第六十八話 遠い遠い夢は
幕間はあと一、二話だといったな、あれは嘘だ。
ということで第一節『明けない夜はない』第一話となる第六十八話どうぞ!
女性は夢を見た。
それは遠い遠い思い出であった。
ゆらりきらめく霧の中周りを見渡す。
「待って」
霧の中、少女の後ろ姿を追いかける。
「ッ私も一緒に‥‥‥!」
「ダメだよオル」
裾を掴むと少女は振り返り憎悪や悲しみがぐちゃぐちゃに混ざり合ったような表情で掴んだ女性を突き放した。
「そんなこと‥‥‥!」
「船長命令だよ」
槍で女性を暗闇にへと突き落とした。
◇◇◇
「船長!」
暗闇が太陽を閉ざしている時、ある街の一角女性はベットから起き上がり窓一面に広がる海を眺めた。
「‥‥‥どこにいるんだ船長」
そうして女性は壁に飾り付けているボロボロのバンダナを見た。
涙が自然と頬を伝った。
「なにかありましたか!?」
その時を開け一人の赤目の少年が入ってきた。
「いやなんでもない、すまんな」
「そうすか。ならお騒がせしました。なにせアイツが来るってことでどうにも落ち着かなくて」
「聞いていないしもう夜だ。さっさと寝なさい」
「押忍っ!」
少年は扉を閉め爆速で自室に戻っていく。再び女性は一人になり身体を伸ばしたあとベットの横に置いてある剣を持った。
「少し動くか」
窓を開け二階から外の庭へと跳び下りしばらくの間剣を虚空に振るった。
◇◇◇
女性の名はベル・オルカ、オルカ家現当主兼初代当主。
運命の歯車は動き出す。
明けない思い出に――




