無能の削除3
20/11/17 オットー → アイスに変更しました。容姿も氷の貴公子的なイケメンに変更しました。
36部で話し方や性格も変わっていますのでご了承ください。
訓練場に行くと赤髪赤目長身痩躯のセバスと青髪青目の中背のイケメンアーサが居た。それに、『聖女の盾』のメンバーが訓練を行っていた。
「おや、アンネローゼ様が戻られたのですかな?」
セバスが僕を見つけて聞いてきた。
「いや、まだですよ。用事があったので、ここに立ち寄っただけです」
「シュワルツ、アンネローゼ殿下の御様子は?」
「楽しそうに旅をしてるよ」
「そうか、それなら良かった」
「シュワルツ殿、お久しぶりです」「旅を楽しんでますか?」「殿下と仲良くしてますか?」「キョウレツインパクトは元気にしてますか?」「今、どこに居るんですか?」
『聖女の盾』のメンバーからの質問攻めに全て回答して、ようやくみんな訓練に戻った。
「それで、ここに来たという事は修行の続きをしに来たという事でよろしいですかな?」
「はい、急いで覚えたい技があるんです」
「なにか、理由がありそうですな」
「はい、実は旅先で村人の青年に剣を教えたんですけど、筋が良くて修羅一刀流の技5日で習得したんです。だから、あの技を教えてみたくなったんです」
「ふむ、大罪戦士と再戦する際に戦力としたいと」
「そうです。ダメですか?」
「いいえ、私の剣技を一子相伝などと言うつもりはありませんよ。ただ、教えても使いこなせるものが少ないゆえに、広まらないだけですから」
「そうですね、人を選ぶ剣技ですもんね」
実際に、義勇軍の中で修羅一刀流の技を習得できたのはヨハンだけだった。そして、『聖女の盾』のメンバーにも習得出来たものは居なかった。
「教わりたい技は『無間地獄』ですかな?」
「そうです」
「アンネローゼ様の補助が無ければ、あの技を出すことは難しいですな」
「大丈夫です。一度見せて貰っているので、技の極意に関する認識に間違いが無ければ使えると思います」
「ふむ、それならばアドバイスはできそうですな」
「あの技の極意は剣に魂を乗せる事で間違いないですか?」
これは、僕の『魂砕き』の極意でもあった。魂を消滅させるためには魂で攻撃するしかないのだ。
「それが極意です」
「では、やってみますね」
僕は魔法『道具生成』で二本の黒刀を生成して、左右の手で一本ずつ持ち、自然体となる。
「分かりました。見極めましょう」
「羅刹二刀流、終の太刀、無間地獄」
技の起こりから、刀に魂を乗せて、無限の斬撃を放った。一気に体力が無くなる。僕が技を出せたのは15秒程度だった。
「ふむ、これならば大丈夫でしょう」
「師匠のお墨付きを得られたのらな大丈夫ですね」
「いえ、これほどの才能を持った弟子は初めてですよ。見ただけで真似られるとは思いもしませんでした」
「自覚は無いけど、血は繋がっていますからね。才能はしっかりと受け継いでいるみたいです」
「そうですな」
セバスはしみじみと同意した。
「ちなみに、シュワルツ殿は修羅一刀流と羅刹二刀流の性質の違いは理解されていますかな?」
「性質の違い?」
「そうです、修羅一刀流は敵を倒すことに主眼を置いています。殺すことが目的ではなく倒すことが目的なのです。だから、使い方によっては、相手を活かして勝つことも出来るのです。一方、羅刹二刀流は相手を殺すことを目的にしています。ですので、全ての技が相手の戦力を削ぎ、殺すための残虐な技ばかりです。この意味は分かりますか?」
「何となくだけど、まともな人間を相手にする時は修羅一刀流を使うべきって事ですか?」
