第三話 魔王の娘と天才の宣戦布告
魔族学院クラス分けのテストと当日
___馬車の中
「う~~この服なんか嫌だな~~」
クーは魔族学院の制服に愚痴を漏らす。
制服は白がベースの服を上から赤色の上着を着る形でクーの髪色とマッチしていてとても素晴らしい。普通の魔族や人なら一目ぼれするだろう。
ちなみに、僕もほとんど同じふくそうしているが違いといえばスカートかズボンかというところだけだろう。
「そういわずに。そういう物なんですから」
「そうだけどさぁ。私こういうきっちりとした服苦手なんだよ」
確かにクーはズボラというほどではないがきっちりした服を着ているイメージはないなと思った。
「グチグチ言わないでください。お嬢様」
「む~!その言い方もなれないんだよなぁ」
明るい怒りを積み上げていくクー。このお嬢様という呼び方にご立腹らしいが、魔王様の命でこの呼び方が強制されているので逆らうことは出来ない。
そんな他愛のない言葉を交わしていると、
「クー…いやお嬢様着きましたよ」
馬車の窓から魔族学院が見えてきた。立派な建物で複数の校舎や多くの生徒たちが利用する寮が見える。昨日のうちに学院のマップ自体は覚えたから。クーを迷わせることはないだろう。絶対にクーを一人でこの広い学院を歩かせたら確実に迷うなと考えている。
「今クーって言おうとしたよねキュウ」
自分に都合が悪いので黙秘する。
「黙ってないで何かいいなよ~~キュウ」
「お嬢様、そろそろ降りますよ」
これ以上は黙秘もきつそうなので話をずらす。
「も~~!」
膝に頭をのせてきてあざといなとも思ったし、こういうので誰も従うと思わないようしないとなと思った。
___数分後
校門を通り抜け、、獣人、エルフ、ゴブリンなどの様々な種族が見かけられいろいろな話声が聞こえてくる。
「おぉーでかー!」
クーが驚いているが正直に言って想像以上に大きかった。魔王城よりは小さいと思うが相当大きく面積だけなら魔王城よりも大きいのではないのかと思うほどには大きかった。
「はーい!こちらの訓練場で実技テストを行いますので自分の番号を確認して言われた場所に行ってくださーい!!」
校門の右側から大きな声が受付をしている人の声が聞こえた。
「お嬢様いつまでも見惚れてないであっちに行けますよ」
「見惚れてなんかないし!」
クーはそう言っているがまるで新しおもちゃを見るように見つめていたし嘘だと思う。それはそれとして複数の視線がこちらを見つめている。
「お嬢様、複数の視線気にならないんですか?」
クーの耳元でささやく
「えっ視線?……あーーーーうん。も、もちろん気づいてたよ!」
「嘘ですよね。はぁ」
どうやら気づいていなかったらしい。
クーらしいけど。気づいていなかったことに小さなため息をつく。
「だって~~魔力が弱いと私は気づかないんだもん」
クーが周りの人にも聞こえるくらいの声で話す。直後、すべての魔族の視線がこちらに向かう。
クーのバカっ!と心の中で叫んだ。直接言ったら怒られるから駄目だけど。
「………ヤベッ」
さすがにクーも自分の失言に気づく。
時すでに遅し、「何だあいつ」「魔王の娘だからって見下してんだろ」「推薦入学はいいよな」「俺たちの苦労なんて知らないくせに」「七光ごときが」‥‥などなどクーへの様々な暴言が聞こえる。
そんな中、僕とキュウの目の前に一人の女性が歩いてくる。金色の短髪から生える獣の耳が特徴でおそらく獣人の一族だろう。
見た目からはクーと同じ服装なのに威厳がして気が強いだとタイプだと感じた。
「ふ~ん魔王の娘だからってビビっていたがまさかこんなやつだとは。見るからに馬鹿ぽっいな。胸もないしちびだしこんながあの魔王様と王妃様の子供なんて信じられないわ。ホント推薦入学がうらやましいわ」
傲慢不遜な態度をとる彼女に嫌気がさしながらも前で心が怒っているであろうクーを見てこれを抑えるのは骨が折れるなと思い、彼女の態度よりクーの行動に集中している。
「そうだ、名乗りが遅れたね、あたしはセロナ・バラクお見知りおきを」
「バラク……あぁ、あのバラク家か」
僕がつぶやくと、
「後ろの従者かな?君はこの子と違って賢いね。あたしの配下にならないかい?」
「結構。自分の主はお嬢様ただ一人です」
彼女_セロナ・バラクはふざけた提案をしてきた。クーを裏切ってこちらにつけと、そんなこと死んでもお断りだね。
「ねぇ、キュウク、バラク家って何?」
クーに怒りがこもりながら僕に問う。手をまだ出していないだけで偉すぎるのだがすでに堪忍袋の緒もう限界が近いだろう。
「バラク家とは魔王軍の一の魔法使いを筆頭に優秀な魔法使いを輩出する名家です」
普通ならば魔王の親戚関係に無礼な行動や言動をすると打ち首の刑なのだがこの学院に入学したなら学校にいる間は平民だろうが貴族だろうが同じ対応、たとえ、魔王の娘であっても。
「あっそう」
いつものクーと明らかに違い明るい様子はなく、ただただ情報を収集し彼女がどういう立場のなのかというの観察している。
「ところで君たち自分が特別だと勘違いしていないかい。君たちはただ運が良かっただけで天才のあたしにはかなわない。どうだ、実技のテストどちらが高得点を獲得できるか競わないかい。むろん、あたしが勝つと思うがね。」
「特にそこの従者!名前は‥えっと」
「キュウク・スチラーです」
「そうキュウク・スチラー!君のスチラー家はあたしのバラク家と同じで優秀な魔法使いを輩出する名家。それなのに立場上はスチラー家の方が上だ。おかしいとは思わないか?君ような何の才もない魔族が上で私のような天才が下ということが」
何の才もないだと。ホントに人を不快にさせるのが上手だな。これだからバラク家は嫌なんだ。実力が第一で性格なんて二の次の一族なんて。セロナの発言に怒りが出るが心の中で収める。
「その勝負受けてたt……」
「その勝負私が受ける。キュウクはあなたなんかよりすごい、魔法の天才だキュウクが出なくても、私で十分だ」
相当、お怒りのようでセロナの言葉に気に食わない言葉があったのだろう。
さっきからキュウではなくキュウク呼びなのは怒っている証拠だ。それにクーの膨大な魔力が荒々しく流れ出ている。
こうなったら、僕にはどうにもできない。収まるのを待つことしかできない。
セロナ・バラクはクーの逆鱗に触れているので収めるにはセロナがどうにかしないとなと
その状況を静かにクーが更に不機嫌にならないように徹するべきだなと考えた。
「ふむ、やる気は十分なようだね。それじゃあいこうか試験会場へ」
セロナがそういうと受付の方から次の組の案内が聞こえてきた。
セロナは顎を上げ自分の力が正しいと信じ、クーは自分の従者ののために魔力が二人からあふれ出て周りを見渡すと、魔力に呑まれて倒れているものも見かけられる。
そんな魔力同士が激しくぶつかりながらクーと僕、そしてセロナ・バラクは試験会場に向かう。