彼女との再会
彼女は救急車に乗って行ってしまった。スキル『千里眼』を使って彼女を尾行した。僕自身は魔法『空間転移』を使って自分の部屋に移動した。
救急車が病院について、僕の死亡が確認された。それから彼女は警察署に移送されて事情聴取を受ける事になった。2時間ほどで事情聴取は終わり、彼女は自分の家に戻った。
彼女の家を特定すると、僕は魔法『空間転移』で彼女の家の前に移動した。これで、いつでも彼女の家に行けるようになった。彼女は両親と同居している。弟は居るが既に自立して家を出ていた。この事は生前に彼女から教えて貰っていた。
僕は、一旦自分が借りていたアパートに戻り、人間の姿になって自分が死んだ後に備えた。人間化のスキルは発動する時に自分の服装をイメージするとその服装で人間化できるようだった。なので、今は9歳ぐらいの男の子が着ているような白いTシャツと灰色のパーカーを羽織り、ジーパンをはいていた。犬の耳は折りたためるので、ちゃんと人間に見える。
まずは、パソコンのパスワードを解除し、誰でも使える状態にした。そして、不要なデータは片っ端から消した。後は、生命保険の保険証や、通帳やカードを見える場所に出して、暗証番号も一通りメモ用紙書いて机の上にまとめて置いた。
最後に家族に向けて遺言めいたものを残した。生命保険の受取人は母さんだった。こっち世界の母さんには心配をかけまくっていた。なかなか彼女も出来ず。友達も作らず。仕事ばかりの毎日だった。結局、最後は親よりも先に死ぬという最大の親不孝をしてしまった。
とりあえず予備の財布とタンス預金から5万ほど持っていくことにした。銀行からお金を降ろすと僕が死んだ後で引き出された事になるので刑事事件に発展しかねない。余計な事件を起こして家族を困らせたくなかった。
2日後、僕は犬の姿で自分の実家の様子を見に行った。僕が住んでいる町から電車で1時間の距離に実家があった。僕の遺体は一旦司法解剖が行われ、昨日の昼頃に警察署から実家に移送されていた。僕は遠くから『千里眼』で自分の葬式の様子を見ていた。
家族はみんな泣いていた。こんな僕でも愛されていたんだな~と思った。そこへ、何故か彼女が現れた。
見知らぬ女性が来たので母さんは驚いていた。
「あの、失礼ですがどちら様でしょう?」
「私は××と申します。○○さんとお付き合いさせて頂いていました」
母さんは驚きまくっていた。
「ああ、あの子にこんな可愛い彼女がいたなんて……。どうして、死んでしまったの……」
「私のせいです。私が彼と付き合ったから……」
「何を言っているの?あの子を殺したのは□□って容疑者でしょ?」
「その容疑者が私の元彼なんです」
「そう、ならなおさらあなたのせいじゃないよ。今日は○○の為に来てくれてありがとう。あなたも辛い思いをしたんでしょう。今日は一緒に○○の冥福を祈りましょう」
そう言って母さんは××の手を取った。彼女は、泣きながら感謝していた。僕の母さんは、ちゃんとした人だった。彼女と結婚してもきっと仲良くやれただろう。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
「さあ、中にどうぞ」
こうして僕の葬式は始まり、滞りなく火葬まで終わった。
「今日は、来てくれてありがとう。元気だしてね」
母さんは彼女にそう声をかけた。
「ありがとうございます」
彼女はそう言って家に戻った。
それから数日後、母さんが僕の遺品を整理しに部屋に入って来たので、僕は魔法『空間転移』でアパートの屋根の上に移動した。『千里眼』は彼女の様子を伺うのに使っていた。なので、僕の部屋の中の様子は見えなかったが、母さんのすすり泣く声が聞こえた。
僕は、いたたまれなくなり、近くの公園に移動した。この数日、彼女は警察へ捜査協力で忙しかった。僕は、彼女が落ち着くまで待っていた。僕は『千里眼』で彼女を見ていたが、家の中の様子は見なかった。あくまでも家の外に出て、何をしているか見ているだけだった。