「その通りです。羅刹二刀流は外道を殺す為にあみ出した無慈悲な技です。よほどの外道を相手にするとき以外は使わないようにお願いしたい。ですが、これは技を生み出した私の一方的な思いです。シュワルツ殿が私の願いを聞いてくれなくても構いません」
「聞きます。僕は師匠の思いも受け継いで、この剣技を振るう事にします」
「ありがとうございます。私は良い弟子を持ちました」
僕と師匠の間に、なにか絆の様なものが生まれた瞬間だった。
「今日は、これにて失礼しますね。アンネローゼ様も待っていると思うので」
「ええ、君が守るべき者の側に戻りなさい」
こうして、父であり師匠でもあるセバスと別れた。『聖女の盾』のメンバーにも「アンネローゼ殿下の元に戻るよ」と伝えると、口々に冷やかし交じりに別れの言葉をくれた。
「新婚旅行楽しんでね~」「今度はお土産忘れないでくださいね~」「浮気しちゃだめですよ~」「拾い食いしちゃだめですよ~」「手は洗ってますか~」
「新婚旅行じゃないし、お土産は考えておくよ、浮気って結婚してないし、犬だけど犬じゃねぇよ、手洗いうがいはちゃんとしているよ」
僕は全てに言い返した。
『シュワルツ殿!また来てくださいね。今度はアンネローゼ殿下とご一緒に!』
「ああ、またね」
僕はアンネの元に戻った。
アンネの元に戻ってから、基本的にアディーヌ湖の宿で過ごしていた。一通り騒動が終わるまでルークスの街から離れない事にした。それと、ヨハンに羅刹二刀流の技を伝授したかったが、ヨハンが技を覚える前に事態は動いた。
マリーに手紙を届けてから3日後に、ルークスの領主の死と、後任にアイスが就任する事が公示された。
領主一族の殺害は魔物が行った事になっていた。公示がなされた後で、僕が冒険者ギルドに行くと、受付嬢のお姉さんは僕にこういった。
「新領主のアイス様が黒の魔法使い様を探しておりましたよ?領主の館に行くことをお勧めします」
「分かりました。行ってみます」
アイスは約束を守ってくれるようだ。
領主の館に人間の姿で4人で向かうと、門番は嬉しそうに中へ通してくれた。謁見の間にはアイスが居た。
僕たちが進んでいくとアイスは椅子から立ち上がって、僕たちと同じ高さに立った。
「救世主様、前任の領主が大変失礼な事をいたしました。心からの謝罪を申し上げます」
そう言って、アイスは僕に臣下の礼を取った。僕はアイスの手を取り立ち上がらせる。
「それは、あなたの罪ではありません。どうか顔を上げてください」
僕はアイスを対等の者として扱った。
「ああ、なんと慈悲深いお方、冒険者レギオン『赤の狩人』に奪われた真銀貨1枚はお返しできませんが、真銀貨2枚と村人たちから奪った金貨200枚はお返しいたします」
『赤の狩人』からは取り戻せる分は取り戻してある。だから、それ以外が取り戻せれば問題なかった。
「それで、十分です。あなたのお陰で助かる人たちが大勢います」
「その言葉、嬉しく思います」
こうして、新領主アイス・フォン・マルクスが誕生した。その名声は就任当初から高かった。救世主を助けた人物として民衆から絶大な支持を得た。
真銀貨2枚と金貨200枚を取り戻して、僕はヨハンに会いに行った。
「黒の魔法使い様、今日もお越しくださりありがとうございます。今日こそは技を習得して見せます」
ヨハンは気合が入っていた。だが、今回は訓練の為に訪問したのではなかった。
「今日は違うんだ。前領主が魔物に殺されて、新しい領主にアイスという者が任命されたんだ。その結果、アイスは僕にお金を返してくれた。だから、戻ってきた金貨200枚を届けに来たんだよ」
「ありがとうございます。このご恩はどうやって返したら良いのでしょうか?何度も何度も手助けしていただいて、私に返せるものがあるのでしょうか?」
