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「ルウェイン様、先程はありがとうございました。おかげさまで、あの方達の反感を買わずにすみました」
授業後。模写をした紙(授業で聞いた内容、他に思い当たった傷に効く薬草についても、余白に書き込んであるよ!)を提出して席に戻り、筆記具を片付けながら。カルロスに先程の礼を告げた。
「いえ、お気になさらず。…実を言うと少し前に殿下より頼まれていたのです。もし、貴女がお困りの時に居合わせた時には手を貸してやって欲しい、と。クロストも、そのように申し使っているんです」
……うん、驚いた。そっか…グリストラが。
…良い人だなぁ。しかし、惚れたらどうしてくれる!
「…そう、でしたの。グリストラ様が…。えっ!?でっ、では、もしかしてルウェイン様は本当は別の教科を希望されていたのでは?!」
だとしたら、申し訳ないじゃない…!!
「いいえ、私も薬草学は選択するつもりでしたから、そこも踏まえての補助と言いますか…ふふっ」
「えっ?今、笑うところありました?」
カルロスは何故、笑っているんだろう?
「いえ、貴女があまりにも慌てているのが可笑しかったもので…ふふっ、失礼しました」
「……そうですか」
カルロスは次の授業は占い学を選択しているらしく、同じく占い学を選択したグリストラと合流するらしい。
ちなみに、カルロスに聞いた話によれば、次の時間、クロストは剣術(…あ、被ってる)を選択しているらしい。
そして、三時間目にグリストラとクロストは薬草学を選択しているようだ。
剣術と家庭学は問題なく授業が済んで、放課後…とは言っても。お昼の時間帯だからか、遠くからは生徒達の楽しげな声が聞こえてくる。
そんな中、私は薬草学・魔法薬学の教員室の前まで来ていた。
(あー…気が重いなー)
しかし、すっぽかして帰る訳にもいくまい。
コンコン…!
目の前の扉をノックして…
「マリスティア・グリンベルグです。ルチアーニ先生、いらっしゃいますでしょうか?」
声を掛けると。
「どうぞ、入って下さい」
ユリアスの声で返事が返ってきた。
「失礼致します」
室内に足を踏み入れて、ユリアスを見つける。あれ?ユリアスしか居ないの?…と、思ったら。
「フォフォフォ。まあまあ、可愛らしいお嬢さんだこと」
ユリアスの膝丈位の身長の、品の良さそうな小さいおばあさん(背を丸めているから小さく見えるのかな?)が、にこにこと笑ってユリアスの隣に居る事に気づいた。か、可愛い…っ!
「お初にお目に掛かります。マリスティア・グリンベルグと申します」
スカートの裾を摘んで、ペコリとお辞儀をする。
「フォフォフォ。まあまあ、ご丁寧にどうもありがとう。わたくしはハルキア・ルチアーニよ」
ん?ルチアーニ?…って事は…??
「僕の祖母だ」
…あ、やっぱり。
「そうなのですね。あの…私、出直して来た方が宜しいでしょうか?」
せっかく、お祖母ちゃんが学園に訪ねて来ているみたいだし。
「いや、構わない。それに祖母も学園の教員だ」
(えええーっ!?そうなの!?)
「フォフォフォ。驚いた?わたくしはね、占い学を教えているのよ」
「まあ、そうですのね。存じておりませんで、申し訳ございません」
「フォフォフォ。いいのよ、気にしないでちょうだい。わたくしはね、普段あまり学園には来ないし、占い学を選択している生徒さんくらいとしか面識がないのよ」
なるほど。占い学は選択していなかったからなー…。まあ、入学二日目っていうのもあるよね。
「んんっ、お話中のところ申し訳ないが。そろそろ、グリンベルグ嬢と話をさせて頂いても宜しいですか、お祖母様」
ユリアスが咳払いをして、話に割り込む。
あ。そうだ、ユリアスに会いに来たんだったよ。可愛いおばあちゃんに癒されにきた訳ではないんだよ。
この話内で、ユリアスの呼び出し話は終わる筈だったのですが区切りました;