また、心を読むこともしなかった。彼女に対しては『真実の魔眼』を使う気にはなれなかった。理由は、ほぼマリーのせいだった。表向き優しかった彼女の心の中が般若だったら僕は自分の誓いを守れる自信が無かった。思い出の中の彼女を失うのが怖くて僕は心を読まないことにした。
僕のアパートは、もう引き払われるだろうから別の住処を探さないといけなかった。犬の姿で過ごしても良いが、食料を買う時は人間の姿になる必要があった。変身している所を見られると厄介なので住処は必要だった。だから、適当な空き家を見つけて、こっそりと住みつくことにした。ご飯は人間の姿でコンビニ弁当を買いに行った。
すると、コンビニの前に不良っぽい高校生ぐらいの男たちが5人いて、なにか話していた。僕は気にしないようにしてコンビニに入り、焼肉弁当を買ってコンビニを出た。すると、5人の男に囲まれた。
「おい、小僧、てめぇ、今、万札出してたよな?」
直感でカツアゲだと理解した。
「それが何か?」
僕が答えると、僕に話しかけて来た男がニヤニヤしながら言ってきた。
「俺たち、金に困ってるんだ恵んでくれねぇかな?」
僕は財布から百円玉を取り出し、地面に捨てた。
「這いつくばって感謝して受け取れ乞食」
「あ?なめてんのか?殺すぞ、ガキが!」
男は凄んだが、僕は全く恐怖を感じなかった。なぜなら、あっちの世界の母さんの方が比べようもなく怖いからだ。あっちの母さんは僕を鍛える為に色んな訓練を行った。実際に魔法をかわす訓練だったり、母さんの猫パンチをかわす訓練だったり、油断していると命を落としそうなのものもあった。
だから、高校生如きの脅しなど蚊が鳴いているようなものだった。僕がビビらないので男はナイフを取り出して見せた。僕は鼻で笑った。
「おいおい、小学生相手にナイフってどんだけチキンなんだよ。男だったら拳で来いよ」
僕は煽るだけ煽った。ナイフを出した男は怒りのあまり、顔を赤くさせてプルプルしていた。
「後悔するなよ小僧!」
そう言って殴りかかって来た。僕はあっさりとかわしてみぞおちにグーパンをブッコんだ。男はそのままうずくまった。
「おい、大丈夫か?」
他の男たちがやられた男を心配していた。僕はそのまま帰ろうとしたが、他の男の一人がナイフ取り出し、僕を背後から切ろうとした。それは、気配で分かった。耳が良いので音だけで相手が何をしようとしているか分かるのだ。これも母さんが訓練で僕に身につけさせた能力の一つだった。
僕は振り向きもせずに男のナイフをかわし、後ろに下がりつつ肘鉄をみぞおちにブッコんだ。ナイフを持った男もそのままうずくまった。
「じゃあな、乞食ども、その百円は恵んでやるから這いつくばって感謝して好きに使えよ」
そう言って、僕は隠れ家に帰った。男たちは僕を追っては来なかった。僕も反省した。次にコンビニで買い物をする時は、財布を出さずに小銭を握りしめておつりはそのままポッケに突っ込もうと思った。
子供が親に少ないお小遣いを渡されて買い物に来たという雰囲気を醸し出すことにした。そうすればカツアゲされないのだ。
さらに数日が過ぎて、彼女の状況も落ち着いたころに僕は作戦を実行した。手ごろな段ボールを用意し、深夜に彼女の家の前に設置し、犬の姿で段ボールに入っていた。そして、彼女に拾われるのを待った。
曜日は日曜日を選択した。平日だと職業訓練があるので、スルーされる危険性が高いと判断した。朝がきて、最初に玄関に出てくるのは彼女の母親だった。朝刊が届くのでそれを取りに出てくる。
彼女の母親が僕を見つけて目と目があった。彼女の母親は彼女と同じく黒髪のストレートヘアだった。スタイルも良く顔も30代と行っても通用するぐらいだった。
「酷い事するわね~」
そう言って、僕を拾った。彼女に拾われる事を想定していたが、彼女の母親に拾われた。まあ、それでも良いかと思った。