「礼ならアイスにしてくれ、彼が僕に金貨を返してくれたのだから」
「分かりました。この身はアイス様に捧げます」
え?そこまでするの?と思ったが、ヨハンが決めた事だから反対しない事にした。
この時、僕は何も考えていなかった。でも、結果的にこれが世界平和の布石になっていた。ヨハンは今後アイスの剣として才能を開花させて行くのだった。それも、修羅の剣聖ルベドの剣技を受け継いだものとして……。そんな事になるとは露知らずに、僕は適当な事を言っていた。
「そうしてくれ、それで訓練なんだけど、今日でお終いにしようと思う」
「なぜですか?私に才能が無いからでしょうか?」
「いいや、違うよ。基本は教えたし、技も見せた。後はヨハンが魂の扱いを覚えれば使えるようになると思う。僕もそこまで付き合いたいけど、そろそろ旅に出る事になるから、後は自分で何とかして欲しい。一応、魂の扱いについても感覚的には理解できてそうだし、技を習得するのは時間の問題だと思ってるんだけど……」
「そうですか、いよいよこの地を離れるのですね。他の場所でも救世主様を必要としている方たちが大勢いると思います。教えて頂いた技を習得するのを見て欲しかったのですが、お引止めいたしません。今まで本当にありがとうございました」
「じゃあ、また近くに来ることがあったら寄るよ」
「ええ、お元気で」
アイスが領主として権力を掌握した後で、僕は領主とその長男を除いて蘇生魔法で生き返らせた。長男は領主と同じクソヤローなので、蘇生しないで欲しいとアイスから依頼があったのでその通りにした。
蘇生の場にはアイスも居た。この時点で、子供の死を嘆いて自害したものは3名だった。いずれも子供の年齢が低いのが理由だった。
なので、僕は幼子を生き返らせてから、その母親も生き返らせた。領主からの権力継承に興味が無いものは、すんなり状況を受け入れて、アイスが提示する生活費の支給で納得し、正当性を主張しないと誓った。
アイスの申し出を拒否したのは、次男から四男の母親たちだった。
「簒奪者!あなたが魔物を使って領主の座を奪ったのでしょう?」
次男の母親は根拠もなくそう言った。だが、事実だった。
「証拠もなく人を疑うのはよくありませんよ?ですが私が領主になる事は皇帝陛下がお認めになった事です。それに逆らうというのならば国家反逆罪が適用されますが?」
「それが、なんだっていうのよ!」
「氷刃」
アイスは問答無用で魔法を放った。次男の母親を何の躊躇いも無く氷の刃で斬り殺した。
「こういう事ですよ。他の皆さんも同じ意見ですか?」
アイスは氷のような瞳で他の二人を見ていた。
「いいえ、生活費を頂けるのなら、それで十分です」
「私も、生活費を頂けるのなら……」
三男と四男の母親は死ぬことよりも生きる事を選んだ。
「救世主様、お手数だとは存じますが、この者を生き返らせて頂けますか?」
アイスは意外と優しいのだなと思った。
「良いよ。君が望むなら何度でも」
「理解が早くて助かります」
僕は、次男の母親を生き返らせた。
「あ、死んだはずじゃ?」
「ええ、私が殺して、救世主様が生き返らせたのですよ。感謝してください」
アイスは冷たい笑顔で次男の母親に応えた。
「さて、もう一度聞きます。生活費を受け取って静かに暮らして頂けますか?イエスかノーで答えてください」
アイスはクソゲーにありがちな一見選択肢があるようでない質問をした。『ノー』と言えば『殺されて生き返る』が繰り返されるのだ。次男の母親はアイスがどんな人間なの理解した。
「イエスです。領主様」
「良い答えです。あなた方が変な気を起こさなければ、私は約束を守ります。でも破ったら分かっていますね?」
「心得ております」
