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あれ?何だか、会場が少し騒がしくなったような気がする。


「まあ、ご覧になって!」

「えっ?…まあ!素敵!」

「ご挨拶に行ってはご迷惑かしら!?」

「いいえ、私達…新入生の歓迎パーティーですもの!ご挨拶に行ってみませんこと?」

「それは良い考えですわ!」

「是非そうしましょう!」


走ってはいないけど、一部のご令嬢達がカツカツ、パタパタと床を鳴らして歩きだした。(あれ?カツカツは、仕方ないとしても。パタパタは走ってないか?パタパタはアウトだよね??)


輝きを放つ数々の素晴らしい料理達(本当には光ってないよ)から目を離して。私も、近くにいたご令嬢達が一直線に向かい、更に声が上がっている方向に目を向けてみる。


(…グリストラが誰かをダンスにでも誘ったのかな?)


…って、そんな事がある筈がない。


グリストラ、隣にいるし。ヒロインもまだ暫くの間は現れないし。


そもそも、テーブルだらけのこの会場でどうやって踊れると言うのか。


…テーブルの隙間と人の間を縫って、くるくると回ってワルツでも踊ろうものならば……ちょっと笑える。見てみたい気もしてきた。


さて、冗談はここまでにして。


「あれは…」


入口辺りに目を向けて、ポツリと言葉を口にした私に…


「ああ、学園の教員寮に入られている教員の方達ですね。新入生の為に挨拶にいらして下さったのだと思います」


カルロスが教えてくれた。


「教員寮に入っているのは、遠方出身の若い教員が数名と…『きゃあ!ユリアス先生ですって!?素敵な装いですわっ!』…うん、彼の名前は聞こえた…かな?」


次いでグリストラが、以前学園長に聞いていた事を教えてくれたのだけど…その表情には苦笑いが浮かんでいた。気持ちは解る。


「教えて下さりありがとうございます、グリストラ様、ルウェイン様も。…ええ。しっかりと聞こえていましたわ。ルチアーニ先生も寮に入られていらっしゃるのですね。意外でしたわ」


どこぞの令嬢の高い声で、グリストラの声は掻き消されてしまったが、彼が言おうとしていた人物の名前は、ハッキリとわかった。


そう言えば。ハルキア様が偶には家にも帰っていらっしゃい、みたいな事をユリアスに言っていたけど、学園の外じゃなくて教員寮に居たのか…。


あ!そうだ。思い出した!ヒロインとのイベントで、夜の学園の裏山で綺麗な星空を見上げながら自分の事をヒロインに、ポツポツとユリアスが語るイベントがあったよ!確か好感度が大分高まって来てからのやつ!


あれって、よく考えたら消灯時間は過ぎているし(ヒロインは外で出会った、ある女の子の為に薬草を探してあげたくて、コッソリ寮を抜け出して。校舎裏からの抜け道を使うんだよね。しかし、学園の裏山に夜一人で向かうとか危なくないか?そして、抜け道が都合よくある事に、乙女ゲームなんだなぁと感じるよ…)

ユリアスの方も学園の敷地内に居ないと、夜の学園裏山に向かうのは無理だもんね。


学園は消灯前には門までしっかり施錠されるし。おまけに、学園から寮の敷地まで。昼間よりも広範囲で強めの結界魔法が掛けられている。(不審者の侵入、生徒の脱走防止の為にね)まあ、警備の方で入門の手続きをすれば理由に寄っては消灯を過ぎても、学園の関係者なら学園内に入れるかもしれないだろうけど、その理由が…


「学園の裏山で…星を眺めたいんです」


…なんて。ないわー。


ちょっと寒いし、厨ニなの?な視線を向けられそうだ。(天文学の先生が観測の為に…って理由なら別だけど。薬草学の先生だと、なんで?ってなりそう…)まあ、ユリアスも普通に抜け道を使っているんだろうね。





「あ!開会の挨拶が始まるみたいですよ!」


クロストが、ホール中央に向かう寮監の人達や、監督生達。教員寮に住む教員達を見ていた。


「そのようだね。私達ももう少し前に行って、彼等の挨拶を聞かせて貰おうか」


グリストラが歩きだして。私やクロスト、カルロスも続いて前へと進んだ。






それにしても。まだ、歓迎パーティーは始まっていなかったのか…。料理、眺めていただけで良かったわー。


道理で誰も、まだ料理に手を出していなかった訳だね。(一人、フライングをやらかす所だったわ!あ、あぶなかったー…!)

次回からは、また日常に戻ります。

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