乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私、婚約破棄って本当ですか!?それでは前世の推し、隠しキャラ隣国の王子様の攻略頑張ります!!
読んで下さりありがとうございます。
「婚約破棄ですか!?」
「ああ、君とはもうやっ――」
「やりましたわーーーーーっ!!」
気付いた時には私は歓喜のあまり叫んでいました。
そう、王子も、周りも、驚きのあまり固まっている事にもしばらく気付かないほどの喜びを感じてしまったからだ。王子というのはこの国、ドミニオン王国の王子ブラン・サーグッド様だ。
この世界は私が前世、死ぬほどやり込んだ乙女ゲームの世界だ。私は転生したのだと気付いたのはほんの一ヶ月ほど前……私はこの世界の悪役令嬢ロゼッテ・ミントン……けれど、この乙女ゲームは本来悪役令嬢の婚約破棄イベントはないのだ!! なのに今!! 前世のゲームやアニメやラノベで見てきた『婚約破棄イベント』が!! しかもブラン様の隣にはヒロイン、ミーナ・オクスリーが。本来私は王子の婚約者のまま邪魔をしまくって殺される運命しかなかったのだ。婚約破棄されたからと言って死なない保証はないけれど……。
何故私がこんなに喜んでいるのか、それには理由があるのだ、そう……それは、『推しと恋が出来るかもしれない!!』そういう事だ。そもそもコレはミーナ・オクスリーが主人公、ヒロインと恋する為に用意されたキャラ達なのだから悪役令嬢の私との恋なんて……と悲観していたけれどこうして私が転生した事によって?? かは知らないけれど物語に変化が起きているのだ、バグかな?? しかもヒロインは確実に王子ルートに入っている!! なら絶対絶対大丈夫だ……。そう、私の推しは隠しキャラ!! たくさんのゲームをやってきたけれどあんなに難しい隠しルートはこのゲームがトップだろう。
「ハッ!! 失礼しました。婚約破棄承知いたしました」
「お前、ミーナに――」
「あっ、お二人と私はもう関係ないので。お幸せに!!」
警戒されてこっちの攻略がうまくいかなくなるなんて事あってはならない!!
ああ、初めて隠しキャラを見た時の私の胸の高鳴り……どうしてヒロインは王子なんかにいったのかしらね。まぁ別に悪い人じゃないんだけれど……『なんか』は言いすぎたかもしれないわね。
さぁ、まずは隠しキャラを引きずり出さなくちゃ!! どうしようどうしよう、あんなに好みの人リアルの瞳にうつしてしまったら……目が潰れるかもしれない。
「さてっと、まずは……そう、来週あたり街に行って落ちているハンカチを拾うのよ」
帰りの馬車の中、これから何をしないといけないか思い出していた。失敗は許されない、だってこれはゲームじゃないもの、現実だから。ああ、王子を選んでくれたミーナに感謝~。
さて、今週中にハンカチを見つけないともうこのルートは消えるわ。ハンカチがある場所はランダム……ゲームではだいたい決まった場所にあるものだけれど……このゲームは鬼畜。一度○○を探して二度目に△△を見て三度目に◇◇を探して……みたいなやつだ。順番を間違えたりしてもアウト。そしてそれが何通りかあるのだ。やるわよ!! 慎重に、失敗のないように……ゴクリ。
まず一度目はこの草むら……当然だけれど何もない。次は雑貨屋の隣の細道……何もない。その後もいくつか回って……っと、ここで最後ね。ありますように……恐る恐るゴミ箱の中に手を突っ込む、うう、そりゃあこんな事していたら見られて当然よね……は、あ、あった!!
「やったわ、これで出会う事は出来る!!」
えっと、この街のこの辺りをうろうろしているとー……
「失礼します。そのハンカチ……」
き、き、来たー!! うおお眩しっ!! なんて美しい!!
「あ……そこで拾ったので持ち主を……もしかしてあなた様でしょうか??」
「ああ、ありがとう。是非お礼をさせていただけませんか」
これこれ!! 上手くいっているわ。
「僕はアレン・ローランソンです」
「私はロゼッテ・ミントンと申します」
「良かったらケーキでもご馳走させてもらえませんか」
「良いのですか!?」
前世ならただのナンパなのにこの世界ではこんなにトキメクのは何故なんだろう……麗しの君……。
「僕はこの辺りの事あまり知らないのですが美味しいケーキのお店は知っています。行きましょう」
「はい」
推し、尊い~……。こんな美青年が存在する世界、最高かよ!!
