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仕えるもの語  作者: マッド
禁忌あるいは、奇跡
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第二十八話 ボクのためのお願い事

 訓練場の扉を開けるとカリが真ん中に立っており、こちらに気づいて手を振る。


「カリ、急に呼び出してなんですか」

「そうだぞカリ、あたしたちを呼び出しておいて何の用だ」


 僕とセロナが近づきながらカリに質問する。


「少し、渡しておきたいものがあってね」

 そういって、カリは笑いながら僕に液体が入っている瓶をセロナに謎のボタンを渡してきた。カリの顔は笑っているが心の底からは笑っていないように見えた。


「なんだ、これは」

 セロナがボタンの隅々まで見渡しながらカリに聞く。

「あぁ‥‥‥これはね、えっと‥‥‥ボクを止める用の道具かな‥‥‥」

「止める?」


 僕はカリの止めるという言葉が気になった。


「これはボクからのお願いなんだけど‥‥‥聞いてくれるかな?」


 カリがいつもの自由な様子とは打って変わって顔を暗くして話す。


「いいですけど何ですか」

「なんだカリ?」

「ボクがまた暴走したらさ‥‥‥」


 暴走‥‥‥あぁジパングでの、それを止めてくれってことか。




()()()()()()


「「‥‥‥は?」」


 カリの口から出てきた衝撃の言葉に僕とセロナは言葉を失う。

 は? ちょっえっ? カリを殺すってどういうことですか‥‥‥!?

 カリの方を見るとその笑顔が何故か涙と悲しみで作られているように感じた。


「どういうことだカリ、なぜあたしがお前を殺す必要があるんだ」


 セロナが口を開いて、カリに聞く。


「急だったよね。ごめん。けど、これしかないんだよ」


 カリがへらへら笑いながら僕たちに謝る。なんであなたが謝らないといけないんですか?どうして?

 疑問が尽きない。


「カリ、理由を話せ。なぜあたしたちがお前を殺す必要があるんだ」


 セロナが鋭い目つきでカリを見つめながら質問する。


「じゃあ、少しだけ座りながらしゃべろうか、キュウク君、セロナちゃん」

 カリが笑みを崩し真剣な顔になり芝生に腰を下ろして話始める。

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