第一話~祈願~
こんにちは。赤井葵です。
今回この「僕は神を知っている」が初投稿です。まだまだ未熟で乱文になってしまうこともあると思いますが、どうか温かい目で読んでください。
新庄界:ごく普通の高校生。特に目立つものがないことにコンプレックス
を抱いている。
花岡すみれ:色白で肩ぐらいまでの茶髪の女子高生。界と同じクラス。い
ろいろあって界の初めての友達となる。
ヘファイストス:炎と鍛冶の神。
ープロローグー
宗教の信者を除いてこの世界に神や悪魔といった類のモノがいると信じている人はどれくらいいるだろうか。
おそらく、ほとんどの人が信じていないと思うが、誰しも一度は信じてもいない神に祈ったことがあるはずだ。自分ではどうしようもなくなったとき、頼ってしまうのは間違いなく神だ。
僕も頼った。頼るしかなかった。そして、願った。願うしかなかった。必死に願った。僕にはそれしか出来なかった。僕には人一人も助ける力すらなかった。だから願った。「力を貸してくれ」と。
第一話〜祈願〜
僕の名前は新庄界。15才の高校一年生。いや、正確には入学式がこれからだからまだ高校一年生ではないか。僕はここ新木市でもそこそこの進学校に入学する。志望理由は単純に家から徒歩で行ける距離にあるということだ。とくにこの高校でやりたいことはない。というより、元々友達も少ないのでやれることも少ない。学校生活は友達なしでも問題はないのだ。(検証済み)
歩いて10分後、学校の校門が見えてきた。
「それにしても、この学校、私立だとしても綺麗すぎるだろ。
名前も聖秀学園とか格好いいし。」
僕は学校に見惚れていた。だから気づかなかった。背後から自転車が猛スピードで突進してきていることに。
「ぐっ!!」
背中に大きな衝撃が走った。僕は見事に前方に飛ばされ、頭から地面に落ちた。
「あー・・・ここで死んでしまうのか・・・できることなら、もう・・少し・・生きて・・・」
「・・・・・ここは?」
目の前には真っ白な天井が広がっていた。どうやら、どこかの部屋のようだ。
「やあ、やっと目が覚めたようだね。」
白衣を纏った白髪のおじさんが部屋の隅に座っていた。
「あのぅ、ここは?」
「見ての通り、病院だよ。君は奇跡的に気絶しただけで、怪我もほとんどしていなかったんだよ。」
「じゃあ、僕、生きてるってことなのか・・・?」
「はははっ、そういうことだね。最近の若い子は頑丈だよ。」
あれだけ飛ばされて頭から落ちたのに僕はほとんど無傷に近かった。日頃、運動もしていないのに頑丈だとは思えない。一体何が・・・
「とりあえず、今日のところは大丈夫そうだし家に帰っていいよ。また何かあったらここに来なさい。」
「あ、はい、分かりました。ありがとうございました。」
僕は不思議に思いつつも、この病院をあとにしようと病室から出た。すると病室の前に少女が座っていた。
「今日は自転車で引いてしまってごめんなさい。ほんとに怪我がなくてよかったです。」
どうやら、この子が僕を引いたようだ。
「大丈夫。気にしないで。ところで、名前は?同じ高校の制服だよね?」
「あ、私は華岡すみれっていいます。ちなみに、一年B組です。」
「僕は新庄界。華岡さんよろしく。」
「はい、よろしくお願いします。同じクラスっていうのも奇遇ですね。」
「そうなの?じゃあ、僕も一年B組なんだ。」
「はい。私、引っ越してきたばかりで友達もいないので、こうやって話せる人がクラスにいてよかったです。」
二人で話しているといつの間にか病院の外に出ていた。
「じゃあ、私、こっちなので。また明日。」
「うん、じゃあね。」
もう空はオレンジ色になっていた。住宅地内で遊んでいる子どももみんな家に帰る頃なので、辺りは静まりかえっている。
病院は家の近くにある病院だったらしく、家に着くまで時間はかからなかった。
「ただいま。」
鍵を開けて家に入ると、いつもは仕事でまだ帰ってこないはずの母さんが家にいた。
「あら、おかえりなさい。病院行けなくてごめんね。母さん、今帰ってきたの。」
「別にいいよ。それより、なんでこの時間に居るの?」
「会社が火事になっちゃったの。だから、しばらくは仕事お休み。」
「火事?大変だったね。母さんが無事でよかったよ。」
「あら、ありがと。」
この年になると親にお礼を言われるだけで恥ずかしくなるので、僕はすぐに自分の部屋に向かった。
「はあ、今日はトラブル多いな。」
僕はその時、微かに不安があった。その理由はわからない。だけど体がそう感じるのだ。
「少し寝よう。疲れてるのかもしれない。」
僕はベッドで大の字になって目を瞑った。本当に疲れていたのか、すぐに眠りについた。
「・・・い・・か・・い」
誰かが僕を呼んでいる。
「誰?」
「貴様の願いはなんだ?」