次男の母親はアイスを心底恐れていた。アイスは頭が良く冷酷だった。だが、物事の道理を良く知り、正義の心も持っていた。敵に回したら厄介だが味方なら心強いやつだった。
母親たちが居なくなった後でアイスは僕に話しかけてきた。
「お手数をお掛けしました。救世主様」
「いいや、こちらこそ助かったよ。正当な報酬を取り戻せたし、後味の悪い思いをしなくて済んだ」
「それで、もう一人生き返らせて欲しい人物が居るのですが、よろしいですか?」
「あれ?警備主任は先に生き返らせたよね?」
「その者ではありません。あなたが殺した『赤の狩人』のロバートを生き返らせて欲しいのです」
「え?なんで、あんなクソヤローを?」
「ふむ、救世主様は分かっているようで分かっていなかったのですね。ロバートは忠実な馬鹿なんですよ。領主に命令されれば善悪の判断をすることなく命令を実行するんです。あいつ自身が何かを考えて行動していたわけでは無いのです」
「なるほど、ただ命令に忠実な馬鹿で、使う者がクソヤローだったからクソヤローに見えただけだと?」
「そうです、馬鹿と鋏は使いようという諺もあるでしょう?」
「分かった。生き返らせるよ。じゃあ、今から奴の殺害現場に移動するけど、一緒に来てもらえるって事で良いのかな?」
「ええ、もとよりそのつもりでしたよ」
僕とアイスはロバートが死んだ場所まで移動した。そして、魔法『蘇生』を使う。
「うん?あれ?なんで昼になってるんだ?」
ロバートは殺された事を認識していなかった。無理もない泥酔していたところを一撃で殺したのだから……。
「ロバート、君にお知らせがある」
アイスがにこやかにロバートに話しかけた。
「なんだ、アイスか、話って?」
「領主は死んだ。それで、私が後任になった。意味は分かるか?」
「ああ?意味が分からねぇよ。もっと簡単に言ってくれ!」
「今後は私の指示に従ってもらう事になる」
「そっか、分かった」
ロバートはアイスの言った事を何一つ疑うことなく受け入れた。
「そんで、今度は何をすればいいんだ?救世主から金を巻き上げる命令はこなしたぞ」
僕が目の前に居るのにそう言い放った。本当に馬鹿らしい。
「これから、訓練場を作る。君たち『赤い狩人』はそこで新人冒険者の指導に当たってもらいたい」
アイスは領内の治安を回復するために冒険者を育てる事にしたようだ。
「いいぜ。報酬は?」
「一人当たり一月金貨15枚だ。足りるか?」
「新人の指導って事は命を賭ける必要は無いって事だよな、少ない気もするが良いぜ。安全にお金が貰えて生活できるんなら文句はない」
「では、頼みましたよ」
「ああ、あ、あれ?俺の財布がねぇ……。すまねぇアイス金貸してくれねぇか?」
「良いですよ。給料から天引きします。いくら必要ですか?」
「金貨15枚あれば当面生活できる」
「良いですよ、お貸しします。ですが無利子無担保とはいきません。先に利息分の金貨3枚引いた金貨12枚を渡します」
「ああ、利息だとか利子とかよく分からねぇから任せる」
「ええ、任せてください」
ロバートは本当に馬鹿だった。アイスはロバートが借金で奴隷となるように仕向けた。一ヶ月の生活費として必要な金貨は15枚だった。明らかに金貨3枚足りないのだ。これから、ロバートが社畜となって働くことになるのは明白だった。僕は少しロバートが可哀そうになったが、何もしなかった。
「さて、用も済みましたし、館に戻りましょう」
「分かった」
アイスの言葉に従ってアイスの執務室に空間転移した。
「一つ聞いて良いかな?」
「なんなりと」
「訓練場を作るって言ってたけどなんで?」
「私は治安を良くしたいと常々思っていたのです。救世主様、なぜ治安が悪いか原因は分かりますか?」
