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仕えるもの語  作者: マッド
禁忌あるいは、奇跡
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第四十六話 あなたの強さ

投稿再開します。親との約束の影響で三日に一話出せたらいい方になるのでごめんなさい。

「クー……ガ」

 セロナは涙を流しながら弱弱しい声でクーの方に振り向いた。

「何があったの!セロナ!」

クーは腕を掴んでいる手を離して何とも言えない顔でそういった。

「何があったんですか」

 僕は心が痛んでしまうがセロナにどういう状況なのかを聞いた。

「‥‥いや、何でもない‥‥大丈夫だ、気にするな」

 セロナは涙を拭いて立ち上がった。口では大丈夫だと言っている‥けど、立ち上がったその姿はとてもつらそうで苦しそうだった。

 クーの方はセロナの言葉を聞いて下を向いていた。


「その傷で大丈夫な訳ない‥でしょう!?」

 訓練場の扉へ出ようとしているセロナの腕をつかんで僕は声を荒げた。左肩に開いている穴を氷で無理やり止血している、その傷を見るだけで命に関わる何かがあったのが分かった。だから、そんな体で動こうとしているセロナを止めた。


「今すぐにでも治療を‥‥」

「うるさい!!」

 セロナが僕の手を強く振り払った。その声には焦りや苦しみなどの負の感情が混ざっているように思えた。


「セロ‥‥ナ?本当に‥何が」

「クーガ、キュウクお前らには‥‥関係ない、あたし一人で何とか‥出来る!」


 セロナから感じたのは単純な怒りだった。けどそれは、クーや僕に対してのじゃなくてセロナ自身に対してだった。僕は言葉がつまって出なかった。どうすればいいか分からなかった。


「セロナ」

 そんなセロナの前に立ったのはクーだった。


「クーガそこをどけ、お前がいなくてもあたしは‥‥」


 バチンッ!!


 直後、響いたのはクーの平手打ちだった。その平手打ちでセロナは地面に倒れた。予想外の行動に僕はもちろん隣にいたミストも倒れたセロナに驚きを隠せなかった。

「‥‥」

セロナは倒れたままクーの方に顔を向けて強く激しく言った。

「ふざけるな、‥‥ふざけるな!!クーガ、あたしの邪魔をするな!」

その言葉にクーは返した。


「ふざけてるのはどっち!?友達になら助けてくらい言えないの!?それじゃぁ‥‥それじゃあ、前と何も変わってない!!独りよがりで一人で行動する、何も変わって無いじゃん!!何が最強だ、何が強さだ‥‥その前にまず自分を心配しろ困ったことあれば、私やキュウ、カリをたよればいいじゃんか、なんで‥‥なんでそんな簡単なことも出来ないの!?」


訓練場の空気が張り詰める。

セロナは地面に倒れたまま、クーの言葉をただ聞いていた。拳を握りしめ、唇を噛み、何かを言い返そうとしても、言葉が出てこない。


クーは震える声で続けた。

「セロナが強いのは知ってる、そういう性格だってのも知ってる。けど‥‥だから、一人で背負うなんて、そんなの‥‥そんなの、許さないよ」


セロナの瞳が揺れる。

その瞳には、怒りでも反発でもなく、ただただ――悲しみが滲んでいた。


「‥あたしは‥‥あたしは!カリを守り切れなかった、ただ弱かった、あたしはお前みたいに強くない弱いんだよ!!ただ世の中を知らなかった雑魚で愚か者なんだよ!!魔王の娘のお前にこの気持ちは理解できないだろうな!!なぁ!!!」


「そうだよ‥‥分からないよ、分かるわけないじゃんか!!?誰かの気持ちを理解するなんて私にはできない!!けど、今あなたが苦しんでることだけは分かる、苦しいなら分からせてよその気持ちを、今セロナがしたいことをしてほしいことを!!」