「あら?この子、とても綺麗ね。前の飼い主、それなりに手入れしてたのかしら……」
僕はちゃんとお風呂に入って来た。使い捨てのお風呂道具一式を買って、銭湯に入った。なので、体は綺麗だった。僕は台所に連れて行かれた。
「さあ、お腹空いてるでしょうからこれでもお食べ」
そう言って彼女の母親は鶏肉のササミをゆでたものを平たい皿に出してきた。僕は大人しくそれを食べた。
「もう乳離れしているのね。これなら、育てられそうかしら」
そんな事をしているうちに、彼女の父親が起きて来た。彼女の父親は清潔感のあるナイスミドルだった。髭などは綺麗に剃って髪は短く整えていた。サラリーマンといった風体だった。
「なんだ、その犬は?」
「家の前に捨ててあったの、飼ってもいい?」
「ああ、良いよ」
「名前は黒いからクロちゃんね」
僕はワンと鳴いて答えた。
「飼うのは良いがなんで飼う気になったんだ?」
「あの子、気丈に振舞ってるけど、無理してるのよね」
「そうなのか?」
「だから、気分転換になればな~ってね」
「そうか、いい案だ」
「よろしくね。クロちゃん」
僕は任せてとばかりにワンと鳴いた。そんな会話をしていると彼女も起きて来た。パジャマ姿の彼女は美しかった。長い黒髪は後ろで束ねていた。
「なに、その犬?」
「さっき、家の外に捨てられてたのを拾ったのよ」
「そう、可愛いね」
彼女は笑顔だった。だが、少し違和感があった。
「抱いてみる?」
「うん」
彼女は笑っているが元気が無かったのだ。僕を抱き上げて撫でる彼女。僕は身を任せた。
「大人しい子ね。それに、毛並みも綺麗」
「そうでしょ、捨てられていたから汚れていると思ったんだけど、捨てた飼い主もきっと犬好きなのね。引き取り手が無かったから仕方なく捨てたんだろうね」
「名前は決めたの?」
「黒いからクロにしようと思うの」
「良いと思う。よしよし、クロ。よろしくね」
僕はワンと答えた。少しだけ彼女が元気になった気がした。
それから数日、僕は犬として飼われ、彼女とその両親と過ごした。このまま、彼女が元気を取り戻して、新しい彼氏を作って幸せになる。そう信じていた。だが、一通の手紙が全てを台無しにした。
母親が朝刊を取りに行った時、新聞と一緒に入っていた手紙を見つけてしまった。それを父親に相談する。
「ねぇ、あいつから手紙来てるんだけど、どうしよう。せっかく元気になってきたのに……」
「中身を確認して、それから渡した方が良いか××に聞こう」
彼女がいつも通りにパジャマ姿で現れた。その日は休日だった。
「ねぇ、あいつから手紙が来てるんだけどどうする?一度、私が目を通そうか?」
彼女の母親が彼女にそう聞くと、彼女は少し考えて答えた。
「大丈夫、自分で読んで判断する」
彼女は、大丈夫そうに見えた。朝食を終えて、僕を撫でてから二階の自室に戻った。暫くして彼女は、手紙を二通もって外出した。そして、ポストに手紙を投函し帰ってきた。
「あら、おかえり。早かったわね」
「うん、手紙を出して来ただけだから」
「あいつへの返事?」
「うん、手紙にふざけた事、書いてたから文句の手紙書いて出した」
彼女は怒っているようだった。
「やっぱり、渡さない方が良かった?」
「いいえ、渡してくれて良かったわ。あいつに言い返すことが出来たんだもの」
そう言って、笑った彼女はどこか猟奇的だった。
「そう、それなら良いけど」
「あ、そうだ。母さん。私、今日はゆっくりしたいから、今からお風呂入っても良い?」
「ええ、いいわよ。お風呂でリフレッシュしてらっしゃい」
「ありがとう。お母さん」
そう言って、彼女はお風呂に行った。僕と母親はリビングでテレビを見ていた。それから、2時間がたった。
「あら?いつもより、長いわね。のぼせてなきゃいいけど」
そう言って、彼女の母親は、お風呂に様子を見に行った。
