表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仕えるもの語  作者: マッド
中章 第一節 明けない夜はない
85/89

第七十七話 加速が勝手に助ける

「ああ、もう!! どこにいんだよ、クソがぁぁ!!」


 一人町中を歩くアクセルは迷惑にならない程度の大声でクーガ達もしくはミストの分身体を探していた。


「大丈夫かい、あんた」


「あ? あぁ大丈夫っす」


 心配をし屋台を開いている男性がアクセルに声をかけた。アクセルは平気な様子で言葉を返す。


「なんか苦労してるっぽいからこれ一つ食いな。安心しろ俺のおごりだ」


「いいんすか!? あざます!」


「いいってことよ」


 男性から果物をもらいアクセルはいきの良い感謝を述べたあとに再び足を動かし始める。


「しっかし、ん、どこにいるんだか」


 もらった果物にがぶりとかじつきながら目的の人たちを探すのに集中を研ぎ澄ましていた。

 そんな最中


「きゃっ!? やめてください!」


「目標、捕捉、完了」


「んだあれ?!」


 アクセルの目が捉えたのは暗く狭い路地の隅に謎の人物に追いやられているクーガくらいの身長に赤紫の花束を抱えている少女だった。


「対象を確保する」


「させない!」


「っ!?」


 その状況にアクセルは直感的に『加速(アクセル)』を発動し謎の人物と少女の間に割って入るように突っ込んだ。


「妨害を確認、これより妨害者を抹殺する」


「なるほどてめぇが悪もんってのはよく分かったぜ」


「我が個体名はアルギル」


「あっそっ、興味ねぇわ。つうか個体名って名前でいいだろが」


 アクセルは拳を前に出し足でステップをリズムを刻みながら戦闘態勢に入る。目の前の相手をどうにかする、それだけを第一に考えながら出方を伺う。

 そして後ろに腰をぺたりと恐怖で地面につけている少女の心配もする。見たところ傷を負っている様子はなく一息の安堵をアクセルはついた。


「俺はアクセル、あんたは?」


「セリアです。その……あなたはどうして私を」


「どうしてもくそも勝手に助けるために動くだろ。悪人襲われてる人がいたらな」


 そんなこと当たり前だろ?と言わんばかりな態度を少女__セリアに浮かべる。


「とりあえずあんたは逃げな。こっちは俺がなんとかする」


「あ、ありがとうございます! すぐに助けを呼んできますから!」


「はいよ。ま、その前に倒すが」


 セリアは慌てながら安全に逃げ出したのをアクセルは見送り謎の人物__アルギルに視線を集中させる。


「目標『逃亡』、排除、開始」


 機械的で不気味とも思える声にアクセルの背筋が凍る。が、そんなもの掻き消しすぐさま急接近し右足で蹴りかかる。


「おらっ!」


「っ……厄介」


「おっ?!」


 蹴り出した足を片手で掴まれそのまま無造作に壁に投げられる。


「なんて、なっ!」


 間一髪、見事なまでに空中でアクセルの身体は一回転し建物の壁に立ち足をバネ代わりとして殴りかかる。


「想定、……内!」


 一撃、顔面にかすりながらもアルギルはアクセルの顔面めがけて殴り返す。


「っ、だらぁっ!! 二撃大砲(ツインショット)!」


 苦痛の表情を浮かべながらもアクセルは更に今度は二撃大砲(ツインショット)を使って殴り返す。


「っ!?」


 一回の打撃で衝撃が二度襲ってきたことに驚きを隠せずアルギルは地面に膝を落とす。


「はぁ、はぁっ、だぁてめぇなにもんだよ」


「任務失敗、新たな任務開始。目標は敵個体、撃破」


「そうですかっと。ま、そう簡単にやれるかよ」


 白い鉢巻を手慣れた様子で額に巻き拳にこめる力を強める。


鱗弾丸(スケイルシェル)


「ちょっと、そいつは想定外……!?」


 アルギルから放たれたのは白銀に輝く幾多の鱗だった。それはまるで意思があるかのようにそれぞれが別の軌道を描きアクセルの四方八方から襲い掛かる。


 最初は驚いたもののアクセルは襲い掛かる鱗たちを壊したり受け流して鱗同士で砕きながらアルギルにまっすぐバカみたいに素直に接近する。


「おららっら!」


鱗壁(スケイルウォール)


 猛攻撃を続けるアクセルを警戒し鱗を盾としてアルギル自身とアクセルの間に何枚も重ねた。


 だが、一枚、また一枚と気合でアクセルは壊してゆきながら近づいていく。その速度は徐々に早くなっておりもはや鱗の盾一枚生成するよりアクセルが二枚壊す方が速くなっていた。


「おらぁっ!」


「なっ!?」


 ついには最後の一枚も破られアルギルの視界を覆い尽くすように拳が広がっていく。


二撃大砲(ツインショット)!」


 今度こそアクセルの一撃アルギルの顔面に直撃しその勢いのままアルギルは地面に転がり落ちた。それと同時にフードが脱げる。その容姿は少年のものであり整ってはいたがところどころにアザやススが見受けられた。


「あ? お前その傷……訳ありか?」


「質問、意図、不明」


「そうかよっ!」


 立ち上がったアルギルに再びアクセルは殴りかかる。


(隙なんて与えない。量で押し切る……!)


 そう決意しながら拳を振り掲げる。


「排除が困難と断定」


 拳は軽々と避けられその次の手刀は片手で防がれた。アクセルの額に一筋の青筋が浮かぶ。

 それは自分の攻撃が防がれたことも原因の一つではあるが主な原因はアルギルがアクセル(こっち)の方を見ずに遠いところに視線を移していることだった。

 それがなによりもアクセルの逆鱗を踏んだ。


「戦いに集中しやがれ!」


「現任務を中断、前任務を開始する」


「なっ!? 待ちやがれ!」


 うごめく鱗でアクセルの視界を撹乱したほんの一瞬でアルギルは鱗で空中へと飛翔した。そしてそのままアクセルを無視しセリアが逃げた方へ飛んていく。


「まずいな」


 アクセルも慌てながら『加速(アクセル)』を使って肉眼では見えない速度で追いかけ始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