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第11話 『静かな足取り』

 松明がその長さの四分の一を消費した頃、俺は本当の敵がモンスターではなく、この場所のスケールそのものであることに気づき始めていた。


 時間の換算について、まどろっこしい言い回しはやめておこう。読んでいるあんたたちに伝わりやすいよう、はっきりと言うことにする。


 歩き始めてからまだ二、三時間ほどしか経っていないが、周囲の環境は一ミリも変化していなかった。同じ灰色がかった石、同じ窒息しそうな亀裂、そして数千年も循環していないかのような淀んだ空気。


 それは、描き終わることのない直線の中を歩いているかのようだった。


 俺のブーツが一定のリズムで地面を叩く。


 タッ、タッ、タッ。


 それが唯一の音だった。風もなく、水滴の音もなく、何もない。刺激の欠如は、俺の空間認識を狂わせ始めた。もし立ち止まって火を消したなら、この回廊は存在し続けるのか、それとも俺自身もこの暗闇に溶けて消えてしまうのではないか。


【 状態:スタミナ - 92% 】

【 マナ:110 / 110 】


 肉体的な消耗はない。レベル15に達し、バカ神の祝福を受けた十歳の体は万全だ。


 だが、精神的な虚無が重くのしかかり始めていた。


 以前の人生では、常に地図があり、短期的な目標があり、周囲には騒がしい冒険者仲間がいた。ここでは、静寂があまりに濃密で、服が肌に擦れる音さえ聞き取れるほどだ。


 分岐点に差し掛かった。いや、正確には分岐ではなく、巨大な柱が行く手を二つに分け、数メートル先で再び合流しているだけだ。


「……左だ」


 声に出してみた。自分の声が妙に異質に聞こえた。この広大すぎる空間に対して、あまりに小さすぎた。


 さらに数百メートル進むと、地面に何かの痕跡を見つけた。火を近づけて屈み込む。爪痕だ。だが、ウサギのものではない。床の石を削り取るほど深く、鋭い。何か巨大なものがここを通り過ぎたのだ。それも、そう遠くない時間に。


 左手に松明を持ち替え、右手で黒鉄の短剣を抜いた。痕跡を追ってさらに五百メートルほど進むと、通路がわずかに広がっていた。天井にある天然の鍾乳石のそばで、何かが動き、輝き始めた。


 ……火炎百足。


 体長は少なくとも三メートルはある。節々から火花を散らす脚が石をきしませ、獲物を求めて降下してきた。


 すぐには魔法を使わなかった。マナは110。遭遇する魔物一匹ごとにオーブを撃ち込むような贅沢は許されない。獣が飛びかかってくるのを待った。俺を包み込もうとする、しなやかで素早い動き。


 横へ一歩、短く踏み込む。巨体が通り過ぎる際に押し出された冷たい空気を感じた。鋭い動きで、側面にある節の間に短剣を突き立てる。黒鉄の刃が、炎の甲殻をガラスのように砕く音を立てて貫いた。


 ヒィィィィィィィィク!


 クリーチャーは悲鳴を上げ、顎で俺を叩き潰そうとのたうち回る。


「……遅い」


 今度はマナを練った。完全なオーブではない。足の裏にわずかな空気の脈動を走らせる。「ウィンドステップ」が俺を後方へと押し出し、鋏角の届かない範囲へと逃がした。


 隙が生じた瞬間。三つの世界で数千回と繰り返してきた動きを、淀みない動作で再現する。短剣を投じた。空中で回転した刃は、クリーチャーの正中にある目深くへと沈み込んだ。


【 目標排除 】

【 獲得経験値:+120 】


 百足は黒い粒子となって崩れ去り、通路は再び元の空虚へと戻った。俺は短剣を拾い上げ、惰性で汚れを拭い、鞘に収めた。


 風の突風で炎を消す手間もかからず倒せたのは幸運だった。


 前方に目を向ける。暗闇は相変わらずだ。戦闘は三十秒もかからず、真の脅威ではなかったが、これがピクニックではないことを思い出させてくれた。俺はレベル15。そして、俺の計算によれば数ヶ月は続くかもしれない長い歩みを、まだ始めたばかりなのだ。


 装備を整え、再び歩き出した。一歩、また一歩。


 走る意味はない。絶望する意味もない。ただ、周囲の景色が変化することを選ぶその時まで、片足をもう片方の足の前に出し続けるだけだ。

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