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仕えるもの語  作者: マッド
禁忌あるいは、奇跡
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第三十六話 記憶の食い違い

投稿遅れてすみません。テストは来週の金曜日に終わるので、その次の日から投稿頻度を戻します。

あと、キンの髪色を真に勝手ながら変えさせてもらいました。申し訳ありません。

「えーと、まずこれなんだけど、デザイア、これと()()()()()()物作れるか?」

 僕は空中からジパングで買った刀を取り出して机の上に置く。


「触れてもよろしいでしょうか」

「あぁ、いいぞ」

座っているデザイアが立ち上がって手袋を創り出し、手にはめ刀を持ち上げて数秒ほど眺めている。


刀を置いてデザイアが口を開く。

「形が同じものは作れますが性能までは不可能ですね。呪いとか魔法以外の何かが埋め込まれてますね」

「そうか」

デザイアは刀を元の位置に戻そうとしながら話す。


 すると、デザイアの顔色が一瞬青くなり、クラっ、と倒れそうになるがすぐに顔色と姿勢を戻し刀を机に置く。


「デザイア、大丈夫か。‥‥って何それ」

 席に座り直そうとするデザイアのポケットからメモ帳サイズの日記のようなものが落ちてきた。その日記にはこう書かれていた。

【キュウク様とクーガお嬢様の観察日記ボリューム二千二十二.九四】と。

そのタイトルを見たら、自分の体全体が恐怖とは別の感情が沸いてゾッとした。


 僕が拾ってあげようとしたら、

「キュウク様がみるほどの物ではありませんよ」

デザイアが目に見えないほどの速さの手の動きでポケットに入れ直す。


「見せろ、これは命令だ」

じーーと強くデザイアを見ながら話す。

「‥‥‥分かりました」

 デザイアが観念してくれて日記を僕に渡してくれる。


「ぼくも見ていい?」

「お前はダメだ」

「痛った!!」

 ブックが僕のそばに近づこうとするとブックの頭上にデザイアの拳骨一発が振り落とされる。

 何やってんだあいつ。


「我は‥‥」

「‥‥‥」

「はい‥‥‥ごめんなさい」


 ウェザーも近づこうとするとデザイアの鬼のような目で睨みウェザーが委縮して座り直す。可哀そうな奴だよなウェザー。

 カレンは我関せずという雰囲気を出しながら先程の様子からは信じられない凛々しい顔をして壁に立っている。

 あのあなた、さっきまでの様子はどこいったのかな?


 その様子を見て苦笑しながらも日記を開いていく。日記の中には、恐ろしいことが書かれていた。

 一日の(まばた)きの回数やクーと話した文字数、空気を吸った回数などなど、下手なストーカーよりおかしいことが書かれている。

 見た時、頭の回路が急に止まって真っ白になった。


「デザイア……」

「何でしょう」


 デザイアの方に目を悪気を一切感じさせない微笑みを浮かべている。その微笑みのせいでよりデザイアを怖く感じる。


「お前、なんでこんな物書いて‥‥‥いるんだ?」

「従者として当然のかんs‥‥‥動きを完璧に推測をするために書いているだけです」


 駄目だこいつ。限度を知らない。


「よし、後で色々お前の部屋は見させてもらうとして、デザイアは、刀には何が埋め込まれているとお前的には予想する?」

「呪いに近い‥‥‥怨念でしょうか。魔力などを吸い取るほどの強い怨念ですね」

「あぁだから、お前一瞬倒れそうになったのか」

「申し訳ありません。キュウク様の眷属として恥ずかしい限りです」


 デザイアが歯を食いしばりながらお辞儀をする。


「顔をあげろ、デザイア。僕だってジパングで同じような事があったからさ。けど、お前って能力で概念的な物や霊的な物も創り出せたんじゃないか?」

「いえ、私はそういう物は創り出せませんよ」


 あれ、そうだっけ?創れたような気がするんだけど‥‥‥。


「デザイア、あなたってムウが自我が出るときの戦闘で土のない空間を創ってませんでしたか?」


 カレンがデザイアの言葉に突っかかる。


「何を言ってるんですか、ムウが自我が出るときの戦闘はあなたの『吸収(カレン)』にキュウク様も同じのを使って協力したのでは?」

「え?」

「え?」


 珍しくデザイアとカレンの声が重なる。当たり前だな、食い違いどころの話じゃないからな。デザイアもカレンも嘘をついてる様子はないので‥‥‥というか嘘をつく必要がないためわざとではない。もしかしたら‥‥‥。一応ウェザーとブックにも聞いてみる。


「なぁ、ウェザーとブック、お前らの記憶だとムウとの戦闘ってどういう感じで終わった?」

「ぼくの中だとセンゴク姉さんが『破壊(センゴク)』を使って一撃でやっつけてからあの可愛らしいムウが出てきてセンゴクの性格が一変して腹抱えて地面でアクセルといっしょに笑ったかな」

「我が凪嵐(カーム)によりムウを天高く舞い上げて白き雷鳴による一撃で沈めたはずだぞ」


 ブックはその時を思い出したのか白衣で笑いを隠している。ウェザーはデザイアに怒られないように派手なポーズを取らず机の上で小さな竜巻を発生させて、遊んでいる。


 もしかしたらの予想が当たってしまった。ここまで食い違いが起こることなんてあるか?僕の記憶だと‥‥‥あれ、覚えて‥‥‥ない?


 どれだけ記憶を掘り返そうとしてもムウとの戦闘だけは思い出せない。ムウの能力『大地(ムウ)』は記憶の操作とかの類ではないので不思議なことが起きている。


「デザイア、お前が全員に能力を使って記憶操作してるとかない‥‥‥よな?」

「ないですね。先程言った通り私の能力では概念的な物は創れないので記憶操作をする物は創れません。もし、できたとしてもキュウク様は私の能力で創ったものを使用すると『破壊(センゴク)』が自動的に発動して創った物を壊しますからね」

「そうだよな‥‥‥」


 確かに、デザイアが『創造(デザイア)』で創った料理とか食べると無意識に『破壊(センゴク)』が発動して舌に触れた瞬間に消えるように霧散するし。

 拳に頭をのせながら僕は考え始める。

 記憶がすっぽりない10から13歳の時期に関係があるのだろうか。けど、ムウはその前から居た記憶はあるんだよな。


「ブック、【世界の書庫(ユグドラシル)】の【記憶の大樹(メモリーツリー)】に行ってムウとの戦闘記録があるか見てきてくれるか」

「えぇ、キュウクさ、ぼくがあそこ行きたくないの知ってるでしょ。行くと、なんかこう嫌な悪寒が走るというか」

「そういわないでさ、僕だと()()()()入室(アクセス)しようとしてもはじかれるんだから」


 何故か、『知識(ブック)』を使って【記憶の大樹(メモリツリー)】に入室(アクセス)しようとすると警戒されてるのかは知らないけどバチっと手の平から身体全体に電撃が流れてくる。


「あぁ、そういやそうだったね?‥‥‥分かった、一応見てくるよ。その代わりに後でペンのインク買ってね」

「了解」


 ブックがウインクをしながら扉を開けて魔王城の廊下とは別の空間__【記憶の大樹(メモリツリー)】に消えていく。

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