一瞬の沈黙の後セロナは答え始めた。


「あたしは‥‥カリを助けたい、だからクーガにキュウク助けてくれこんなあたしを‥‥」

 それがセロナの答えだった。それに対してのクーと僕の返答は、

「もちろん、友達なんだから」

「YES以外の言葉はありませんよ」

 返答は同じだった。助ける、それ以外の返答なんて一切浮かばなかった。


「じゃあ、キュウ今すぐに学院に移動(テレポート)よろしくね」

「はい、分かりました」

 僕はクーの言う通りにすぐ魔方陣の準備を始めた。


「あたしも‥‥」

「だーめ、その怪我治してからミストと来て。ミストお願いできる?」

「いいですけど、キュウク様少し同調(リンク)で魔力借りますよ」

「分かった、けど早くしろよお前との同調(リンク)は魔力消費量が馬鹿みたいに燃費悪い方なんだからな」

「はいはーい、さっさと倒して帰ってきてくださいね。私働くのウェザ兄以上に超嫌いなんで」


 ミストはにこっと笑いながらセロナの肩に手を当てて治療を始めた。それを確認すると僕は魔法を発動させ僕とクーの身体を光が徐々に包んでいった。その途中で僕は思ったことがあったので聞いた。

「セロナ‥‥あなたの強さはなんですか」

 それだけ言い残して訓練場から姿を消した。


◇◇◇


「あたしの強さ‥‥か」

 先程、キュウクに言われた問いについて深く考えていた。今まで強さといわれてもあたしはバラク家で学んだ「弱肉強食」の教えや物理的な戦闘力しか浮かばなかった。だがさっきのクーガの言葉で勇気の強さを知った気がする。けど、他に何が足りない決定的な何かがあたしを止まらせてる気がする。そこで、あたしを治療しているミスト?という少女に聞いた。


「なぁ‥‥」

「何ですか」

「強さって何だと思う?」

「強さ‥ですか、残念ですが私はそんなの分かりませんし第一興味がありません。そもそも強さって考える以前に必要なんですか?」

「は?どういうことだ、強さなんていくらあってもいいだろう、この世界は強い奴が上に立つ、実際魔王様は強いから王としてこの国のトップにいるんじゃないか」


 そうじゃないとこの世界は生き残れない、弱ければ一方的に喰われてしまうんだから。


「まぁ、強い方が生きやすいでしょうね。ただ、自分の強さなんて口にしたり考えたりするのに意味あるのかなーって思うんですよ。だって強さは後からついてくるものですよね。それを今考えてもしょうがないと思いますよ。それとあと‥」

「あと、なんだ?」

「えっとですね、私カレ姉とかデザ兄とかの上の兄妹?眷属?たちと違って戦闘とかほぼしたことないんで強さを欲したことないんですよね、能力的に情報集めとかそっち側ですからね。だから、今は強さなんて必要ないと言えるんでしょうけどいずれ今とまったく違うこと言ってますよ。人生は長いので」


 そういう物なのか?あたしは驚いた、強さが後からついてくるという考えにそんな考え浮かんだことすらなかった。


「なら、あんたの必要とする物ってなんだ」

「今は飴玉ですよ。まぁどうせいずれ必ず変わります、なんか‥こう縛られるというか一つのことにばっか執着すると私は退屈に感じてしまうんですよ、自由に生きたいということなんでしょうね。縛られるのは好きではないです、‥‥そう思うとアクセルが少しうらやましいですね、迷いがあったらすぐ走って忘れられるんですから。おっと、失礼私としたことがあの馬鹿を口にしてしまいました」

「そう‥‥なのか‥‥」


 変わる、かそんなことあたしに出来るのか、‥‥分からないそんなこと。


「あなたも自分のしたいように自由にすればいいですよ。できるかは知りませんがね、自分は自分、他人は他人ですから。他人の考えなんて無視していいんです、だから私の考えも否定しても無視しても構いません。だって、それはあなたがあなた自身で選んだ道なんですから」


 自分は自分、他人は他人かこれをもしあたしで表すならあたしはあたしの考え、バラク家はバラク家の考えってことになr‥‥まてよ、


「そうか、そういうことか!!」

「わっ!?急に何ですか!?」


 分かった、もしかして私が止まっていた理由は___かもしれない。


「ありがとう、えっと‥‥」

「そういえば自己紹介してませんね。私はミスト、ミストでいいですから」

「あたしはセロナ・バラクだ。セロナでいい。ありがとうミスト、あんたのおかげで分かった気がする」

「そうですか、じゃあさっさとこの怪我治しましょう!」

「ああ!頼む!」


 ミストはニコッと笑顔を向けた。あたしも笑顔でそう返答した。

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