表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/45

25

かなりお久しぶりです…!久しぶり過ぎてキャラが変わっていたらすみません。(後程読み直して、色々と修正して行こうと思います。)

 「うーん、固いなぁ。これは…何て言うか、クッキーと呼べる代物じゃないな…瓦煎餅と呼ぶ方がしっくり来るような? と、とりあえず! こっちのも食べてみようかな」


 苦い顔になる自分に気づきつつも、表情はそのままだ。


 「うっ…ぐ!? むにゃ、ってした! な、生焼け?」


 学園にも慣れ始めてきたとある日の放課後。


 私は昨日の夜に寮の厨房で作ったクッキーを小さなバスケットに入れて学園に持ってきて、先程まで借りていた学園の厨房で作ったクッキーと共に、それぞれ借りた皿に並べて食堂の隅っこで試食していた。


 ちなみに、今日。シャルは家から使いが来るとかで、要件を聞いておいて貰う為に寮に居てもらっている。(サリーには、お使いを頼んでいるから、サリーに寮に居てもらうのは無理だったんだよね)


 必ず暗くなる前には帰るよう何度もシャルに言われた。


 その際の言葉の一つに『早く帰らないと、怖い怪人が出ますからね』との言葉を貰った。


 『うおい! 私は小さな子供かっ! それに怖くない怪人とか居るのかっ!』と、ツッコミそうになってしまったが、それこそ後が怖いので言わないでおいた。


 「んんー。昨日の焼きたての時点では美味しかったんだけどなー」


 生焼けしていたクッキーの皿は、とりあえず横へと避けて。


 食べると口の中からバリボリ音が出る新食感クッキー!(とか言えたら良かったけど、無理があるよね――…)を一枚摘み上げ、半分に割ってみる。


 バキッ!


 おお。クッキーを割った時に出る音じゃないね!


 「生焼けの方は、恐らくオーブンでの加熱温度や焼き時間を間違えたんだよね。この世界のオーブン…難しいな。何だか癖みたいなのもあるし。それで、こっちは…やっぱ砂糖の量を間違えた?」


 ボリボリと。食べられなくはない瓦煎べ…じゃない。クッキーを口に放り込み、よく噛み砕いてから、傍らに置いておいたフルーツウォーター(カップは厨房でお借りしました)で流し込んだ。うん、お菓子を食べている表現の筈なんだけど悲しい表現だよね。


 一人、怪しい人物のように…と言うか怪しいんだろうけど。


 ブツブツ言いながら、失敗の原因について考えていた私に、ふと影が差した。


 (ん? 誰だろう?)


 チラリと目線を向けると、そこには――…


 「君は一体、何をブツブツ言っているんだ?」

 「え? ユ…ルチアーニ先生?!」


 思いもよらなかった人物。ユリアスが立っていた。


 「え、ええと――…ごきげんよう、ルチアーニ先生」

 「ああ、うん。それで君は何をしているんだ? ティータイムか?」


 テーブルの上にはクッキーが二皿ある。一枚の皿の上には見た目は綺麗だが中身が生焼けのクッキー。もう一枚の皿には煎餅が乗っている。(いや! 違った! クッキー、クッキーだから!)


 あ。ユリアスのこの目はいつかどこかで見た事がある気がする。『一人でこんなに食べる気なのか』と目で言われたような気がした。


 「いえ、ティータイムという訳ではないのです。あの…(今世では)初めてクッキーを焼いてみたんです。ですが、ご覧の有り様でして」


 そんなに食いしん坊に見えますかね…悪役に見えるよりは平和的で良いかもしれませんが。


 「ああ。そう言えば、前に厨房の事を尋ねられたし、菓子作りに興味があると言っていたな」


 はい、そうです。色々準備しております。


 「その節はありがとうございました。ええと、ですね――…」


 ため息混じりにガッカリした表情で、生焼けではない方の皿を掲げて見せてみれば。


 何を思ったのか、ユリアスは皿から一枚。クッキー?? (ああ…自分で疑問符をつけてしまった)を摘み上げ、あろう事かそれを口に入れてしまったのだ!


 「ちょっ!? ななな、何をしていらっしゃいますの!?」


 素の言葉を出さなかった私、エライ! じゃなくて! わあぁあ! バリボリ音が聞こえるよ! 自分ではなく人様からー!!


 「これは――…」


 ユリアスが呟く。


 解ってる! 次に来る言葉、私、解ってる! あれだよね!? MA・ZU・I・☆(まあ、星は付かないね!? ちょっとパニクってますよ!)さあ、どうぞ! 言っちゃって下さい!


 「ま…」

 「ま?」

 「まあ、味は悪くない。だが恐らく砂糖を入れ過ぎたんだと思う。後はバターの量が少なかったのではないかと思う」

 「ですよねー…え?」

 「ああ、自分でも気がついていたのか?」

 「あ、いえ。バターまでは気づきませんでした。ご助言を頂きありがとうございます…あの、先生は―…」


 まさか、お菓子作りに詳しいのか!? そんな考えが顔に出ていたのか、ユリアスは小さく首を振り――…


 「いや、僕は作り方とかはよく解らない。ただ、昔…母が何を思ったのか、一時期、菓子づくりに興味を持った事があって。君と同じような事をしていたのを思い出したんだ」


 …――そう言うと。再び固いクッキーに手を伸ばし、口に運んでしまった。


 「ふ、かなり懐かしい食感だったな。ごちそうさま」

 「え? あ、いえ。お粗末さまでした」

 

 いやもう、本当にね。お腹を壊さないよう密かに祈っておきますね。


 そう言えば。ユリアスは何しに来たんだろう? 通りすがりか? ん? 通りすがりって。


 「まさか、イベント…? いやいやいや、まっさかー!」


 ユリアスルートで、ヒロインは初めて作ったカップケーキを学園に持ってくる。それは、普段世話になっているユリアスへの差し入れだったのだけど、四つあるそれは、プレーン味の二つは、見た目は良いがカチカチで、割ってみればパッサパサという物だった。もう二つある別の種類は紅茶の茶葉入り生焼け味。(おっと、生焼けは味の種類じゃなかったね)


 自分用にと用意したものを試しに味見していた訳だけど(寮で最初に味見して来いよ、と突っ込んだら負けだ。なぜなら、乙女ゲームだから)『こんなもの、ユリアス先生に渡せないよ』と落ち込むヒロインだったが、偶然ヒロインの側を通りかかったユリアスはヒロインの呟きを聞いて、そして。その手にあったパッサパサのカップケーキ半分を食べてしまうのだ。


 それで、あれですよ。さっき私も聞きましたが(いや…ヒロインはまだ学園に現れていないから、私が先に聞いてしまったけど)『昔…母が――!』の話をアドバイスと共に聞くのだ。


 そして、ヒロインは『アドバイスありがとうございます! 次はもっと上手に作ります! だから、その…上手に出来たら。その時は、また食べてくれますか?』と、健気っぷりを見せてくれるのだ。いいね、青春ダネ!


 私? 私はそんな事は言いませんよー、そもそもヒロインじゃないし。攻略を目的にしてるんじゃないし――…


 命(今後の生活)が掛かってくるかもしれないんですから!



ここまでお読み下さり、ありがとうございます…!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