「冒険者が少ないから?」
「その通りです。でも、志願者は多いのですよ。それなのに、なぜ少ないかご存じですか?」
「初回クエストでの生還率10%だから」
「そうなのです。剣を教える道場もあるし、魔法を教える学校もあります。なぜ、彼らは修練を積んでからクエストに臨まないか分かりますか?」
「冒険者になるのは、農家の生まれで長男では無いものが殆どだからか……」
「その通りです。ですから私は訓練場を作るのです。衣食住を与えて訓練を行い。初回のクエストで死なないように鍛え上げます。無論、ただでそれを行っていたのでは私が破産してしまうので、条件を付けます。
訓練中にかかった費用は借金とし、冒険者になった後で報酬から少しずつ返してもらうつもりです。もちろん、死んだ者からは回収できませんが、それでも多くの者が冒険者として成功すれば、治安は良くなっていくでしょう。
治安が良くなれば村が増えます。そして、農地も広がり人も増える。そうなれば多くの富がこの領地に集まる事になるのですよ」
アイスは領地の事をよく考えていた。僕に話さなかったが、もっと壮大な構想も持っていた。
「なるほど、上手く行くことを願っているよ。僕も魔物が減ってみんなが幸せに暮らせるのは嬉しいし」
「ありがとうございます。救世主様は、これからどうするおつもりですか?」
「アンネローゼ様の気の向くまま旅を続けるよ」
「ふむ、聞いて良いのか迷っておりましたが、質問させていただきます」
「なに?」
「なぜ、聖女様は旅を?」
僕は、アンネが考えた民衆の為に旅をしているという嘘を伝えた。
「なるほど、納得できました。まだ、気になる事はいくつもありますが、あなたが敵ではないという事は理解できました」
(一日に15人以上の蘇生を行っても昏倒しない魔力。そして、殺害時には獣の咬み傷、本当は魔族なのかもしれない。だが、そもそも魔族は蘇生魔法が使えないはず。聞きたいことは山ほどありますが、今は味方という事で納得しましょう)
アイスは本当に切れる奴だった。あまり長居すると正体がバレるかもしれないので、早めに帰る事にした。
「ありがとう。他に質問が無いなら、僕はもう行くよ」
「お気をつけて」
「あ、そうそう一つ言い忘れていた。ヨハンという者が士官してきたら採用するのをお勧めするよ」
「ヨハン?そこら辺にいくらでもいそうな名前ですね。何か特徴でも?」
「金髪碧眼のフツメンだ」
「そうなると特定が困難ですね。その者は何が出来るのですか?」
「朱羅の剣聖ルベドの技を習得している」
「本当なら、ぜひ雇い入れたい人材です。他の同姓同名の同じ風体の者とどうやって判別したら良いのでしょうか?」
「この技を使えたのならヨハンだよ」
僕は、魔法『道具生成』で黒刀を作り出し、大上段に剣を構えた。そして、裂ぱくの気合と共に剣を振り下ろす。
「修羅一刀流、一の太刀、雷撃」
天空から雷が落ちたかのような斬撃を見せた。
「なるほど、これほどの剣技の使い手ならば判別は容易ですね。仕官して来るのなら喜んで受け入れましょう」
「ああ、よろしく頼むよ」
そう言って僕は、アンネの元に戻った。
「シュワちゃんお帰り」
「ただいまアンネ」
「ねぇ、シュワちゃん。もうルークスの街で用事は無いよね?」
「ああ、お金もいっぱい手に入ったし、暫くは自由に旅が出来るよ」
「なら、私、海が見たい。それと、船にも乗ってみたいな」
「分かった。じゃあ明日から海が見える街に移動しよう」
「ありがとう。シュワちゃん」
僕はアンネに指輪の事は話せなかった。理由は簡単だった。僕から催促すればアンネは意固地になる。だから、アンネが外しても良いよと思ってくれるまで、僕は何も言わない事にした。




