第三章【5】
【5】
トールマン氏は、エシュ氏の驚きを察したかのように、「学生が仕事を受け持つのが私たちのアカデミーの伝統だ。それに最近何かあって、ここでも人手が足りない」と説明した。
エシュは荷物を引きずり、トールマンについてアカデミー内に向かった。道路はカーブし、明かりは薄暗く、風雪による寒さを少しも吹き飛ばすことができませんでした。学院の建物は明らかに年代が進んでいた。石垣と地面との継ぎ目はこまやかな苔で埋め尽くされていた。さらに遠くには火の手がかすかに瞬いていた。それはまるで幻のようであった。イーシュウが返事をする前に、トールマンは自信に満ちた口調でなだめるように言った：
「でも心配しなくていいよ。そういうことはうちの先輩に任せておけばいい。あの商人たちがいつまでもつきまとうわけにはいかない」
この一言に込められた情報量に、エシュは無意識に「商人？」
しかし、トールマンはそれを続けようとはしなかった。彼は首を振って、「そんなことはすぐにわかるだろうから、いっぺんには説明できない。君の話をしよう」と言った。彼は別の道に向きを変え、暗闇の中に手をあげた。すぐに、薄い白の制服を着た少年が、トールマンが来た時の方向に向かって、姿を現し、また果てしない風雪の中に消えていった。
エシュは途中で会ったパトロール経路の手配を密かにメモしていた。トールマン氏は「なぜ今になって来たのか。新入生のセレモニーから2週間が経過している。アカデミーに遅刻の説明を送っているのか」と続けた。
「招待状を受け取ったのは5日前です」
「その時になって--」
ゆったりとした会話のリズムが突然崩れる。トールマンの声は吹雪の中で一瞬消え、続いて鳴り響いたとき、この空を覆う雪よりも冷たいようだった。
「ちょっと待って、あなたはあの特修生なの？」
道端の松明の光がかすかに揺れ、トールマンの薄暗い輪郭を描いていた。 江松は瞳孔を縮め、両手を短剣と短刃にすぐに押しつけ、弓の弦のように体を曲げた。 高い建物の間には、傾斜した道が山に向かって延々と続いていた。学院の中には針葉樹がたくさん混じっていて、風雪がはらはらと音を立てていた。
その言葉には、あからさまな悪意が含まれている。
「あたし、どうしたの？」
「申し訳ありませんが、アカデミーは原則として夜の入学手続きをしません」
トールマンは身を翻し、上からエシューを見ていた。 光に逆らっているため、江松は自分の顔の表情を見ることができなかった。 トールマンの声も冷たく、風雪に埋もれて、どよめきました。
「でもあなたは--」
「二度は言わない」
エシューは深く息を吸い込み、目をトールマンに釘付けにした。
「せめて理由を教えて」
エシューにそう問い詰められても、トールマンは無表情で、少しも動じなかった。 彼は一歩近づいて微笑した。 エシューは少しほっとした。
「学院は原則--夜は入学手続きをしない！」 「気をつけて！」 アインナは悲鳴を上げた。
次の瞬間、危険感が潮のようにエシューを水浸しにした。 アインナの大きな叫び声の中で、彼の両足は急に力を出し、スプリングを踏むように後方に飛び出した。 その瞬間、エシューが立っていた位置に「バン」と雪のほこりが舞い上がり、強い風に吹かれて目を開けることができなかった。 雪のほこりが散ってから、エシューは何が起きているのかを見極めることができた。
風雪の中から凶悪な姿を見せた巨大なハンマーの柄をしっかり握っていたのは、トールマンの手だった。 エシューは再び深く息を吸い込んだ。「二度言わせて申し訳ありません。すぐ行きます！」
思わず声を上げ、荷物を持って向きを変えて去っていった。
「弱すぎる」 彼はまるでため息をついたかのように，「いってらっしゃい」と言った。
トールマンは重いハンマーを手に、無表情で風雪の中に立っていた。エシュウは首をひねって歩き、来た道に向かって大股に歩き出した。距离を置いても、その男の視線はまだエシュウに釘付けになっているようで、捕食を急ぐ鷹のハヤブサのようで、ぞっとした。
重い雪に足を踏み入れて持ち上げると、真っ白な雪の上に足跡が残るが、すぐに降ってくる雪に覆われてしまう。エシュウは眉間をこすっていたが、心の中には暗い黒い雲が渦巻いていた。
「さっきこわいのに、あの人が急に手を出したんだよ。ちょっと話が合わないと人を殴るなんて、ひどいと思うよ。この学院の学生はきっとみんな、ろくなものじゃないんだよ！」
アインナは息が詰まり、振り向き、飛びながら、後ろを向いてトールマンの方向にあかん顔をしていた。エシュは黙って首を横に振った。彼の気持ちは確かに重苦しい。
しかし、状況は受け入れられている。
彼がエーテルを操る能力を失ってから、悪いことが次々と起こりました。
「……しかし、そのような扱いをされるのには、なんらかの理由がなければならない」
「理由があれば何も言わずにエシュウちゃんをそのように扱うことができるのか！」アインナはエシュウよりも怒っているように見え、「とにかく、あの悪党は嫌いだ！」
エシューはしばらく黙って、「彼は全力を使っていないはずだ」と言った。
「彼が全力で打ってくるなら、いっしょに打ち返しましょう。もう信じられません！」
アインナは眉をつり上げ、両手を腰に当てた。空一面の雪の中、二人はゆっくりと山のふもとへ歩いて行った。白衣のアインナの生き生きとした表情と声が、寂しげな雰囲気を少しドタバタさせた。
少し暖かさを感じると、エシュウは穏やかに笑った。「そうだ。一緒にいるんだから、戦えないぞ！」
彼らが再び大通りに戻った時、黒い云は以前よりも厚く、通りには人通りもほとんどなかった。たまに人が現れても、みんな慌ただしい人だ。まっすぐ進んでいくと、エシュは長い通りの側にホテルを見つけ、門を鳴らした。
なんといっても寒いので、住所が一番大事です。
しかし——
