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仕えるもの語  作者: マッド
禁忌あるいは、奇跡
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第四十一話 変幻自在の銀バッタ

千突千禍(せんとつせんか)

 リンが槍をもう一本作り出して歩いて迫ってくるカリに一本の槍が千本に見えるような速度で突き出す。

「‥‥‥」


 カリは無言で瞳の色を左の青を銀色に右の赤を黄緑色に変化させる。その後に機械で出来た右腕から鉄で造られたバッタのようなものがいくつも飛び出してリンが突き出す槍を無駄なく防いでリンに近づく。


「それはクラスターの『(セル)』じゃ‥‥‥!」


 カリが行っている行動にはリンには見覚えがあった。それは昔、自分とスエイ、スーラ、トリガーと一緒に悪魔界で自由気ままに旅をしていた時のもう一人の仲間クラスターの固有能力。『(セル)


 ◇◇◇


「てめぇ!」

 スエイもその行動を見て怒るようにカリに後ろから殴り掛かる。カリはスエイの方に振り向いてまたもや鉄のバッタで防ぐ。


「てめぇ!どこでクラスターのその力を奪いやがった!」

 スエイは狂うように怒る。悪魔にはごく稀に特殊な能力を持って生まれる者がいる。例えばスーラの特殊な泡__『(ホウ)』などがいい例だ。


 悪魔は強くなればなるほど実質的な不死に近づいていく。悪魔は最下層、下級、中級、上級、帝級(カイザー)の順に分けられており、上級以上はもし仮に殺されても数十年から六百年ほどで復活する。リン含めてスエイ、スーラ、トリガー、クラスターは上級に位置する悪魔。


「あいつは!上級悪魔、死んでもいつかは復活する!けど‥‥‥!」

 けど、クラスターは何故か復活しなかった。七百年以上たった今でも。スエイの瞳にうっすらと涙が浮上する。


「‥‥‥」

 カリは答えずにターゲットをリンからスエイに変更して急接近をする。


「何も答えないつもりか!殺す!」

 スエイとカリの拳が重なり激しい風が巻き起こる。


「‥‥‥」

 そこで、何を思ったのかカリが一度後ろに下がり、腰のポケットから二本の液体が入った試験管を取り出して一本は飲んで一本は機械の腕にあるくぼみに装填する。


《鷹ッ!》


 この場には似合わない軽快な機械音がなると共にカリはサイエン家によって無理やり接合された機械の腕を世にも珍しい形をした__銃の一種、ガトリングという物に形を変えて、目の色も左目を白よりの灰色に右目を橙色に変える。


 スエイをハチの巣にする勢いで魔力で造られた銃弾を何百発も放つ。


「スエイは‥‥‥殺させない、やって‥‥‥ぷくぷく達」


 スーラが椅子から起き上がり少し切れ気味に小悪魔たちに命令して小悪魔たちがスエイの前に立って銃弾の軌道をそらす。


「お姉ちゃん‥‥‥仇‥‥‥とるからね」

 スーラはカリを見ながら杖をしっかりと握って持つ。

「‥‥‥」

 カリはこれ以上の銃撃は無意味だと判断して腕から試験管を取り出して腰から別の試験管を取り出してハメる。


《ラビットッ!》

 軽快な機械音と共にカリの目の色が元の青と赤に戻る。


 ◇◇◇


「スエイ、スーラ挟むぞ」

「分かってる!」

「‥‥‥了解」

 三人はカリをクラスターを殺した敵として認識する。

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