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仕えるもの語  作者: マッド
休章 幕間
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第六十六話 お風呂の一時

 キュウクが作った飯を食べ終え今は一人で風呂に入っている。十人、いや二十人は余裕で入れる大きさに驚きがあった。ただの使われてなかった別荘の割には

 贅沢にも大理石を天井や床にこれでもかと敷き詰めており昼間にあたしとクーガがきれいにしたこともあって輝きを取り戻している。


「ふぅ」


 一息つき天井をみる。湯気でぼやけはっきりとは天井の模様は見えないがそれくらいが丁度いい。

 一人っきりで入る風呂、初めての経験で気分が若干高まる。なにより静かでその静寂が内側から身体を温めてくれる気がして気持ちがいい。

 ああできればこの時間が永遠に‥‥‥


「あっセロナやっぱり抜け駆けしてる! ずるいっ!」


「そうだよ! 入るときくらいボク達にも言ってよ!」


 くっそが何故こうも幸せというのは一瞬で去っていってしまうのだろうか。

 不服だが声がした方を見るとクーガとカリがタオルを素肌に巻いて立っていた。

 お前ら確実にうるさくするだろ!というのを心の中だけで抑え込めたのは成長なのか否か、まぁどっちでも構わないが。


「別にいいだろ。入る時くらい個別でも」


「いいけど、最初くらい一緒に入ろうよ!」


 だるっ、こんな感情エルクにダルがらみされた時くらいだな。クーガの方を見ると頬をふくらませカリに押されるがままシャワーを浴びていた。


「クーガちゃん、ほんと髪綺麗だね。キュウク君のおかげ?」


「そうなんじゃない? よく分かんないけど‥‥‥」


「ん? なんだクーガ」


 一度浴槽からでて髪を洗っているクーガ達二人に近づくと何故か不服そうな顔で睨まれた。


「いや、その」


「どうしたのクーガちゃん?」


「毎回思うけど大きいなってセロナのその‥‥‥胸?」


 自分の胸をさすりながら小さな声でクーガは話していた。その言葉をききカリの動きも止まった。


「確かに、セロナちゃんのやつボクとクーガちゃんよりはるかに大きい」


「‥‥‥まぁ否定はしない。クラス分けのときもそれでクーガを煽ったからな」


 今思えばあの切れ具合はそれも原因なんだろうな。‥‥‥いやだがお前ら平坦すぎるだろ。あるにはあるがまだカリの方が若干大きいかってくらいか。そのぶん動きやそうではあるが。


「なんでセロナちゃんのは大きいのかなぁ?」


「さぁ? 運命ってやつじゃないか」


「運命‥‥‥」


「どうしたんだクーガ」


 【運命】その言葉を聞いてクーガが顔を落とし表情を暗くした。


「いやなんでもないよ! うん、なんでも、ない!」


 だが一瞬で顔をあげ元気よく話していた。


「なんか隠してるでしょクーガちゃん」


「いやホントになんでもないから!」


「そうか、‥‥‥魔王関連の話か?」


 明らかに何か隠している。一つだけたった一つだけ心当たりがあった。一週間前だがいつだが覚えてないがキュウクから相談されていたことがあった。

 カリを助けるときにあったという神をもすべる魔王と名乗るクーガについてだ。


「! なんで知ってるの!?」


「キュウクから聞いて少しな。お前の未来なのか知らないがいろんなお前がいるんだろ」


「あっそれボクエルクから聞いたことある! なんかリベラお姉ちゃんを助けてくれたって!」


「そうなの!?」


 意外だな、というかリベラって名前‥‥‥どこかで聞いたことがあるような?がまぁ今は関係ないな。


「その魔王と運命なにか関係あるのか」


「そのね、慌てずに聞いてほしんだけどその‥‥‥私はね、というか私の未来はもう決まっててキュウやセロナ、カリのみんなを殺してして世界にあるありとあらゆるものを壊す魔王になる」


「「!」」


 クーガの口から出てきたのは想像できないほどぶっ飛んだ内容だった。お前があたしたちを殺す? そんなことお前にはできないしキュウクが絶対に許さないだろう?


「いやいやなにってんのクーガちゃん。そんなことならないって」


「だ、だよね! そう、だよね‥‥‥! なんかごめんね心配させて」


 カリが背中を優しくポンポンと叩き笑い飛ばした。


「だな、もしそうなろうとしてもあたしたちが殴って止めてやるから安心しろ」


「ありがとう‥‥‥じゃその時はよろしくね!」


「ああ」


「任せて」


 このあと、騒ぎながらも三人で風呂につかった。


 ◇◇◇


 ◇◇◇


 焼きのけた野原の真ん中、一人の魔王クーガ__黒クーガは無言のまま刀を持ち立っていた。そんな黒クーを前に一つの軍勢がいた。

 まだ生き残っている人間や魔族、神々たちが組んだ連合軍である。


「またか‥‥‥」


 黒クーガが抱く気持ちは呆れである。どうせ勝てない、無駄死にするだけ、そう思いながらも毎日刀を振るう。


(どうせ最後に私が死ななければ私は死ねない。この世界にある絶対の(ルール)、私はこの世界の終着点であり、そこに辿り着くには世界のすべての生物、物質が滅ばなければならない。だがそんなことできない、不可能)


 大昔、キュウクが死ぬ間際に預かった刀__『無断ノ太刀(ムゴクノタチ)』という神殺しの武具の一つを軽く横に振るった。

 そう、本当に軽く払った。


 その一撃で軍勢は半壊した。これでも相当して手加減を加えた一撃である。


「たまにはこれを使ってみるか」


 刀を捨てるように空間にしまい黒クーガは藍を主軸に先端が三つに分かれた槍__海の帝槍(トライデント)を取り出した。

 それはかつて海の幽霊船にて手に入れた神の武具である。壊れないおもちゃとしては優秀であり手加減もしやすいおもちゃである。


「ミスト、ベルさん。使わせてもらうよ」


 槍の先端を軍勢に向ける。すると___


 ◇◇◇


 数分後、軍勢は崩壊しており石の上に黒クーガは威風堂々と座り周りの景色を眺めていた。自分の周りには血や死体が広がる。

 蒸発し干からびてる死体や銃弾で打ち抜かれたような死に方をしている死体。数数多な死体が広がっている。


「そろそろ、これの時期か」


 黒クーガは横に置いていた槍を見ながら水を飲んでいた。飲み食いする必要はないがどうしても海の帝槍(トライデント)を見るとつい水が飲みたくなる。


「ここに関しては私は干渉しなくても超えられるか」


 クーガはふと考えた。カリとの分岐点を変えたことで何が起こるかはまだ分からないが人手が増えるならあの幽霊船に干渉するのは逆に無駄になるしここで成長しなければそれから先の分岐点で厄介なことになる。


「しかしあれは正解だったのか」


 もう一つ考えるのはキュウクに授けた八つの記憶、必要だと思い渡したが無意味な可能性も無きにしも非ず。正味、格闘家と巫女の記憶だけでもいい気がしたがもうすでに後の祭りだ。


「答えてくれはしないかキュウ」


 思い人の名前をつぶやいた。虚ろに輝く瞳を薄暗い空を見た。

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