「××、大丈夫?のぼせてない?」
その問いに返事は無かった。
「ちょっと、大丈夫?」
彼女の母親が風呂場のドアを開ける音がした。
「いや~~~~~。××!××!どうして!どうして~~~~~」
母親の悲鳴に、書斎で本を読んでいた父親も降りて来た。僕も何事があったのか見に行くと、彼女は服を着たまま、リストカットして死んでいた。その服は、僕との初デートで着ていた服だった。白いワンピースにピンク色のカーディガンを羽織っていた。
「とにかく、救急車だ!」
父親はすぐに電話をした。僕はとっさに彼女を助けようと思った。
≪スキル『愛の奇跡』の条件を満たしました。魔法『蘇生』を獲得しました≫
魔法は獲得したが、僕は魔法を使えなかった。理由は彼女が自殺したからだった。自殺したものを生き返らせるという事は、自殺者の意思を無視するという事になる。彼女は自ら望んで死んだのだ。僕に出来ることは何も無かった。
父親が急いで救急車を呼んだが、彼女は病院で死亡が確認された。死因は失血死だった。
彼女の葬儀が終わり、遺品の整理が始まった。そして、僕はあいつが彼女に送ってきた手紙の内容を見た。表向きは彼女への謝罪文だった。だが、三列目を縦読みすると、そこには反吐が出る言葉が書かれていた。
「君には俺が必要だ出所したら迎えに行く愛している」
僕は彼女の死んだ理由が分かった。そして、彼女から両親宛に手紙が届いた。それは、遺言だった。
「父さん母さん。先立つ不孝を許してください。私はあいつが許せません。だから、あいつが一番苦しむ方法で復讐する事にしました。私は○○さんの元へ行きます。私の事は嫁に行ったと思って忘れてください。あの世で○○さんと幸せに暮らしたいと思います。本当にごめんなさい」
手紙を受け取った両親は悲しんでいた。
「そうか、行ったか。今度こそ幸せになるんだぞ」
父親は天を仰いでそう言った。
「花嫁姿を見れなかったのは残念だけど、あの世で○○さんと幸せになるんだよ」
母親はそう言って泣いていた。
彼女が何故、デートの日の服装で自殺したのか理由が分かった。彼女は僕とあの日の続きをする為にあの服装で死んだのだ。
僕はある覚悟を決めて警察署の屋上いた。『千里眼』を使って拘留中のあいつの居場所を特定する。あいつは手紙を読んでいた。それは、彼女の出した手紙だった。その内容は一見すると「反省をしているのは分かったが、それでもあなたを許すことは出来ない」という内容だった。
過激な表現は無く、普通の文章に見えた。だが、こちらも三列目が縦読みできるようになっていた。
「死んであの人と一緒になります。さよなら」
それを読んであいつは放心していた。僕は犬の姿のままで、魔法『透過』を使って、あいつが拘留されている部屋に侵入した。
僕はあっちの世界で何人も人間を殺してきた。それは、アンネの為であり自分の為に殺したわけではなかった。だが、こいつは僕の感情で殺す。これは、ただの復讐だった。善意で成す殺人ではなく、悪意でもって行う殺人だった。
僕を見てもあいつは放心していた。僕は構うことなく魔法『黒の剣鎖』を発動した。そして、僕がやられた事をゆっくりとそのままあいつに行った。あいつは泣きわめいて命乞いをしたが無視して最後までやった。
途中、異常を察して止めに入ろうとした警察官は魔法『結界』で防いだ。光り輝く壁を警察官は警棒やら椅子やら消火器やらで壊そうとするが、その程度では破壊できない。警察官の見ている目の前で、僕は殺人を完遂した。目的を達成した後で魔法『空間転移』を使って、彼女の家に戻った。
彼女の母親が僕を見つけると、心配そうに聞いてきた。
「クロ、どこに行ってたの探したわよ」
「ごめん。××さんの自殺の原因があいつの手紙だったから、あいつを殺してきた」
僕は念話で答えた。
「え?なに?今のクロがしゃべったの?」
「そうだよ」
「ちょっと、あなた来て」
「なんだ、どうした?