「ここはたまに来るんです」
「そうなんですね、私は初めてですわ」
「ところでロゼッテ様……」
「良ければロゼとお呼び下さい」
「い、いいのですか?? どこかの御令嬢でしょう」
「公爵家三女です」
「そうでしたか……僕は隣国ノクゲルスの第一王子です。アレンとお呼び下さい、ロゼ」
そう!! この隠しキャラ!! 隣国の王子様なのよ!! なっがいまつ毛にサラサラの銀髪……銀髪萌えの私じゃなくてもこの見た目にやられたユーザーがたくさんいたはずだわ!! はぁ、はぁ……あ、ヤバイ変態のように……落ち着いて。オタクの血が騒ぎまくっている、静まりなさい。
「はいアレン様。隣国からはお仕事で??」
「ええ、そうですね」
「まぁ!! 王子様自らこの国へ来ていただけるなんて嬉しい限りですわ」
私はヒロインではないからクリアした通りの道を歩むことは出来ない、だってそもそも会話が全く違うもの。でも婚約者の話をふると不機嫌になるのよね、とりあえずそれだけは気を付けよう……。
「ちなみにロゼは婚約者は……当然いますよね」
ええ、嘘でしょう。婚約者の話が向こうから出るのは好感度がかなり上がってからなのに!! いくらヒロインとは違うといってもコレには驚いたわね。
「いました、になりますわ。アレン様」
「え……」
「婚約破棄されましたの」
あ、これ間違えた!? 破棄されたなんて言ったら何かしでかしたって言っているようなものでは……。仕方ない、とりあえず話しておこう。どうせバレるかもしれないし。
「昔の私はお世辞にも素敵な女性ではありませんでした。今でもまだまだですわ。それで他の女性に取られてしまいましたのよ」
間違ってはいない。それで私があなたと恋が出来ると喜んだ事は当然内緒だ。
「それは……見る目がないですね」
「えっ、私がですか??」
「クスクス、どうして破棄されたロゼがそうなるんですか。お相手の方ですよ」
ちょっ、なんか展開が早いような!? アレン様のロゼへの好感度、あああゲームだったら見れば分かるのに!!
「アレン様もお会いした事があると思いますわ」
「え、そうなのですか??」
「ドミニオン王国の王子ブラン・サーグッド様ですわ」
「そ、そうでしたか……確かに何度かお会いしていますね」
「婚約破棄されるような女とお話するのは嫌でしたでしょうか……」
私は推しと恋したいと思ってはいるけれど推しを悲しませたくはない。
「……え?? 何を言っているのですか?? あなたは素敵な人ですよ。自信を持って下さい」
ん、これ、このセリフ……好感度が五十パーセント以上じゃないとでないはず……ゲームとはやっぱり全く違うのかそれとも好感度が上がるスピードが尋常じゃないか……。
「ありがとうございます」
麗しの君からこのセリフを生で聞けるなんて、幸せ。
「おい、ロゼ」
このお声は……嫌だわ~、こんなイベントないからどうすればいいのか分からないわ。そもそもどうしてこの人にまだ偉そうにされなきゃならないの??
「あら、ブラン様、偶然ですわね」
「お久しぶりです、ブラン・サーグッド王子。まさかこんな所でお会いするとは」
「……あなたは、まさかノクゲルス王国のアレン・ローランソン王子……どうしてこのような所に……」
「今はロゼと二人の時間を楽しんでいるだけなのでお気になさらず」
ひぃぃっ!! 推しが何か言いだした!! こんなセリフ聞いた事ない~、耳が幸せだわ。こんなに幸せだなんて……ヒロインのミーナには感謝しかない。ああーもう嬉しい恥ずかしい嬉しい恥ずかしい!!
「ロゼ、赤くなって可愛らしい方だ本当に」
は?? 殺す気??
「アレン王子がお相手するような女性では……」
「女性にそんな事、僕は言いませんよ。僕は昔より今を見ます。今の彼女は素敵な女性です」
「それは……」
「あ、すみませんロゼ、初めて会ったのにこんな事……」
「いえ、アレン様、私は大丈夫ですので」
本当は大丈夫じゃありません。ゴフッと吐血しそうになっています。
「今日はこれで失礼します。行こう、ミーナ」
え、いたの!? 影が薄いヒロインね……ん?? 今……ミーナに睨まれたような……。平民だけれど聖女のような女の子、それがヒロインの『設定』だ。まさか……現実では違うっていうの?? 制作会社をも騙したヒロインって事!? ……何を考えているのかしら私。ちょっとアレン様が尊すぎて頭が混乱しているのよね。しっかりしなさい、私。睨まれたのは気のせいよね。
……なんて思っていた頃が私にもありました。と言いたい所ね。
「あの、オクスリーさん?? どうしたのかしら??」
「ミントン様、どうしてあの人と会えたんですか」
えっ、何その質問。もしかして、まさかだけれど……
「あなたもしかして転生者!?」
「てん……せい?? なんですか、それ」
違うの!? 逆に驚いたわ。
「えっと、どうして会えたのかって、どういう意味かしら??」
「私、子どもの頃お会いしてずっと探していたんです」
子どもの頃ならゲームに出てこないから分からないわー。
「そ、そう。それで私にどうして欲しいの?? 何か話があるから呼び出したんじゃなくて??」
私の記憶が戻った後に二人は婚約しているし仲良くしだしたのもその頃だから私ヒロインに特に何もしていないのよね……使用人とかからなら嫌われていると思うけれど……ミーナに恨まれるのは本当に分からない。
「あの人を返して」
「は……あなた……何言っているか分かっているの?? ブラン様はどうするおつもり??」
「私がずっと好きだったのはアレン様です!!」
この間名前、聞いていたのね。でもー、ゲームでは子どもの頃に会っていた、みたいなお話なかったのよね。やっぱり結構いろいろ違うのね。そもそもヒロインに初めから好きな人がいるなんて乙女ゲームにならないしね。
「ミーナー!!」
あ、ブラン様。どうするのかしら。と思った時だった。ミーナがニヤリと笑った。
「きゃあっ!!」
なんか言って一人で転んだ。何、え、何が起きているの?? 小石にでも躓いた??
