第二十二話 神殺しの武具
ラクンが僕が構えている刀をじっくりと見て一言、
「おっようやく、見つけたよ。神殺しの武具それにその姿、君キュウクだろ。いやー久しぶりにやり合って楽しもうよ」
目の前の男に見覚えはないので自分の記憶の空白に関係あるのだと考え、自分の腕や足を一度切り落としたアインという男についても知ってるのではと頭の中で考える。というかゴットキルウェポンってなんだ。
「アインっていう男について知ってますか」
「アイン?あぁ、あいつか嫌いなんだよな、あいつの異常なイデア様崇拝はむかつくんだよな」
イデアってあの1000年前の災厄の名前、僕がこの世で最も嫌いな名前でクーと出会うきっかけになった名前。
「そうですか、なら倒した後から尋問します。カリ」
「りょーかい」
カリが試験管を出し、僕に対して投げる。それを片手でキャッチして中の液体を飲む。セロナは氷の剣を生みだして構える。
「模倣鬼式流 居合鬼り」
「鬼式流 流鬼舞一式!」
「氷剣 宴の舞」
僕とクー、セロナが同時に三方向からラクンに対して斬りかかる。カリの試験管には最近作ってもらったほんの一瞬だけ鬼の力を模倣できる薬だった。効果は一回攻撃できるくらいの時間だけ。
三方向から同時に繰り出される「模倣鬼式流居合鬼り」「鬼式流流鬼舞一式」と「氷剣宴の舞」の攻撃。それぞれの技が生み出す剣気が闇を裂き、周囲を吹雪のような冷たい風で包み込む。クーの剣が速さと力を兼ね備えた斬撃を放ち、セロナの剣術が正確無比にラクンを追い詰めようとする。
しかし、ラクンは冷静だ。まるで戦場そのものを楽しんでいるように、無造作に刀を構えながら一歩を踏み出す。そして次の瞬間、彼がその刀を振ると、信じられないほど鋭い衝撃波が巻き起こり、三人の攻撃が空間ごと切り裂かれた。
「やるじゃないか!」
ラクンは笑みを浮かべながら言う。
「けど、こんなんじゃ僕を倒すには遠いね。」
ラクンの刀から発される圧倒的な力が、三人を弾き飛ばし、周囲の地面には深い裂け目が生じる。それでも僕は立ち上がり、再び構えを取る。
「どうしますか」
僕は額の汗を拭きながら横にいる三人に聞く。
「あたしが時間を稼ぐからその間に攻略法を探してくれ」
「なら、ボクは薬でセロナちゃんの補助でもやろうかな。さっきの上昇する弾丸で魔力ほぼほぼ尽きてるし」
「私はキュウといっしょにいながら時々攻撃するよ」
「了解です」
三者三様の答えが戻ってきて、それぞれ役割を理解しながら行動に移す。




