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仕えるもの語  作者: マッド
呪いと科学の家で生まれた者よ、何を願う
49/50

第四十四話

 魔王城の会議室にて__

 本の内容に驚愕していると脳内にミストの声が届く。

『キュウク様、キュウク様ってば!聞こえてますか!』

その声はどこか慌てている様子だった。

『とりあえず落ち着け、ミスト』

『えっ!?、あっまぁそう……ですね』

 僕の声でミストが少し落ち着いてくれたそうだ。

『それでどうしたんだ?』

 僕は口にお茶を運びながらミストに聞く。

『えーとですね、クー様がトイレに行くって言ったのでその間に逃げていたら……』

『あ?』

『あっ違いますよ!?クー様のことだからお菓子食べるだろうなと思ってキッチンに行っただけですからね!』

 それならいいんだが、心の中で愚痴りながらさらに深く聞く。

『で、その続きは?』

『キッチンに向かってる途中に訓練場兼遊び場ってあるじゃないですか』

『そうだっけか、あそこ通るならデザイアとかお前の部屋に行きつくと思うんだが?』

『気!気のせいですよ!』

 ミストが慌てて声で僕の考えをかき消すかのように話す。

『そうしておくよ。で、だ。訓練場で何かあったのか?』

 話の内容的に訓練場で何かがあったのがほぼ確定だなと思うが、そこって数分くらい前までクーと僕、セロナ、カリがいたはずだしその後に誰か入ったのかな?けど、別にそれならミストが慌てるようなことではないよな。

『なんか、金髪の獣人の女性が涙を流しながら芝生を強くたたいていてめっ………ちゃ!怖いですけど!』

『お前の知らない人なのか?』

『はい、一切の見覚えがありません』

 ミストが知らなくて金髪の獣人の女性……もしかしてセロナかな。けどセロナはカリと一緒に学院に帰っていったのをこの目で見届けたし、それはクーも知っているはず。おかしいな。

『あぁ多分僕の知り合いだと思うから、とりあえずちょっとそこで待っててくれ』

『了解です!』


 ◇◇◇


 ミストとの会話を終わらせて本を閉じて椅子から立ち上がる。そして、会議室を出ようと扉に手をかける。

「何か、あったのでしょうかキュウク様」

 後ろからデザイアが声をかけてくる。

「ちょっと急用が出来たんだ。すまないが会議はここで終わらせてもらう」

「分かりました。その急用については詮索は致しませんが、先程述べてくれた神殺しの武具(ゴットキルウェポン)についてどうしましょうか」

「そうだな……もし、仮に発見しても迂闊に触らずに僕のお父さんに連絡すること。もしくは僕に伝えてほしい」

「了解です」

 それだけ言い残して会議室を出る。


 ◇◇◇


「どうしましょうか」

 部屋に残されたデザイアが腕を組んで考える。

「我は魂の故郷(ソウルブレイズ)に帰還するとしようか」

 ウェザーがロングコートをはためかせて席から立つ。

「北の塔に戻るんですね。どうぞ勝手にしてください」

 ウェザーの中二病を漂わせるセリフをデザイアは何が言いたいのかを瞬時に理解して淡々と返す。


「わたくしはこの紅茶を片付けたらキュウク様について行きます。文句はないですよね、デザイア」

 カレンはキュウクが部屋を出てすぐに紅茶の片づけを開始している。

「ないですよ。強いて言うなら私もついていきたいのですが……」

「あなたよりわたくしの方がサポートに向いているので大丈夫ですよ」

「そうですよね」

 確かにサポートという面では『創造(デザイア)』よりか『吸収(カレン)』の方が優れている。

「ブックはどうするんですか」

 席に座ったままキュウクが置いた本を再び開いて読んでいるブックにデザイアが問う。

「うん?あぁこれ読んだら世界の書庫(ユグドラシル)に戻るからほっといて」

「そうですか」

 なら……と心の中で言いながらデザイアは部屋の外に出ていく。

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