いような方法なのだが――…


 「…」

 「あ、あの? ルチアーニ先生?」


 …――何だか面白そうだと思った。


 「ああ、済まない。その粉末を君は持っているのか? 持っているのなら、実証出来るかもしれない」

 「いいえ、残念ですがユカリグサの葉を少量ならともかく、大量に手に入れるのは、この時期ではまだ難しいですから…」


 そう答えた彼女の言葉に。そう言えば、まだユカリグサの時期は少し先かと思い、僕は彼女に一つ提案してみた。


 「僕の研究室に大量とまでは行かないけど、昨年のユカリグサの葉を乾燥して、保存した物があるんだ。それを使って、僕らで実証してみないか?」


 その提案に彼女は――…


 「まあ! ナイス…いえ。良い提案ですわね!」


 …――無邪気な笑顔で頷いた。






 いつの間にか、周りに居た筈の女子生徒達は居なくなっており、薬草学の授業で使われている教室の前には、僕ら二人だけになっていた。


 そこで、彼女と僕は今度の休日。僕の研究室でユカリグサの葉の粉末作りをしようという約束をしたのだった。


(…――久しぶりだな。誰かと休日に会う事を『楽しみ』だと思うのは)




ここまで読んで下さりありがとうございます…!!


※ユカリグサの葉=万能薬にもなる…の部分につきましては架空の話です。

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