第九話~波乱~
神殺し(ゴッドブレイカー):神の器を専門とする殺し屋集団。六人で構成されている。敵を倒すためなら手段を選ばない。
悪望のマグネス:神殺しのリーダー。赤毛のオールバックが特徴。ある野望をもって行動している。35歳
令縛のリリア:神殺しの女メンバー。ピンクの髪で肩ぐらいの長さで非常に無口。神殺し唯一の神の器。制定者と呼ばれている。10歳
魔槌のアルク:神殺しのメンバー。背中まで伸びるストレートの黒髪が特徴。話すとき笑う癖がある。17歳
魔槍のバルトス:神殺しのメンバー。坊主で190cmはある巨漢。アルクの面倒を見ている。25歳
魔弓のケリー:神殺しの女メンバー。背中まで伸びる金髪パーマが特徴。語頭に「ねえ、」をつけるのが癖。19歳
ケイ:神殺しのメンバー。神殺しのスパイとして神器同盟に潜入。
第九話〜波乱〜
「どうしたァ?かかってこいよ!」
鬼竜は余裕の表情でケイさんを挑発している。ケイさんはその言葉を無視して冷静に攻撃をしていく。
「俺の暗黒世界は全ての攻撃を吸収する!」
ケイさんは大剣を振り回すが、鬼竜には傷一つも与えられていない。ケイさんに焦りの表情が見えてきた。
「ったく、さっさと雑魚はうせろ!!」
鬼竜はケイさんの一瞬の隙を突き、腹に蹴りをいれた。
「くっ!!」
ケイさんはそのまま後ろに倒れた。
「はっ、この程度の雑魚に付き合ってる暇はねぇ。」
鬼竜はそれ言い残すとその場を去ろうとした。
「・・・待てよ、クズ。」
ケイさんは立ち上がり鬼竜を睨みつける。
「・・・殺されたいみてーだな。」
鬼竜も今までに無いくらい鋭い目つきで睨み返す。
「まさか人間風情にこの力を使うとは思わなかった。」
「あ?どういう意味だ?・・・!?」
鬼竜が聞き返した時にはケイさんは鬼竜の目の前にいた。ケイさんは隙だらけの鬼竜の腹を殴った。
「・・・くそ!」
「まだまだいくぞ。」
ケイさんはたて続けに鬼竜を殴りつける。ケイさんの攻撃の速さに鬼竜はただやられるしかなかった。最後は鬼竜の顔面を鷲掴みにして持ち上げた。
「・・・何者・・だ?」
鬼竜の声に覇気は感じられなかった。
「半神だ。貴様らとは格が違うんだよ!」
ケイさんはそう言うと、鬼竜をそのまま地面に叩きつけた。
鬼竜は完全に動かなくなった。
「さて、いくか。」
ケイさんは花岡さんに近づき、花岡さんを担いだ。
「待って・・・花岡さんをどうするつもりですか・・・?」
「・・・。」
ケイさんは僕の問いに答えずに去った。
「待っ・・・て・・・。」
僕の意識はそこまでだった。
「・・・僕はあの後一体・・・」
目が覚めたら僕はデザリアの自室のベッドの上にいた。横にある椅子にはアキトさんが座っている。
「界、君はあの時意識を失ったんだよ。僕が慌てて現場に向かった時にはゲンリュウとユイは目を覚ましていた。倒れていいたのは君とナツミだけだった。」
「!?ケイさんは!?」
「落ち着いてくれ。・・・界、あそこで何があった?知っているのは君だけなんだ。」
アキトさんは僕を落ち着かせるように僕の肩を掴む。
「・・・ケイさんが鬼竜っていうやつと戦って・・・その後、花岡さんを連れて行った・・・」
僕は今どんな顔をしているだろうか。きっと酷い顔だろう。
「・・・そうか。」
アキトさんはつぶやくように言った。
「僕は友達一人も救えなかった。動くことすら出来なかった。もう何も失いたくない・・・」
僕はいつの間にかボロボロと涙を流していた。
「じゃあ、取り返せばいい。」
「え・・・」
「界には取り返せる力がある。失わないように守るんだ。」
アキトさんの笑顔が今まで以上に輝いて見えた。
「・・・でも・・・」
しかし既に花岡さんは攫われたのだ。どうしようもない。
「よく考えてみてよ。わざわざ連れ去ったってことは殺す気はないって事だよ。だからまだ時間はある。」
「あ・・・」
「今、リコが逃走ルートを探してるから動くのはそれからだ。皆の怪我も治さないといけないし。」
「・・・はい。ありがとうございました。」
「じゃあ、ゆっくり休んで。」
アキトさんはそう言って部屋を出た。
同時刻ー新木港倉庫ー
ケイはすみれを抱えたまま新木市の港にある倉庫を訪れた。
「ケイ、ただ今戻った。」
ケイは倉庫の扉を開けて言った。
「ケイ、貴様の背負っているものは?」
「花岡すみれを連れて来た。」
「ほう・・・。」
「これで始められるだろ?」
「これより、神殺し(ゴッドブレイカー)は神器同盟の殲滅を開始する!」
倉庫の奥には神殺しと言われる
五人がいた。
「アルクは新庄香奈恵を探し、見つけ次第消せ。」
神殺しのリーダーであるマグネスが横に座っているアルクに言った。
「ケケッ、オレだけ仲間外れかよ。」
アルクは言葉とは裏腹に、嬉しそうだ。
「アルク、あまりハメを外すではないぞ。」
アルクの後ろに立つバルトスが言う。
「ケケッ、分かってるよ。」
アルクはそう言って倉庫を後にした。
「リリア、花岡すみれの神術をを封印しろ。」
リリアと呼ばれる少女は黙ってすみれの元に近づく。ケイも黙ってすみれを地面に下ろした。リリアはすみれの身体にそっと手を置いた。
「我、この者の神術の行使を禁ずる。」
リリアの声と共にリリアの手は青い光に包まれ、声が途絶えると、光も消えた。
「ねえ、相変わらずリリアの力便利ね。」
リリアがいた位置の隣に腕を組んで立っていた女性、ケリーが羨ましそうにリリアを見つめていた。
「これで花岡すみれの神術も恐れることはない。潰しに行くぞ。」
マグネスの声は今まで以上に低かった。