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仕えるもの語  作者: マッド
中章 第一節 明けない夜はない
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第七十四話 追いかける

「ん、これでいいかな‥‥‥?」


 ガラやセロナ、クーガの半歩後ろを歩いているミストは分身体を消したのを確認しながら青空を見ていた。


「しっかし、誰なんだろうか。見覚えは‥‥‥当然ないし名前なんて知るわけないし。まーじで誰?」


 絶妙に顔をしかめつつ飴玉の感触がなくなったらまた別の飴玉をすばやくポケットから取り出して口に放り込む。


「あっこれ柑橘系かぁ」


 味とか気にせずに適当に飴玉を取り出しているため相対的に見たら苦手な部類の柑橘系の味を引き当ててまた一段と顔をしかめた。

 なんで苦手な味を入れるんだ?とときおり一番身近なアクセル筆頭に周りの人から聞かれると「そのほうが面白いじゃん?」と述べている。


「一応会わないように心がけますか。面倒なことになるのはお断りですね」


 大粒の飴玉を転がしながら消した分の分身体の代わりを生み出して走らせる。その一体には特別な命令を与えている。【ウォータニング】という宿屋についての情報収集をしてこいというものである。


「とりま、これでい‥‥‥」


「ミスト何やってんの! 早く早く!」


「あ、すぐに行きます!」


 独り言を言っているうちにクーガ達とわりと距離がついておりクーガの一言でミストは我に戻り慌ててクーガたちの方に駆け出していく。


『汝、自由を求めぬものよ』


「ん?」


 その途中、ミストは人混みの中から声のした方へ振り向いた。そこには半身が骨となり皮膚がひどいほど炙れて灰で全体像をあやふやにしている女性だった。


『思い出というのは……』


「思い出? なんそれ面白いの? じゃね」


 真剣な眼差しで口を開く女性を無視するかのようにミストは軽口で吐き捨てる。


『……』


 不機嫌なそうに頬を膨らませながらも女性は姿を消す。


 ◇◇◇


「なぁキュウクの兄貴、俺らこれからどうすんだ?」


「さぁ?」


「まじかぁ」


 馬車をひとまず置いて僕とカリ、アクセルの三人は街を特段なんの理由もなく自由に散策している。僕の返答になぜだかアクセルがため息をついているが気にしない。


「少しくらい離れ離れで行動してもいいんじゃない?」


「ま、そうだよな! …えっとカリの姉貴でいいんすか?」


「ボク的には姉貴なんてつけなくていいけど……」


「それはなんかこう自分の性分に合わないんで! ……っ!?」


???「っ!?」


 アクセルは会話に夢中となってなにかと肩をぶつけ倒れた。


「大丈夫かアクセル」


「あぁダイジョブっす……」


 僕はアクセルの方を心配しながら手を伸ばして立ち上がせる。

 それと同時にアクセルがぶつかってしまった相手の方を見る。ムウと同年代くらいに見える幼い少女で色白の肌に透明感あふれる緑の片目が暗めな金色の髪で隠れており二本の尾を下に向けながら左右にはためかせていた。

 僕に近い純粋な狐人(フォックス)だろうか?

 尾が複数種族がそこまでいないのもあるが大半が僕の勘である。


「僕の身内がすいません。大丈夫ですか?」


「……ごめん、なさい」


 僕が伸ばした手をはじいて震えなにかに怯えている声でつぶやきながら足早に去って行ってしまった。


「嫌われてるってことはないと思うけどさ、キュウク君心当たりある?」


「ない、ですね。ですがあれは訳ありですよね」


「うん。やっぱ分かる?」


「えぇそっくりです」


 去っていく少女の後ろ姿は迫害されていた時の自分に瓜二つだった。周りにいる自分より大きい相手すべてが敵であり視線が刃のように突き刺されただ怯えるしかないあの時の自分に。

 思い出すだけで嫌でも吐き気がしてくる。もし本当に彼女が僕と同じような状況ならば僕は彼女を救ってあげたい。


「キュウク君もあの子放っておけないとか思ってる?」


「ま、そうですね。ひとまずばれないよう追いかけますか。アクセル、クーたちに伝えてきてくれ」


「お、押忍っ?」


 カリと意見を合わせ僕とカリの二人は少女を追いかけ始めアクセルはクーたちの。約一名、そこまで乗り気というわけではなさそうバカがいるけど気にしちゃだめだ。

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