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仕えるもの語  作者: マッド
禁忌あるいは、奇跡
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第三十三話 会議室でのほんの一時

 会議室に入るとカレンがすでに紅茶を入れる用意をして廊下側の壁に立っていた。

中には木製の長テーブルが一つ置かれていて椅子が何脚か置かれている。席に座るとカレンが紅茶を置かれているコップに優雅にいれる。その後にデザイアが入ってきてウェザーの服の根元を引きながら入室してくる。

ウェザーは必死に抵抗しているがデザイアの力が強いのか泣く泣く引っ張られている。


「チッ、デザイアがいるんですか」

カレンが舌打ちをしながら入ってきたデザイアを睨みながら話す。

「何か問題がありますか。カレン、キュウク様の御前ですよ。舌打ちはしてもいいのですが」

 デザイアが表情を崩さずにカレンに反論?していつもはデザイアと同じで無表情のカレンが悔しそうにデザイアを見ている。

 ホント、カレンはデザイアと張り合ってるよな。デザイアはそんなことなさそうだけど。


「フハハハ……貴様は運が良かったな、デザイアよ……!我が封印されし力__その解放は、今宵の星が正しき軌道を描く刻まで持ち越されることとなった……。だが忘れるな……次に対峙する時、貴様はこの世界の理を超越せし漆黒の業火を見ることになる……!その瞬間、貴様の運命は、無限の深淵へと墜ちるのだ……!」


ウェザーが空気を読まずにデザイアの後ろからにまた意味の分からないことを言っている。

「黙れ、ウェザー」

「後できつくお仕置きをさせてあげるので少し座っててください」

 デザイアとカレンが目を光らせながら順番にウェザーの言葉にきつく話し、ウェザーが小さく「……ごめんなさい」と言っているのが見える。

 分かる分かるよ、ウェザー。冷静沈着なタイプの人が怒るとなかなか逆らえないよね。僕は少しだけウェザーがかわいそうに思いながら紅茶を口元に運び一口。


 何だ、この味?、紅茶であってるよな。こう……なんて表現すればいいのだろうか……味覚が旅に出るとかかな。

すぐに飲んだ紅茶は喉の奥に追いやってカップを勢いよく机に置く。

「キュウク様、どうしたのですか、お口に合いませんでしたか」

カレンが駆け寄り僕を心配する。

「カレン……これ紅茶だよな。別の何かじゃないよな」

僕は置いた紅茶をよく観察しながら聞く。見た目は普通のどこにでもある紅茶の色。

「紅茶です。キュウク様のお好きな銘柄をえりすぐりの三種類を選び混ぜさせてもらいました」

 は?カレンは何言っているんだ、三種類混ぜただけでこんな味になるはずないだろ。

それこそ、極端的に苦いのと辛いのと甘いのとか混ぜないと作れないだろ。

 カレンのことだから僕が甘いのは知ってるはずだからそんなことしないはずだし。


カレンの方を見ると味に自信満々で僕にほめてほしそうな顔をしている。

「カレン…」

「何でしょう」

カレンの顔がなかなか見ないほどに明るすぎて話すのが難しいが口を開く。

「お前二度と一人で紅茶をいれるなよ」

「なっ……!?」

 カレンがその場に絶望しながら膝から崩れ落ちる。

「キュウク様、毒見させてもらっても構いませんか」

「別にいいけど…危ないよ…」

デザイアが近づいて紅茶を一口飲む。

「あぁこの味…カレンあなたは、三種類だけじゃなくて四種類混ぜましたか。苦いのと唐辛子茶と酸化させたのと梅紅茶ですかね。まったくよくこんな味をつくれますね」

 デザイアが呆れるようにカレンの紅茶を分析している。

確かに唐辛子茶とか梅紅茶は好きだよ。けどさ、あれって混ぜるものじゃないよね。

 僕はその様子を見て苦笑しながら空間から自分で作ったお茶を取り出して飲む。

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