「クロが、クロがしゃべったの」
「何を言ってるんだ?」
彼女の父親もやってきたので二人に念話で話した。
「××さんのお父さん。お母さん。僕は○○が転生した犬です。信じられないかもしれませんが、僕は××さんが寂しくないように犬の姿で側に居るつもりでした。ですが……」
そこから、先は辛くて言えなかった。
「本当にしゃべっている」
父親は驚いていたが、母親は自分だけが聞こえているのではないと確信すると状況を受け入れた。
「さっき話した事は本当なの?」
「うん、あいつを殺してきた。今日のうちにニュースになると思う」
「殺した?どうやって?」
父親は混乱しながらも質問してきた。
「説明は出来ない。でも、ニュースにはなるから信じて欲しい」
「あいつの手紙が原因で××が自殺したって言ってたけどなんで?」
「三列目の文字を縦読みして見れば分かります」
僕がそう言うと母親はあいつの手紙を持ち出して文字を追った。そして、手紙を持つ手が震え、涙を流した。それを見た父親は母親に手を差し出した。母親は手紙を父親に渡した。そして、父親は怒っていた。
「本当に殺してくれたのね」
母親が確認する。
「本当だよ。僕はあいつを許せなかった」
「ありがとう。○○君」
「いえ、いいんです。結局、僕は彼女を救えなかった。僕は僕の代わりになれなかった。あいつを殺したのは八つ当たりの様なものです」
「いや、君は正しい事をした。あんな身勝手で反省もしないクズは同じ事を繰り返す。だから、君が殺してくれて良かったと思う。あいつが、出所後に起こしたであろう悲劇を未然に防いだんだ。それに、私の事も救ってくれた。これで、あいつが何事もなく十数年後に出所してたら、私が殺人犯となっていた」
父親は、そう言ってくれた。
「だが、本当に残念だよ。あいつが居なかったら、この家で君と娘と一緒に酒でも飲みながら結婚の報告を聞いていたかもしれないと思うと……」
そう言って父親は泣いてくれた。
「本当にね。こんな、優しい人だったなんて……」
母親もそう言って泣いてくれた。
「いいえ、僕は優しくなんかないですよ。だって、あいつを殺す時、僕は優しさなんて持ってなかったんですから」
「いや、それも優しさだよ。君は社会に害悪をバラまく害虫を駆除したんだ。そこに慈悲は要らない」
「ありがとうございます。お義父さんと呼ばせて頂きたかった」
これは、僕の本心だった。だが、それはもう無くなった。
「すみません。僕は、もう行こうと思います」
「ああ、良いとも。娘の事で色々してくれてありがとう」
「○○君、もし来世があるのなら娘をよろしくね。あなたを追って逝ったのだから」
「分かりました。もし、来世で会う事があったら、その時は必ず幸せにします」
「ありがとう。○○君。君の幸せを願っているよ」
「お二人とも、どうかお元気で」
僕は魔法『異世界転移』を使用して、アンネの世界に戻る事にした。僕を中心に球形の魔方陣が現れた。




