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伝説の本   作者: 勇気
アリカポル
3/13

本物の支配

 ローリオン騎士団はマルザ王の指示さえも無視していた。ローリオンは自分には大いなる力があると、そして世界を変える力があるんだと思っていたからこそマルザのような小さな国の王にかまっている時間などなかった。

 ローリオンはある国と組み、ピチューノで起きた襲撃を隠蔽しラズバノ大陸をわがものにしようとする。

 それと同時に、生まれてから19年たった今、人生がやっと始まったジュコが旅にでる…


 外はおもっていたのと違っていた。

 ジュコはそう思った。

 目の前には無限の坂道が続き、このまま山を越えていかなければまずアリカポールにはたどり着けないのだ。

 冒険には魔法と仲間とあと特別な何かがあると思い込んでいた、幼稚なのかもしれないな。

 すると目の前で「痛い痛い!」と叫ぶ声が聞こえた。

 なんだと思いジュコは茂みから聞こえる声をたどっていく。

「きゃあ!!痛いよぉ、痛いよぉ!!」

 まだ叫んでいる、何とかしなければ…とジュコは行動する。

「はぁ、頭に銃弾を当てられるのは痛いねぇ、君は、これから遺体だけどねぇ」

 茂みの中から猟銃を構え、ゆっくり立ち上がりジュコに向かって猟銃を離さない。

「金、金出せ」

 煽るように猟銃を振って金を出せとしぐさをする。

「話し合えたら二人にとっていいと思うが――あッ!」

 ジュコは話そうとすると口に猟銃を突っ込まれる。

「あが、ががが。」

 しゃべろうとしても口に入れられたままだ。

「マルザのやつらは捕まえやすい、強盗にも慣れていなければ、トリハコのやつらみたいに凶暴じゃないからな。」

 ジュコはリュックを前に出して、開けようとするが下を見ようにも銃が邪魔で見えない。

 ジュコは男をにらみつけた。

「リュックの中が見えないってか? ちょっとだけ離すから変なことすんなよ…」

 優しい泥棒はゆっくり銃を抜く、唾液のついた銃口は離れていく。

 瞬時に銃を右手で触り複製すると即座に構え銃を使って相手の銃を殴って落とし、彼に向ける。

「甘いな」

 ジュコは言った。

「相手から銃を奪う方法っていう本は7歳の頃に読んだ。そのあとに銃を構える方法を12歳で読んだ」

 ジュコは銃を構えながらもそういった。

「ごめんってぇ」

 男は命を乞う。

「二度としないなら許してもいいけど」

 ジュコは聞く。

「二度としない、マジ」

 泥棒は誓う。

 それでもジュコは信じられなかった、だから魔導書を使って男を脚から木にぶら下げる。

「おいおい、落ち着けよ、”頭に血が上ってるぜ”」

 ジュコは煽って笑って拍手した。

「じゃあな」

 ジュコは泥棒を置いて旅を続ける。

「じゃあなぁぁ!」

 少しすると後ろから大きな声が聞こえた、魔法の効果が切れて木から落ちたんだろう。

 それでも泥棒はジュコに別れの言葉を言った。

 南西に向かってずっと歩いているとやっとポル塔が見えた。

 ポル塔とは、アリカポルにあるラズバノ大陸の中で最も高い塔であり、同時に最も鬼畜な牢獄だと言われている。

 アリカポルは近い、もう少しだとジュコは実感した。

 しかし今日はもう休もうとジュコは茂みの中で眠ることにした、魔導書があれば夜襲われることもないので安心していた。

 朝目が覚めると昨日の泥棒がバリアの外で眠っていた。

「なんだお前」

 ジュコは聞く、頭には緑の枝が付いてる。

「ほんとはお前と添い寝したかったけどバリア張られてたから…」

 泥棒はそう言って悲しそうにする。

「盗賊団から追い出されたばかりで家もないんだ、ついていってもいいかな?」

 泥棒は続けた。ジュコは少し考える。

「名前は?」

 泥棒に聞く。

「ショーン・デラ・コスタ、よろしくな。」

 手を差し伸べてきた。

 ジュコは答えるべくバリアを張るのをやめてショーンを手を握る。

「ジュコ・ラズバノ、よろしく。」

 そういって立ち上がるとショーンも立ち上がった。

「ところでアリカポルに向かってるのか?」

 ショーンは聞く。

「そうだけど…?」

 ジュコは答える。

「今アリカポルにはいかないほうがいい、昨日行ったが唯一の入り口が監視されていて、その上入るのに許可書とか、理由が必要なんだ。」

 ショーンはそう言った、しかし体はアリカポルの方向に進んでいた。

 ジュコもついていく。

「何が起きてるんだ?」

 ジュコは改めて聞いてみる。

「前にピチューノのやつらの家がなくなっただろ? ピチューノ人たちはそんな魔法のような襲撃を魔法の国の仕業だと思って生き残った者はアリカポルを襲撃、姫を殺してしまうんだ」

