表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/45

 「……ハァ」


 正直に言おう。今の私は焦っている。


 第二王子(グリストラ)は、ゲームでのメインヒーローポジションだ。


 恐らくヒロインは、転生者でも、そうではなかったとしても。高確率でグリストラを狙って来るんじゃないかなー、と思っている。(ゲームでの人気は見た目の良さと中の人の人気からか。一、二を争っていたんだよね。いや、ストーリーも甘かったけど、エンディングでのお花畑っぷりがねー? ハマる人にはハマっていたというね…)


 それから。改めて言いたい…


 なんで私、悪役令嬢に転生してるんだよぉおおー!?


 どうせならモブの方が良かったよー!! うわああああぁ…と、凹んだ。それはもう、べっこべこに凹んだ(精神的に)。


 けれど。嘆いていても二年後にヤツは…ヒロインは、やってくるだろう。

良い子なら平和に過ごせる気がする。婚約に関しても。もしかしたら破棄されないかもしれない。(…いや、これはホントに僅かな可能性の話だから期待はしないでおく)それならば良いけれど。そうではない事も、しっかりと考えて置かなければならない。


 前世の私は、悪役令嬢が出てくる…そして“ざまぁ”されるような小説も読んでいたのだ。悪役令嬢の末路は大抵は、どれも酷いものばかりだった…。

つまり、万が一にも…と言うより、グリストラルートなら冤罪だろうとなんだろうと。確実にされてしまうであろう、“ざまぁ”に備えて置かなければならない。


 そう考えた私は(と言っても。前世の二十数年分の記憶も大まかにだけどあるので、これは助かる!)ヒロインが、この世界に来るまでの二年間で何ができるかを考え、ざまぁされた後でも生活していけるように準備をする事にした。


 まずは、住む場所を確保しておきたい。住む場所に関しては、宛てが無くは無いけど自分でも探しておこうと思う。(宛てが外れたら、どうにもならなくなってしまうし)

 いきなり家を買うのは無理かもしれないから、最初は借家を借りる事も視野に入れておくとして―…

 次に仕事だ。出来れば手に職をつけておきたいところだよね。何が良いか考えなければ!


 「うーん…あっちは、やっぱり期待しない方が良いな」

 

 と、言うのは婚約者であるグリストラの事。


 小さな頃から前世を思い出していて、私がグリストラを恋愛的な意味でも好きだったのなら、婚約破棄されないよう対策が出来ていたかもしれない。


 けれど、残念な事に。私とグリストラは婚約が決まった七才の頃から年に数回会うだけ。

 おまけにグリストラの留学が決まってからの二年間は全く会っていなかったのだ。

 関係は悪くないけど、他人が入り込む隙がない位に良好…という訳でも無い。お互い政略結婚だからと、どこか冷めている部分がある事も感じている。


 それから、もう一つ。貴族主義である、グリンベルグ侯爵家にも期待はしない。

 ま政略結婚の道具として利用価値の無くなった娘など、籍を抜いて追い出すなんて簡単にやってのける筈。(と言うか、ゲーム内で侯爵家の名に傷を付けたくないからと、簡単にマリスティアを捨てていたよね…)選択肢などなく、その一択のみだ。

 

 せいぜい、後二年(婚約破棄されるまで)は貰えるだろう、結構な額のお小遣いを貯めておく。宝飾品やドレスも、バレない程度に最小限は残しておき、それ以外は全部売り払って置こうと思う。何をするにもお金は必要だし、無いと困るけれど、あるに越したことはない。


 


 とまあ、こんな事を帰りの馬車の中で考えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