「ミーナ!! 大丈夫か!?」
あ、あー……やられたわね。本当のミーナはこういう子なのね……まったく、面倒臭い。
「お前!! ロゼがやったんだな!?」
「はぁ、正直に答えて信じますの?? やっていませんわ」
「お前以外に誰がいる!!」
「ほら、ね??」
「ミントン様に押されたのに……どうして嘘を??」
えーーー。やっぱりそれが狙いだったか。
「正直に言え、ロゼ」
「分かりました。オクスリーさんが勝手に転びました……それだけですが」
「嘘を吐くのか」
「ではお聞きします『私がやりました』以外の言葉で嘘ではないのはありますの??」
「それ以外考えられないだろう!!」
「しかし真実は――」
「そちらの女性が勝手に転んだのですよ」
「う、あ、あ、アレン様!!」
突然現れたアレン様に心臓が止まりかけた。アレン様はこの世界の人間なのに顔だけじゃなく性格も良すぎてまるで大天使様。
「すみません、ロゼの家に行こうと思っていたら馬車から見えたので」
どうして私の家に!? ああでも今はこの面倒な問題が。
「ブラン王子、その、そちらの女性が一人で転んだのですよ??」
二回言った。
「そんなはずはない!! それではミーナが嘘を吐いているとでも!?」
「はい。そうですね……見ていたので」
流石に隣国の王子様の言う事を嘘だなんて思わないわよね?? 助かった??
「アレン王子はロゼがどんな女か知らないから言えるんですよ」
嘘でしょう!? 疑うの??
「いいえ、例え知らなかったとしても僕が見ていたんですよ」
「アレン様!! 私の事覚えていませんか!?」
「……すみません。何の事ですか??」
「そんなっ」
「ミーナ?? 何を言っているんだ」
「酷いっ」
泣きながら走って行ったミーナをブラン王子が追いかけて行った……なんか、終わった?? ラッキー!! あ、いやアレン様のお陰か。
「アレン様ありがとうございます」
「いや、僕は本当の事を言っただけだから。それよりロゼ、大丈夫ですか?? あんな酷い事をたくさん言われて……」
「はい……アレン様のお陰で事が大きくなりませんでしたので、本当に助かりました」
アレン様が来てくれていなかったらどうなっていたか……もしかしたらあのまま『死、エンド』になっていたかもしれない……今更怖くなってきた。
「顔色が悪いですね、僕の馬車で一緒にロゼの家に行きましょう」
「はい……」
って、だから何しに来たのかしら?? なんて思っていたら私の手を取り、もう片方を腰に回した。推しにこんな事されて普通でいられる人間がいてたまるかぁぁぁ!!
「ロゼ!! 鼻血が!! 僕が見ていない時に殴られたりしたんじゃ!?」
「いえ、いえ、大丈夫ですわ」
あなたが離れれば。
とりあえずハンカチで鼻血を止めて馬車へ乗り込んだ。
「それで……私の家に何を??」
まだ心配そうに私を見ているアレン様……あ。
「あの、アレン様、先程の女性ですがミーナさんというんですが子どもの頃に会った事があるそうですよ、アレン様と……」
これは言わない方がいいのかもしれない。でも何だか秘密にしていてもいい事なんかない気がして。
「そう、でも僕とロゼの間には関係のない事だから……」
「そっ、そうですか……」
「ふふっ、ロゼはすぐに赤くなるので可愛いですね」
「かっ……」
これも二回目だ!! 推しとの距離がこんなに近くなるなんて転生でもしない限りないからね!!
「ああ、ロゼの家に何故行くのか、でしたね」
「はい、お仕事でしょうか??」
「違いますよ。ミントン公爵と公爵夫人にご挨拶に」
「何故ですの??」
「クスッ、ロゼ、あなたに婚約を申し込むためですよ」
ええええええええ!? なんでなんでなんで!? どうしてどうしてどうして!? 婚約!? 婚約って言った!? 頭の中はうるさいのに何も口から出てこない……。
「実は……話す前から……一目見た時から君に恋していたんです」
「え……」
隠しルート!! あんなに難しかったのにっ!?
「ロゼ、君が好きです。愛しています」
攻略、完了!! でもこの世界にはエンドロールはない。攻略よりも楽しい時間をきっと過ごせる、この人となら。
読んで下さりありがとうございます。
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