 ショーンは丁寧に説明してくれた。

「ならどうすればいい?」

 ジュコは聞く。

「知らない、行ってみたらわかる」

 ショーンは答えた。茂みを抜けるとそこには巨大な橋に風がその遺志で作られた橋を斬る音、そして橋の上には食料や、貿易に使うであろう道具を持った商業人が何人もアリカポルに入るために並んでいた。

 その量は尋常ではないくらい多く、マルザの中でもこんなに人が集まっているのは見たことがなかった。

「ううう、昨日より人が増えたな。まぁ仕方ない」

 橋の上を歩いて、下を見ることにするジュコ。

 そこには奈落に続くと思われるくらい深い谷だった。

「これは川だ、谷だと勘違いする奴は多いがこの下には川が通っている」

 ショーンは説明してくれた。

 山の中にはあるところまで行くと道は途切れる、ということは茂みの中を通ってこの橋にたどり着くことになるが、ジュコは不思議に思った。

 馬車などもここにある、どうやって?

 ジュコはとにかくあまり深くは考えず、橋に行って商業人たちと並ぶことにした。

 ショーンは後ろをついてくる。

「…ラズバノ大陸について詳しかったりする?」

 ジュコは列に並んで立ち止まり、後ろに振り向いてショーンに言った。

「まぁまぁかな、レッコラにはいったことがないんだ」

 ショーンはそう答えるとジュコは「すごい」という顔をした。

「そんなにすごいことでもない、ラズバノ大陸は本当は小さいんだ。アリアドンテに行ってもみろ、あれこそ広い国だぞ」

 ショーンは続けた。

 アリアドンテは唯一大陸の名前が国の名前になっている場所で、その圧倒的な科学力と政治力によって彼らは他国の侵入を許可せず、アリアドンテ大陸全体に一つだけ巨大な国を作った。

 それこそがアリアドンテである。

「やめてッ! やめてくださいッ!」

 先頭から声が聞こえた。

「ピチューノ人を捕まえろ!」

 ここまで走ってこようとする人が見えた、息を切らしてぎこちない走り方をする…

「構えッ!」

 兵士たちの声が聞こえた。

 そのあとに聞こえたのは一斉銃撃、走っていた男は魔法の弾によって貫かれそのまま倒れこんだ。

「本当にピチューノ人を許してないみたいだな…仕方ないだろう、姫を殺したんだから」

 ショーンは死んだおとこを見てそう言った。

「仕方ない…のか」

 ジュコは思った。

 人を殺して、”仕方ない”という言葉を使うのはただの、自分の行いへの逃げであり、殺したという現実を受け入れない言葉でもあると。

 だが、他国の政府に10代の外国人がそんなことをいうわけにもいかない。

 列は少し進み、橋の上で馬車が前に進む音が響く。

 馬は一斉射撃を気に入ってないみたいで、一匹は暴れ、もう一匹はおびえる。

「そうだ、馬はないのか? あれば旅が楽になる、それともアリカポルに住むのか?」

 ショーンは正直な疑問をジュコに聞いた。

「アリカポルには住まない、伝説の本を探して大陸を回るんだ、そのためにも作られた場所に向かわなきゃって思ってここにいるんだ」

 ジュコは答えた。

「へぇ、アリカポルが伝説の本を作ったのか…って、え? そんなおとぎ話を信じてさがしてるのか? てことはブックハンター?」

 ショーンはまた質問をする。

「ブックハンター?」

 ジュコはショーンの言葉を不思議に思った。

「伝説の本を探す者は全員ブックハンターだ、それも知らずに国から出たのか?」

 ジュコはブックハンターについての本を読んだことがなかった。

 しかし伝説の本の存在だけはわかっていた。

「…まぁ、ブックハンターっていうのはいろいろあってな、国から正式に援助をもらって活動する奴、ローリオンみたいな騎士だな。それと個人で動き、世界を変えようとせず、己のためだけに本を探し求める奴、お前だな。あとは…それぞれグループで動いて本を探し回る大型集団だな、有名どころにハンターズ、マタナカウォリアーズとか…ダサい名前だよな」

