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エピローグ
その日の午後、在庫管理室に戻った憶平の机に、吉岡からメモが1枚置いてあった。
「おめでとう。屋上、丸見えだったぞ」
コロコロを手に取ると、ロールが新品に替えてあった。
憶平は顔を真っ赤にしたまま、しかし今日は「申し訳ございません」とは言わなかった。
かわりに、吉岡の背中に向かって「……ありがとうございます」と言った。
吉岡は振り向かなかった。でも、耳が少し赤くなった気がした。
定時。憶平が帰り支度をしていると、スマホが鳴った。
日向からだった。
「帰り、一緒に出ませんか」
憶平は即座に既読をつけ——それから少し考えて、返信した。
「はい。嬉しいです」
チュン、と部屋の隅でスズメが1羽。
今日は、窓が最初から開いていた。
吉岡が、朝のうちに開けておいてくれていた。




