生徒会選挙
「生徒会選挙?」
「うん。近々開催されるらしくてね。リーブちゃんも立候補してみたらどうだい?」
「わ、私はちょっと…」
「ええやないか、折角の機会なんやし!」
「う…」
友人と先輩に言われてしまうと立候補せざるを得えない。
「…分かりました。立候補します。」
「じゃあ僕は手続きしてくるよ。」
そう言って菜花は部室から出ていった。
「私、生徒会長になれるのかな…」
「応援しとるで!ウチのクラスのみんなに投票する様に頼んどくわー!」
「え?あ、ありがとうございます…。」
少し困りながらも礼を述べるリーブ。
そして選挙当日。
「さぁさぁやって来ました生徒会選挙!司会の桃花咲也とー!」
「解説の中紅伊織です…!」
「今回の立候補者は3名!まず1人目は〜!天鵞絨躑躅さん!」
綺麗な赤い髪をした少女が壇上に上がる。
「私が生徒会長になった暁には校則をもっと厳しくします。今の学園は爛れ過ぎています!もっと真面目に取り組むべきです!」
ダンッ!と台を叩いてそう強く告げる。
「はいはーい、1人目ありがとう〜。次は月白極夜さん!」
「随分厳しい方みたいですね…。」
「俺が生徒会長になった暁には!部活動の廃止をする!部活動によって貴重な勉強時間を奪われてしまっている!即刻廃止にすべきだ!」
そう言って極夜は壇上を降りる。
「はいはーい、2人目ありがとう〜。次がラスト、3人目!翠川リーブさん!」
「部活動も楽しいと思いますが…。」
「えっと…わ、私が生徒会長になったら…色んな悩みごととかを相談できるような施設を作ろうと考えてます。も、勿論無料ですよ…!えっと…い、以上、です!」
ぺこり、とお辞儀をして壇上から降りる。
「集計が終わりました!次期生徒会長は〜!」
バッ!と大きく名前が書かれた紙を広げ。
「翠川リーブさんに決定〜!頑張ってね〜!」
「嘘、でしょ…?私が生徒会長…!?」
「おめでとう、リーブちゃん。」
「おめでとさんやな!」
うんうん、と頷く菜花と猫。
「私にできるかな…。」
「僕もサポートするから心配無いよ。」
「では次期生徒会長は壇上に〜」
そうアナウンスされ再び壇上に上がるリーブ。
「えっと…皆さん、投票ありがとうございます…!まだまだ未熟者ですが、よろしくお願い致します…!」
そう言って頭を下げるリーブ。
パチパチと拍手が響き渡る。
緊張で死にそうになっているリーブ。
それをにこやかに見守る菜花と猫。
「それでは生徒会長の引き継ぎを行います〜。生徒会長、女郎花桐花さんと翠川リーブさんは壇上へ〜」
そうアナウンスされ、壇上に上がる2人。
「翠川さん、生徒会長のお仕事頑張ってくださいね〜。」
「は、はい…!」
生徒会長のバッジがリーブに手渡される。
リーブはバッジを胸元に付ける。
「それじゃ選挙終わり〜。各自解散で〜」
「解説らしい解説できなくてすみません…!」
「リーブちゃん、生徒会室を案内するよ。」
「ありがとうございます、菜花さん」
「これくらいお易い御用さ。」
そう言って2人は生徒会室へと移動する。
「ここが書斎で、こっちが客間だよ。」
部屋ひとつ分以上の生徒会室だった。
シャワールームも着いている。
至れり尽くせりだ。
「それじゃ、頑張ってくれ、生徒会長さん。」
そう言って菜花は生徒会室を後にした。
「…生徒会長、かぁ…上手く出来るかなぁ。」
誰もいない部屋で1人呟いた。
他の役員も探さねばならない。
やらなければならない事は沢山ある。
期待と不安を胸に、リーブは役員探しに向かうのであった。