 ショーンはまたもやきちんと、丁寧に説明してくれた。

 ジュコはなんだか自分を何も知らない子供のように思い、なぜか恥ずかしくなった。

「世についての本を読むべきだったよ…」

 ジュコは左手をおでこにおいてそういった。

 ショーンは笑いをこらえていた。

 するとまたもや列が動く。

 ――――

 あれから4時間はするだろうか、今は午後の1時。

 昼も超えたというのにジュコたちはまだ並んでいた、しかしあともう少しだというのはわかっている。

 その間にショーンと話を楽しんでいたみたいで、自分の経験をシェアしたり、ショーンの過去を少しだけ知るいい機会だったとジュコは思った。

 ショーンはもともと盗賊団に属していて、世界中で暴れまわり、財宝を奪って回っていたそうだ。

 しかしある日突然なにかが起きた。

 その何かについてはショーンは話してくれなかった。

 やっと列が進み、ジュコたちが兵士と話をすることになった。

「やぁ」

 ショーンがあいさつをする。

「…アリカポルに何の用で」

 兵士は手に持った巻物で何かを注意深く見ている。

「歴史の勉強と、魔法を習いに来ました」

 ジュコは真剣に答える。

「んん。」

 兵士は巻物を見て何かを調べている。

「入ってもいいかな?」

 ショーンはもう外で待つの嫌はだった。

「君たちは何人? どこから来た」

 兵士は確かめる。

「俺はマルザ人、マルザからここまで歩いてきたんです」

 ジュコが答えるとそれにショーンも続ける。

「俺はアダルマで生まれた。いろいろあって迷子になってこいつとさっき会ったんだ」

 兵士はショーンの顔を見る。

「アダルマは、ピチューノに非常に近い。君の血にピチューノの血が入っていないのか、どう断定すればいい。」

 兵士はそう言った。

 その間ジュコはリュックからパヤを取り出し、複製を始める。

 100パヤ、500パヤ…

「これで、二人がマルザから来たってことにできるよね」

 ジュコは複製したお金を兵士に手渡す。

 兵士はパヤ見つめ、それからショーンをにらみつけてからこういった。

「どこでどうやってこんな金額を手に入れる。」

 …ワイロは効かなかったみたいだ。

 ショーンは黙り込む、答え方をわかっていない。

 盗賊であるが嘘のつき方をわかっていないようにも見える、交渉はしないで奪いを続けてきたとわかる。

 ジュコは自信ありげに兵士を見つめこむ。

 それから兵士はほかの兵士たちに手で何かのしぐさをして、来るように伝える。

 兵士たちが巻物を持つ兵士に近づくと巻物の兵士はもう二人の耳に何かごにょごにょと小声で伝えた。

 二人はショーンとジュコを見て剣を取り出し二人の首に向ける。

 ショーンとジュコは手を挙げた。

「ピチューノ人は我々の国、誇り高き魔法のアリカポルへの立ち入りは禁止されている。今ここで命を落とすか、逃げて命を落とすか、決めたまえ」

 巻物を持った兵士は、剣をむつ二人の後ろに立ってそういった。

「皆さんそんな、剣を使わなくても話せばなんだってわかり――」

「黙れッ!汚れた血を持つピチューノめッ!」

 ジュコは説得しようとしたがうまくはいかなかった。

「…アリカポルの中に、すでに何人—―ピチューノ人がいると思う。」

 ジュコはまたもや説得を試みる。

「中にピチューノ人はいないッ!」

 兵士は言い切る。

「いないといっても人の血を分別する方法はないだろう? もしあんたの血にピチューノの血が混じってたら?」

 ジュコは自信ありげに兵士を黙らせる。

 兵士の剣を指一本でゆっくり下ろし、首を安全にする。

「ラズバノ大陸は小さい、多くの国が戦争を続けて生きるには小さすぎる。よく考えてみろ、アリカポル建国から6389年、最も古い国家ではないだろう? お前らの血にはもっと古い、ピチューノとアダルマが混ざってるんだ。否定しても、拒否しようとしても現実は変わらない」

 ジュコは続ける。

 ショーンは周りに耳を傾けると商業人たちがざわついていることに気が付く。

 剣は下ろされた。

「…無礼な子供め。」

 兵士はジュコをにらみつけてそう言った。

 一人は剣をしまう、振り向いて巻物を持つ兵士の後ろに立ち、門を守ることに専念する。

 考えるのは得意ではないらしい。

「金持ちのピチューノ人が言いそうなことだ。」

 もう一人の兵士は今度はショーンに剣を向けるのではなく、ジュコに剣を向けた。

 そして即座に剣を振り回し、ジュコを斬ろうとする。

「ピチューノめッ!」

 兵士は言った。

 ショーンがジュコの体を後ろに押してくれたためか見事に回避することができた。

 兵士は剣をまたもや振って今度はジュコの脚を狙う。

 カチンツ!

 ショーンの短剣と兵士の剣がぶつかった。

 もう一つの短剣で兵士の腕を刺し、そのまま鎧の上からもなぞって皮膚と肉を斬り捨てる。

 さっきまで銀に輝いていた鎧は赤くなり、剣も地面におち、そして兵士は痛みに苦しむ。

 巻物を捨ててもう一人の兵士が剣を抜く。

「逃げ場はないぞ」

 兵士は言った。

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