第二十三話 氷と刃の交錯
息の一つ一つが重くなり緊迫する空気が流れる。セロナが素早く動きラクンをかく乱しながら時々氷柱を放つ。セロナにラクンの剣が当たりそうになるとカリが移動を使って試験管の中の液体を剣にぶつける。剣はドロドロに溶けてラクンは舌打ちをしながらその場に捨て別の剣を形成する。
「鬼式流 居合鬼り!」
クーが屋根の上から一直線に斬りかかりラクンの左腕を切断することに成功する。
「よし!」
クーが拳を握りしめたがそれも一時、ラクンの肩から気持ち悪く骨が一瞬で生えてきて骨から肉が生まれ腕が復活する。
「うわっ気持ち悪い」
クーがその様子を見ながら剣についた剣をポケットから取り出した使い捨てのハンカチで一回ふき取り建物沿いにあるごみ箱にポイっと投げ捨てる。
僕は屋根上から飛んでくる斬撃を躱しつつラクンの攻略法を考える。あの再生能力仕組みが分からないと倒せない。
最悪首を切れば死ぬのかもしれないが今はもしそれでも死ななかったりした場合のことを考えよう。
もし不死なら千日手で先にこっちの体力が尽きて勝てない、だから不死の可能性はとりあえずなくす。
あの再生には許容量があるのだろうか、
「虚無なる破壊」
刀を一度屋根におき透明な弓矢でラクンに対して矢を放つ。ラクンは何かを警戒したのか盾を何枚も空間に創り出し何重にも重ねる。
矢は盾を貫通することはなく一番手前の盾にしか当たらずその盾だけがねじ曲がり地面に落ちる。
「…何?」
ラクンが少し困惑したような表情を顔に出しながら言葉を漏らし動きを止める。
「チャンス!鬼式流 居合鬼り!」
「破壊の氷!」
クーが右腕を斬りかかった後にセロナが巨大な氷塊を出し爆発を起こす。
「あれ、なんで、貫通しなかったんだ、それじゃあ歪む矢じゃないか、本気を出してよ。それが得意な技ってわけじゃないだろう」
爆炎の中からラクンが歩いてきて僕の中で一番得意な攻撃が得意な技じゃないと言われる。
は?ラクンの言葉に耳を疑う。いやいや、あれ一番得意なんだけどと心の奥で叫びながらラクンの攻略法を模索する。セロナの破壊の氷を耐えられるわけだから再生する許容量はないのか。
なら、再生できる範囲内が決まってるとかそういう物か。
「後進する矢」
魔力で作った矢を構えてラクンに放つラクンが僕の攻撃に興味なさそうな顔を出しながら体に当たる。
当たってすぐにラクンが矢に無理やり押されるように後ろに飛ばされる。
ラクンが後ろを振り向き聞こえるくらいの軽い舌打ちをし矢を右腕でつかみ体から抜く。矢を壊しその辺の地面に捨てる。別にあのまま下がっても効果事態はなくなるのでおそらくだが再生できる範囲は決まってる。
「セロナ!あいつに再生する限界はなくて、代わりに再生できる範囲が決まっていると思います!」
僕が屋根の上からセロナに大声で話しかける。
「了解だ。その範囲の境界線はどこだ!」
「それは今から探りますがたぶん今あいつが立っているところから半径10mくらいだと思います!」
[早くしてくれよキュウク!」
「分かってますよ」
セロナとの会話を終わりにしてラクンの再生の効果範囲を更に詳しく考察する。




