文化祭
「次の投書は……決闘!?菜花さんと!?」
驚いた顔をするリーブ。
「場所は中庭か……行くしかないかぁ……」
渋々中庭に着くと、巫女服を纏った菜花の姿があった。
「僕に負けを言わせたら君の勝ちだよ。それじゃ、早速始めようか。」
「えぇ……よ、よろしくお願いします……!」
その瞬間菜花は目にも止まらぬ速さで急接近し、大幣で殴りかかってくる。
「強化!腕!」
どうやらリーブは強化能力を持っているようだ。
大幣を受け止めると、リーブは脚を強化して蹴りを放つ。
「かふっ……!」
モロに喰らった菜花はもんどり打って倒れ込むも、直ぐに立ち上がり楽しそうな顔でこう告げた。
「最高だよ君!強化能力なんてレアスキル持ち、中々いないんだぜ?」
そう言うと菜花は蹴りを放つ。
「強化!脚!」
それを脚で受け止め防ぐ。
「強化!腕!」
リーブは菜花に殴り掛かる。
「甘いね」
菜花はその手を易々と受け止めるとそのままリーブの右腕をへし折った。
「うっ……っああああ!!!」
痛みで悲鳴をあげるリーブ。
「まだやるかい?」
ニヤニヤとした顔で問いかける菜花。
「……もち……ろん……!」
利き腕が使えなくなってしまったのは痛いが、何とか立ち上がるリーブ。
「強化!脚!」
「ほいっと。」
菜花は腕を強化し蹴りを防ぐ。
「僕は相手の能力をなんのデメリットもなく、いつでもどこでも何度でも使えるんだ。」
にっこりと笑う菜花。
「なら……これで!」
リーブは左手で抜刀すると、そのまま斬り掛かる。
「おっ、中々やるね。」
アッサリと攻撃を喰らう菜花。
斬られたところから血が滴り落ちる。
「これで……おあいこ……!」
息も絶え絶えなリーブ。
「強化!脚!」
そんな中脚を強化して一気に距離を詰め、膝蹴りを繰り出す。
「っ……!」
予想外の攻撃に苦戦する菜花。
「いやー、参った参った。僕の負けだよ」
すっと両手をあげて降参する菜花。
「リーブちゃんは保健室ね。腕、折れてるから。僕は僕で調べたい事があるからちょっと席を外させてもらうぜ。」
そう言ってリーブを抱き抱え保健室へ向かう。
「いらっしゃい。あら、翠川さんに紫さん。……今日の患者は翠川さんみたいね。」
保健室の教師、金糸雀湊はくすくすと笑うとリーブの治療を開始した。
「とりあえず暫くは絶対安静。戦ったり運動したりもダメよ。」
「はーい。」
「それと、紫さんもやりすぎよ?」
「わっはっは。それは許して欲しいところだぜ。」
ケラケラと笑う菜花。
「とりあえず紫さんは教室に戻ってちょうだい。私は翠川さんの手当をするから。」
「ん、わかったよ。じゃあね」
そう言うと菜花は保健室を後にし、自分の教室へと戻って行った。
「それにしても派手にやられたわね〜」
「うぅ……面目ない……」
「でもま、この学園で骨折してる生徒は何人も見ているからすぐにわかるわ。翠川さんの場合は全治2ヶ月ってところかしら。」
「2ヶ月!?」
思わず大きな声を出してしまうリーブ。
「いい?絶対安静よ。もう一度言うわ。絶対安静よ。」
余程重要な事のようだ。
一通り手当てを終えると湊はこう告げた。
「次の文化祭までには治ると良いわね。」
「そういえばこの学園の文化祭ってどんなものなんですか?」
「各部で色んな出し物をするのよ。たこ焼きとか、演劇とか。翠川さんのクラスは確かメイドカフェよね。」
時は遡り数時間前___
「第100回色彩学園文化祭の出し物を決めるッ!」
向日葵蓪がそう告げた。
「はいはーい、俺メイドカフェとかいいと思いまーす」
手を挙げたのは黒井竜田だ。
メイドカフェと聞いてザワつく男子陣達。
「他に案はあるー?」
ザワつく中蓪はそう問いかける。
「特になさそうね。ならうちのクラスはメイドカフェよ!」
___という経緯があったのだ。
「メイドカフェかー、ええやん。ウチも行ったるわ」
猫がそう告げると他の部員たちも賛成の意を示した。
「皆も賛成みたいやし、リーブちゃんのメイド姿、楽しみやなぁ」
ケラケラと笑う猫。
「猫先輩のところはなんですか?」
「んー?ウチのクラスはお化け屋敷やなぁ。ベタっちゅうかなんちゅうか……」
「いいじゃないですか、お化け屋敷。私そう言うの好きですよ。」
「リーブちゃんに言われたら頑張らなあかんなぁ!よーし!今日の部活は解散!ウチは文化祭の準備てつどうてくるわ〜」
ひらひらと手を振ってその場を後にする猫。
「メイドカフェ……メイド姿……」
考えただけで恥ずかしい。
だが決まってしまったものは仕方がない。
「よーし、私も文化祭頑張るぞ〜!」
気合を入れて文化祭に向けて準備を進めるリーブ達であった。
これからあんな悲劇が襲うとは今は誰も知らない。