第七話~刺客~
ケイ:銀髪のロン毛で目つきが怖いのでよくヤンキーと間違えられる。謎が多い男。年齢不明。
ナツミ:綺麗な黒髪の長髪をお下げにしている。たまに位置が上がりツインテールっぽくなってることもある。17歳
第七話〜刺客〜
僕がデザリアに来てからもう二週間が経つ。デザリアは地下にも関わらず、ほとんど不便はない。あるとすれば、買い出しに行くのが多少面倒だということだ。デザリアには裏山の小屋、地下水路、民家に通じるエレベーターがある。民家に出たときは驚いたが、この民家はアキトさんのものらしい。噂によるとこのためだけに買ったとか。
それが本当ならアキトさんはかなりのお金持ちだ。ちなみにデザリアはアキトさんのお金ではないそうだ。ただ、アキトが何らかの手を使って資金を集めて造ったらしい。皆もそこら辺の事情はあまり知らないそうだ。あの人は謎が多いな。首を突っ込まない方がよいだろう。話が大分逸れたが買い出しに行く時は民家から行っている。それが一番近い。あとはあまり気が乗らない。
デザリアにおいて食事は自分で勝手にすると決まっている。僕にとってこの決まりは大したことではないが、料理できない人にとっては苦痛の何ものでもない。
あと、二週間生活して分かったことがある。神器同盟の人たちは異常なくらいゲーム(電子ゲームを除く)が強い。話を聞くと、暇な時は皆でゲームをすることが多く、鍛えられているそうだ。僕も強くなれるだろうか。
僕は夕飯の買い出しから帰ると、いつものように作戦室へ向かった。作戦室とは僕が最初に連れていかれた部屋だ。
「あ、やっと来た。」
僕が作戦室に入ると同時にリコが言った。
「よし、界も来たしリコ、話してくれ。」
「最近男性の変死体が発見される事件が多発しているんだけど悪魔が関わっている可能性が出てきたの。恐らく、エムプーサっていう悪魔の仕業だと思う。今回、私たちがするべきことはエムプーサの討伐。前回のケルベロスと違って知能が高いから慎重に行動すること。」
「リコが言った通り危険性が高い。なるべく迅速に対応することが要求される。だから・・・」
「俺らの力も必要だろ?」
アキトさんの説明を割って入った声はドアの向こう側から聞こえた。
「ただいま。」
部屋に入ってきたのは男女の二人組だった。
「ケイ、ナツミ遅かったじゃないか。」
「ごめん、アキト。ケイのやつがいろいろやらかしちゃって。」
「うるせー。」
この人たちがケイさんとナツミさんのようだ。
「あれ、この子が新人の界?よろしくね。私はナツミ。で、こいつがケイ。」
「ナツミさん、ケイさんよろしくお願いします。」
「まあ、これで全員揃ったな。よし、ゲンリュウ、ユイ、界、ケイ、ナツミはリコの指示通り動いてくれ。今夜中になるべく仕留めたい。」
「「「「「理解」」」」」
「こちらゲンリュウ班、配置についた。」
「了解。ケイ班は?」
「こちらもついている。」
「了解。二班ともそのまま待機お願い。」
現時刻午後8:35
住宅地内は人がほとんど見当たらない。例の事件もあって誰も外に出ないのだろう。そう、僕を除いては。
「はあ、なんでこうなるんだよ・・・」
(そんなに不服か?)
「当然だろ?どこに好き好んでおとりなんてやるやつがいるんだよ。」
そう、僕は今、おとりとして出歩いているのだ。理由は簡単、犠牲者は男性だから。僕じゃなくてもいいのに。
「だいたい、こんなのに引っ掛かるわけ・・・」
(・・・前見ろよ。)
「え?」
前から女性が歩いてきた。いや、人らしきものがあるいてきた。
「嘘・・だろ・・・」
その女性らしきものはコウモリのような翼を持ち、左足はロバのような足で右足は何やら硬いものでできている化物だった。
(あれが、エムプーサか・・・)
(だろうな。)
「あら?今日はガキね。まあ、いいわ。早速頂きましょう!」
エムプーサは左足で地面を一蹴りすると、僕の目の前に現れた。
「!?」
「頂き!!」
まずい!!
「屈め!界!」
僕は後ろから聞こえた声に咄嗟に反応した。後ろから何かが飛んでくる音がした。
「!?」
エムプーサは慌てて後退し、間一髪で何かから逃れた。
「・・・最初から罠だったわけね。」
「間に合ったか。」
後ろにはゲンリュウさんとユイがいた。さっきのはゲンリュウさんの水刃撃だったようだ。
「界も構えろ。」
ゲンリュウさんに言われて僕も剣を出し戦闘準備に入った。
「まんまと騙されるなんて・・・これ程の屈辱は初めてだわ。全員殺してやる!!」
「させない。」
エムプーサが蹴り出す前にユイがエムプーサの周りに竜巻を出現させた。
「くそっ!」
「これでもう動けない。」
だが、これではこちらも攻撃は出来ないので状況は変わらない。
(さて、どうするかな・・・)
ー同時刻ケイ班ー
ケイたちは今、ゲンリュウ班から少し離れた地点にいた。
「おいおい、エムプーサ以外にもいるのかよ・・・」
「上半身は女、下半身は蛇、それに翼とは・・・まさに化物ね。」
ケイたちの前には一体の悪魔が立ちはだかっていた。