オタクの妄想力は53万です
取り敢えず進めて自由な投稿できるようにしたい。
「で、どいつなの?その誘いたい人ってのは」
俺たちはあの後部室を出て隣のクラスへと来ていた。
「コイツ」
そう言って水上が指さしたのは真ん前の席、出席番号で言うと5番の少し、いや、割と肥満体型でアニメのグッズを付けたり眼鏡にアニメのキャラの印刷されたシャツといういかにもオタクという格好の男子だった。
「えっと、せ、拙者に何か用ですか?」
うん、目の前何だから勿論聞こえてるよね。
「あ、えーと」
俺が事情を説明しようと口を開くのに被せて
「単刀直入に言う部活入れ」
水上がドンっと命令口調に言う。
「え?」
勿論意味がわからず混乱するオタク君。
「え〜、コイツが小説部って部を作りたくて今人集めてるから部に入らない?ってこと」
一応付け足しておく。
「そ、そうなのでござるか」
ござる口調!?
都市伝説じゃなかったのか。
「おう!一緒に小説作ろうぜ!」
ニヤッと笑う水上。
「そ、それは嬉しいでござるが。せ、拙者みたいなオタク、き、君とは不釣り合いでござるよ」
う〜ん、気持ちは分かる。正直、近寄り難い。
「オッケー、じゃあ取り敢えず仮入部ということで」
「話聞いてた!?」
思わず突っ込んでしまった。
今、断られたよね?
「いやいや、嬉しなら入るでしょ」
「建前という可能性もあるでしょ」
人間には裏表があるんだ。
言葉をそのまま飲み込んじゃいけないときもある。
「そうなの?」
水上がオタク君に聞く。
「いや、ホントでござるよ」
「じゃあ、決まりじゃん。大丈夫、陰キャも一緒にいるから二人ともクラス内カースト下から数えた方が速い勢でしょ」
あってるけど何かムカつく。
その間に水上はささっと書類を書いてしまった。
入部希望的なのって本人が書かなきゃダメ何じゃないの?
あれ?でも、筆跡は俺のに似てる。
「さて」
もの凄いハイスピードでことが進んでるな。
「正直言うとさ、二人とも何なの?オタク君のその肥満体型とダサいグルグル眼鏡。陰キャの猫背と長い髪あと眼鏡二人とも印象悪いよね」
いきなり、冷たい声で言う水上。
事実ではあるがムカつく。あと、眼鏡に何の恨みがあんの?
「うるさいな、文句あるのかよ」
「う〜ん、まぁ、正直俺ほどの人物になると印象は常に最高値に近いものになるから別に良いんだけど」
マジで?今、お前の印象これ以上無いくらいに悪いんだけど。
いきなりナルシストになるな。
「コンプレックスに感じてないなら良いんだ。眼鏡以外。ただ、そういう自分の身体に対する自信の無さみたいなのがあると人に対して引け目を感じてしまう。特に俺みたいな控えめに言ってもイケメンに対してわな。今さっきのオタク君も引け目を感じていたんだろ?」
確かに、住む世界が違うだの、自分が霞むだの、俺と一緒に居たらコイツの株が下がんじゃないかだの考えたりもしてしまった。
「人は見た目が八割だ。深く関われば内面まで見てもらえるがそもそもその深く関わるかにも外見が関わって来たりする。もし、自分の今の状態を誇りに思ってたり気に入ってたりするならさっきの発言は謝るし二度と馬鹿にしたりしない。さぁ、どうする?生まれ変わるチャンスだぜ?」
そう言って挑発的に笑う水上。
「どうせ、一度乗り掛かった船だ。今更降りねぇよ」
生まれ変わる、今の状況に対した不満がある訳でも無いが猫背は直しても良いかも。
「せ、拙者は。…」
俯き考えるオタク君。
これはもしかしたら重要な選択肢になるかも知れない、そんな気迫を水上から感じ取ったのだろう。
興味を持った自分と怖がる自分が戦っていた。
「まぁ、どちらにせよ。入部は決まりだけどな」
「へ?」
真剣な表情から打って変わって間抜けな声を上げるオタク君。
俺は、多分そんな気がしてた。
「別に対した選択じゃねぇよ、どっちか選んだら死ぬ訳じゃねぇんだ。思いきって決めろ」
水上が諭すようの言う。
「せ、せ、拙者も!生まれ変わりたいでござる」
「決まりだ」
嬉しそうに水上が笑った。
「今から、俺たちは仲間だ。さぁ、先ずはコンタクト買いに行くぞ」
「やっぱ眼鏡に恨みでもあんの!?」
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