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仕えるもの語  作者: マッド
第一節 明けない夜はない
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第七十話 ライバル?


 サーペントに馬車に乗りながら向かって馬を操り運転している。運転に関しては出発する直前にじゃんけんをして負けた順から交代でしていくこととなっている。後ろから話している様子が聞こえてくる。


「セロナちゃん、さっきから思うんだけどなんでわざわざフード?」


 カリの声が聞こえ後ろにちらっと振り向く。セロナは灰色のパーカーを着て顔を隠していた。


「別にいいだろ。会いたくないやつがサーペントにいるんだ」


「えっセロナ、サーペントに行ったことあるの?」


「何回かな。海鮮のなんだっけな確かクラーケンを使った料理がほんのりな甘さもあって最高だった」


 ‥‥‥まじか。あのセロナが最高っていうほどの料理って一体どれほどのおいしさなんだろうか。


「なぁキュウクの兄貴」


「なんだアクセル?」


 隣を自力で走っているアクセルが声をかけてきた。その表情はげんなりと青くしていた。


「変な匂いするんだけど兄貴は気づいているのか?」


「匂い?」


 アクセルからの疑問を聞き周りの空気を探るように嗅いだ。アクセルの言うように確かに鼻に変にまとわりつくような血の匂いが広がった。


「すまんキュウク、少し止まってくれるか」


「どうしたんですかセロナ」


 怪しんでいると後ろからセロナがフードをかけたまま出てきた。その目元はキリッとしていて獣を殺すような眼をしていた。


「気配を四つ、恐らく山賊の類いだろうな」


「どうします?」


「愚問だな。来るならやるだけだ」


「分かりました」


 馬を一度止めた。それと同時に濃い緑のローブを羽織った山賊が四人現れた。


「ここを通りたければ荷物全部おいていけ。さすれば命までは取らない」


 リーダー格らしき人物が声を出しながらナイフを取り出した。


「ぶっ潰す」


 アクセルは腕を保護するための包帯を巻き戦闘の構えをとる。


「ん、キュウク君たちどうしたのってああなるほどね。手伝うよ」


「うわぁ‥‥‥皆さん頑張って!」


 カリとミストも出てきた。カリは前に出てきて機械の腕をさらけ出した。逆にミストは恐ろしいまでににっこにっこの笑顔で応援をしている。こいつ先に殺してもいいか?

 ぶん殴りたくなるが今はそんなことしている場合じゃないので仕方なく一つ命令を与える。


「ミスト、クーの護衛」


「ええっ!? ‥‥‥はい分かりました」


 てめぇ護衛する気もなかったな!? もはや呆然とするほど自由なのがミストであることは百も承知している。だがあとでデザイアかセンゴクにお仕置きしといてもらおう。


「キュウ私も!」


「立場をきっちりと理解した上で僕達に守られてください」


「うぅ不服だけど分かった!」


 元気のいい返事が帰ってきて満足しながら僕も武器を取り出す。切羽詰まった空気、誰かが一言でも話そうとしようとすればその瞬間に開幕するような。


「抵抗するならば死ね」


 リーダーの一言で全員が動き出す。お互いの武器がぶつかるその時だった。


「ちょっと待ったぁぁぁぁっ!!!」


 耳の奥まで届くような大声が轟いた。声がした方に振り向くとうっすらの赤い瞳に青紫色の髪で僕たちと同じくらいの青年が木の上に立っていた。


「お前らネルトのものだな」


 青年は僕たちと山賊の間に割り込むように木から飛び降りた。


「ちっキサマ、オルカ家の‥‥‥!」


「知っているのなら話が早い。お前らお縄についてもらおうか!」


 片手に先端にフックがついた縄ともう片手にピストルを持ち青年は意気揚々と山賊たちに突っ込んだ。

 縄で縛り上げたり足下をピストルで打ち抜き動かなくさせたりと一人で四人を難なくいなしていた。


「げっ、まさか‥‥‥」


「セロナちゃんどうしたの?」


「どうしたんですか?」


 青年の姿を見てセロナは顔をひどく引いていそうなのがフード越しからも感じた。


「くそっ撤退だ!」


「「‥‥‥」」


「待て!」


 リーダーの男が声をあげ撤退していき男に二人の山賊がついていく。青年は追いかけようとしたが山賊たちの足は速くすぐに見えなくなった。残されたのは縄で縛られたままの山賊一人だった。

 その山賊は何かおびえた様子で身体を震わせていた。


「世界に救済を‥‥‥!」


「しまっ!? だれか止めろ!」


 青年の声で無意識に身体が動き山賊を止めようとする。だが遅くて山賊の足元に真っ黒でおぞましい魔方陣が浮かびあがったと思ったら山賊の身体は最初からなかったかのようにローブと骨だけが残った。


「くそっまたか」


 近寄った青年は悔しがり地団駄を踏んでいた。そんな青年に僕たちは近寄る。


「えっとあなたは?」


「あっ悪い名乗らないとだな。俺はガラ・オルカ‥‥‥って後ろのフードを着たやつ」


「‥‥‥はぁ」


 後ろのフード多分セロナのことだろう。ちらっと振り向くとセロナはフードの先端を深々と目元まで被り呆れたようなため息をついていた。


「セロナだな。セロナだよな! 俺の一生のライバル!!」


 青年は僕を押しのけセロナに近づき目を輝かせた。


「ライバル、セロナの‥‥‥?」


「ライバルってセロナちゃんの!?」


「ん? どゆこと?」


 困惑する僕やカリ、あまりピンとアクセル、馬車から唖然としているクーとミスト。そしてセロナ自身はというと。


「くっそが。ガラ毎回いうが‥‥‥あたしとお前はライバルじゃない!」


 フードを脱ぎ恐ろしいまでに強い大声で青年__ガラの言葉を否定し氷柱でガラを吹き飛ばした。うん、ますます分からない。


「なまっていなさそうだな。ライバル(セロナ)!!」


 傷ひとつ見えない様子で立ち上がりながら再びガラは声を上げる。その顔はとても楽しそうだった。

 逆にセロナは額に青筋を浮かべ清々しいまでに切れていた。


 怖い。とっても怖い。

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