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黄泉からのマユ  作者: 工藤かずや
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マユの親友

そんなわけで、翌日は午前中休みをもらい

部屋の大掃除をすることにした。

なんせ何年間も空き部屋になっていたので

大変な力仕事だった。


仕方がない。ミロといる部屋を確保するためだ。

ミロは全く役に立たない。

そりゃそうだ。


猫なんだから自分の興味あるものしか近づかない。

マユが悪戦苦闘、埃だらけになってが張ってるとミロが尻尾を立て、得意げにやってきた。


邪魔だからそこどいて、と言っても動かない。

ミロはアメショー系だから全身白い。

なのに、鼻の下だけ黒いヒゲがある。


ミロがマユの前に座って、得意げに見上げている。

おっかしいな。ミロに黒い髭なんかあったかな?

すると何かを口から床に置いた。


それを見たマユは飛び上がって驚いた。

でかい真っ黒なゴキブリだった。

ミロはゴキブリを加えてきたのだ。


「ぎゃーッ!」

マユは飛び上がった。

ゴキブリはマユの天敵だ。


ミロは褒めてもらいたくて、得意げにマユを見ている。

「は、早くそれ何とかして!!」

ゴキブリは素早い動きで逃げ出そうとした。


ミロは右手で簡単にそれを抑えた。

ゴキブリ取りの天才だった。

気がつくと部屋の隅のいたるところに大小のゴキブリがいる。こ、こんな部屋には住めない!

驚いたことに、ミロは黒いゴキブリを頭から食べている。


マユは二度目の悲鳴をあげた。

明け方ミロはマユの顔を舐めていた。

ゴキブリ食った口で私の顔舐めてたんかい!!


マユは失神しそうになった。

それからのミロの動きは素早かった。

次から次へとゴキブリを退治していく。


マユは改めてミロの助けがなければ、この部屋からゴキを一掃できないことを痛感した。

ミロの名前を変えよう。


お前はミロではなくロミだ。

お前がいなければ、マユはこの部屋には住めない。

それからはマユが部屋の片付けをやり、ロミが縦横無尽に走り回って無数のゴキを始末した。


ロミの力恐るべし!

1匹でもマユの手に負えないゴキ数十匹を、ロミは一人で片付けた。


昼近く、ゴキの姿の消えた部屋でロミは壁の隙間の前に座っている。何をしているのか見ていると、ゴキが隙間から顔を出すのを待っているのだ。


凄い! ロミとゴキの攻防戦がはじまっていた。

マユは椅子にかけてそれを見物していた。

ゴキが壁の隙間から顔を出した途端に、ロミはそれを爪で引っ掛けて引きずり出した。


そして頭からむしゃむしゃ食いだすのだ。

これにはマユも参った。

見てられなかった。


猫に野生の本能が健在だった。

まさか、ロミが凄腕のゴキブリハンターだったとは!

それからロミは、マユにはいなくてはならない不可欠の存在となった。


それからもゴキを捕まえると、口にくわえてマユに見せに来る。それだけはやめてくれぇ!!

それからしばらくゴキで遊び、最後に頭から喰ってしまう。


この可愛いロミに、そんな趣味があるとは信じられなかった。

さすがは猫! ハンターとしての野生の本能を秘めていた。

この部屋のゴキを全て退治したら、どうするんだろう。


さすがにゴキブリはどこにも売ってない。

東京の家やマンションにゴキブリはいない。

マユもこの空き部屋で初めてゴキブリを見た。


マユはロミを尊敬した。

とんでもない、人間が逆立ちしてもできない素手でゴキブリを捉えると言う特技を持っていたのだ。


でもゴキを食った後で、マユの顔を舐めるのだけはやめてほしかった。

こうして半日足らずで、マユの部屋からゴキブリは一掃された。夜も安心して寝られる。


ミロ改めロミは、こうしてマユの大切な親友になった。








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