チョコもち、なくなった
『チョコもち、チョコもち』という駄文を以前、書いた。
去年の10月17日のことだ。
冷凍チョコもちを買って来た喜びを、うかれて歌った鼻唄を、そのまんま書いた。
それが今日、たった今、なくなった。
3ヶ月近くかかって、1kgの袋がようやくなくなった。
美味しくなかったのではない。
忘れていたのだ。
冷凍庫の中を整理していたら、一番奥の壁にひっついていた。
この袋何だったっけ? と引っ張り出して「ああー!」と声が出た。
中を覗くとまん丸でカチカチのチョコもち達が6人、「やっと見つけてくれたー」と言いながらこっちを見上げた。
人間は忘却しながら生きるものである。
何かの拍子に唐突に思い出すこともある。
私は袋ごと車に積んで、1,600kmの旅に出た。
もう忘れなかった。袋を開けるといい具合に自然解凍されていた。
「食べてー」
「あたちを食べてー」
チョコもち達が生き生きとしていた。