「僕の願い・・・?」
「そうだ」
果たして、この僕に願いなどあるのだろうか。僕に望むものはない。仮に、望むものがあったとしても、僕なんかの願いは叶わない。
「僕に、願いは、ない。」
「そうか。だが、いずれどうしても叶えたい願いが出てくるだろう。」
「・・・なんだ、夢か。」
もうすでに時間は9:00を過ぎていた。
「飯食べ損ねたな・・・」
我が家ではだいたい7:30から夕食を食べると決まっている。とは言っても家に居るのは母さんと僕だけだ。親父は海外に出張に行ったまま行方不明になっている。僕は親父がどんな仕事をしているのか知らないので、親父には不信感を抱いていた。
母さんも親父のことをよく知らないらしい。母さん、よく結婚する気になったな。
「適当にカップ麺でも食べるか。」
僕は自分の部屋から出て、一階のリビングに向かおうとした。
「バリンッ!!」
家中にガラスが割れる大きな音が響いた。
「きゃあぁぁぁ!!!」
「!?」
母さんの悲鳴が聞こえた。僕は急いで母さんのいるリビングへ向かった。
「おい・・・なんなんだよ・・これ」
僕がリビングに着いたとき、母さんが浮いていた。いや、持ち上げられていた。3メートルはあり、人型の獣のような黒い化物に。僕は状況が理解出来なかった。それどころか、身体が動かなかった。目の前で母さんが殺されかかっているのに、助けようとすることも出来なかった。
「・・か・・い・・・に・・げ・・・て」
母さんは首を締めらている中で僕に言った。母さんは僕を必至に逃がそうとしている。それでも僕の身体は全く動いてくれなかった。化物が母さんの首を締めている手の力を強めていく。
母さんの抗っていた手が動かなくなっていた。
「・・・助けてくれよ・・誰か助けてくれよ・・・なんでもするから・・母さんを助けてくれよ!!」
僕は力の限り叫び、神に願った。
「その願い、叶えてやろう」
夢の中で聞いた声がした。
そして僕の左手には剣が握られていた。それに気付いた時には身体が勝手に動き、化物の背後に回った瞬間、僕の左手の剣が化物を貫き、化物を一瞬で燃やし尽くした。
「か、母さん!!しっかり!!」
僕はまだ理解出来ず混乱していたが、母さんが危ないのは理解出来た。
「界・・なのね・・・逃げなさいって・・言ったのに・・」
母さんはこんな状況でも僕の心配をしていた。
「ごめん、母さん。身体が動かなかったんだ。それに、母さん一人置いて行けないだろ。」
「そう・・・ありが・・と・・・う・・・」
「母さん!?」
母さんはその場で意識を失った。
「まだ意識はないみたいだ。いつ目覚めるか分からない。命に別状はないとも言えない。でも大丈夫。この私が何とかしてみせるよ。」
さっきの白衣を着た白髪のおじさんは、病院のロビーに座っている僕を慰めるように言った。
「私は、日渡だ。これでも一応、医学界では有名な医者だよ。」
「そうだったんですか。」
「だから、私に任せなさい。必ず、君のお母さんは救って見せる。」
僕はその言葉に返事をせずに病院をあとにした。
僕は普通に生きることすら認められていない人間なのかもしれない。僕は不幸でないといけないのかもしれない。僕という人間はこの世界で必要とされていない存在なのかもしれない。だったら、いっそいない方が・・・
(それは許さん)
「え・・・夢の中の・・」
(そうだ)
「いったいあんたは誰なんだよ。どこにいるんだよ。」
(私は、神だ。名はヘファイストス。今は貴様の中にいる。)
「神?僕の中にいる?どういうことだよ。」
(貴様、自分で願っただろう。助けてくれ、なんでもするからと。だから、その願いを叶えたのだ。)
「ちょっとまって、じゃあ、なんで僕の中にいるんだよ。」
(貴様がなんでもすると言ったから、神の器になってもらったのだ。
「神の器?」
(そう。神は簡単にはこの世界に降臨することはできない。神が降臨すれば、この世界は神の力に耐えられす、破滅してしまう。そこで神の器が必要になる。神はその器に入ることで、自身の力を抑えることができる。)
「でも、なんで僕なんだよ。」
(神の器は誰でもよいというわけではない。強く願った者が器となる。)
「なんだよそれ・・・」
僕は歩きながら、自分はとんでもないモノに願ってしまったのだと気づいた。僕はこれから、どうすればよいのだろう。とりあえずは家に戻って寝るのが先だ。
(今日は貴様も疲れているだろう。今日のところは休め。明日続きを話そう。)
僕はその言葉を無視した。家に着くとすぐさま自分の部屋に入ってそのまま眠りについた。
どうだったでしょうか?
短いと感じた人もいると思います。なるべく期間を空けずに投稿していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。