第十話~再会~
ごめんなさい。投稿が遅れてしまいました。
原稿が消えるというハプニングがありまして・・・
次回から気をつけたいと思います。
新庄謙二:界の父親。界が中学に入ってすぐの出張で行方不明になっていた。適当な男っぽく見えてかなり強い。たばこ好き。42歳
第十話~再会~
現時刻23:20
「リコ、ケイの逃走ルートは見つかるか?」
アキトは作戦室に入り、PCと向き合っているリコに聞いた。
「うーん、ちょっと難しいかな。」
リコは頭を掻きながら言った。アキトもこれは予想できたこと改めて言われると結構キツイものがある。
「アキト、私達も探しに言った方が・・・」
ゲンリュウはソファーから身体を起こして言った。反対側のソファーで寝ていたユイも便乗して身体を起こす。
「駄目でしょ。まだ完治してないんだから。」
アキトの代わりにリコが答えた。
「リコの言う通りだ。その身体で、もし戦闘なんてしたら確実にやられるよ。」
「・・・。」
ゲンリュウはアキトの言葉に返す言葉が見つからなかった。アキトの言うことはゲンリュウも分かっているからだ。
「それより、ケイの目的の方が気になるね・・・。」
アキトは考え込むように言った。
「ケイは花岡すみれっていう人を連れて行ったんでしょ?」
「ああ、界が言うにはそうらしい。おそらく花岡すみれはただの一般人ではないだろうね。しかし、その決定的な証拠が無い以上、ケイの目的も分からない。」
アキトの言葉に全員が沈黙した。
----ズドォォンッッッッ!!!!----
「「「「!?」」」」
沈黙が続く中、外から何かが崩れる音が響いた。作戦室にいたメンバーにとってこれが何の音かは誰も分からなかった。
「見に行くぞ!!」
アキトはメンバーにそう呼びかけると、走って外に出た。
「これは・・・!?」
アキトは驚愕の表情を隠しきれなかった。後から出てきたメンバーもかなり動揺している。無理もない。
デザリアの壁の一部に穴が空いていたのだ。いや、空けられたと表現するのが正しいかもしれない。
そこには五人の人影があった。
「貴様ら神の器はここで終わりだ!」
人影の中央に立っている人物がそう言うと一斉に穴から飛び降り、着地した。
「まさか・・・神殺しか・・・」
アキトは落ち着いた口調で言ったが、額には汗が垂れている。
「それがどうした。貴様らには関係のないことだ。」
マグネスは冷めた目でアキト達を見据えている。
「ケイも神殺しなのか?」
アキトはマグネスの横に立つケイに向かって言った。
「だったらどうした。」
ケイの代わりにマグネスが答える。
「くそ・・・」
アキトはこの状況が絶望的だということを理解していた。まず相手が神殺しだという時点でかなり不利である。何せ相手は神の器を専門としているのだから。それに神器同盟は負傷者がいる。
「ケリー、あの建物を壊せ。」
ケリーは真っ直ぐ前に左手を出す。すると、ケリの左手には禍々しい弓が現れ、右手には紫の光の矢が現れた。ケリーは狙いを城に定めて構える。
「まて!」
アキトは止めようと声を上げるも、当然ケリーは聞くわけが無い。ケリーは容赦なく矢を放った。矢は城に直撃し、城は無残にも崩れていく。
「アキト!中には界とナツミが!」
いつもは冷静のリコもさすがにこの事態には冷静ではいられなかった。全員が動揺する中、崩壊していく城から一人が何かを抱えて出てきた。
「界!」
アキトと他のメンバーは出てきた界元へ駆け寄る。
「げほっ、げほっ、ナツミさんも連れてきました・・・」
界の腕の中には寝ているナツミがいた。
「よくやったな。」
ゲンリュウは界の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「いったいどうなっているんですか・・・?」
「話は後で話す・・・」
アキトは神殺しを見ながら言う。
「これで全員そろったわけだな。ケリーまとめて消せ。」
ケリーは再び光の矢を出現させ、今度は神器同盟のメンバーに向かって構える。そして、間を置くことなく放った。
(ここまでなのか!?)
アキトは成す術のないこの状況にあきらめていた。しかし、矢はメンバーに当たることは無かった。
メンバーに当たる寸前で矢は突如消えたのだ。
「貴様、なぜここにいる。聖銃使い。」
マグネスは道の両端にある塀の上に立つ一人の男を視線だけで人を殺せそうな目でにらみつけている。
聖銃使いと呼ばれる男の手には銃が握られていた。
「父さん・・・?」
界は幻でも見ているかのような顔で男を見ていた。そこに立っているのは行方不明となっていた界の父親だった。
「界、挨拶はあとにしよう。さて、悪望のマグネス。ここは引いてもらおうか。これ以上やるってんなら、俺も黙っちゃいないぜ?」
「・・・・・引くぞ。」
マグネスはそう言うと腰に差していた剣を上にかざした。すると剣を中心に黒い光が神殺しを包み込み神殺しはその場から消えていった。
「よし。」
聖銃使いは神殺しが消えると塀から飛び降りて神器同盟のメンバーの元に近づく。
「俺は新庄謙二だ。まあ、界の父親ってことだな。」
謙二は界の頭を力強く撫でながら自己紹介をする。メンバー一同は未だ状況がつかめない様子だ。
「父さん!!どこに行ってたんだよ!!」
界は謙二の手を頭から払い除けて大声で言った。
「悪かったな・・・。仕事上でいろいろあって戻ることが出来なかったんだ。もうお前にはバレてしまったが、俺は普通の仕事人じゃないんだ。」
「・・・なんだよそれ。」
界はうつむきながらつぶやいた。そこでいままで腰を落としていたアキトが立ち上がる。
「あなたは神教十字団、十三大聖者の一人?」
「ああ。俺のことは謙二でいいぞ。」
謙二はにっと笑って言った。
「父さん、神教十字団ってなんだよ。」
「それを含めて今からお前達に話をしよう。まず、神教十字団ってのは表上、秘密結社となっているが実際はこの世界のバランスを保つために活動する組織だ。神教十字団は十三大聖者の十三人をトップとしている。神教十字団の説明はここまででいいだろう。で、重要なのは神殺しの件だな。神殺しは神の器を専門とする殺し屋集団だ。やつらはなんらかの目的を持って行動しているらしいがそこは不明だ。ただ一つ分かっているのは、目的のために邪魔になるやつは全て殺すということ。そこで今回ターゲットになったのはお前らだ。俺らからしてもお前らのような優秀な人材を失うのは惜しいという結論になって、神器同盟と神教十字団で強力して神殺しを倒したい。どうだ、組む気はないか?」
謙二は説明を終えるとアキトに手を差し出した。
「・・・分かりました。こっちも手は無いので手を組みましょう。」
アキトは少し考えた後、謙二の手を握った。
「父さん、母さんは?」
「ん?・・・ああ、大丈夫だ。」
謙二は界の質問の意味が少し分からなかったが界の表情を見て察することができたが、謙二はあいまいな返事をした。それは父親の優しさというものなのかもしれない。界には母親がこの世界に関係のある人物だということを知られたくなかったのだ。
「そっか。」
界はこのとき父親の意図に気づくことはなかった。