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4話 ゴブリンの巣

はい、ようやく4話目です。お待たせしました!待たせましたよね?まぁ、テスト前にもかかわらず急ピッチで仕上げた物なのでクオリティは低いですが、まぁ、投稿しただけよしと言うことに!それではどうぞ!

「よし、着いたぞ。ここがゴブリンの巣だ。」

「へぇ、ここが?でもなんか普通の洞窟みたいだよ?」



 出発から2日と半日、予定よりも半日も早く目的地に到着した。その間盗賊が襲ってくると言うことも無く、平和にここまで来ることができた。



「まぁ、初めて見たときはそう思うだろうな。でも、慣れてきたら違いが分かるさ。まず、ゴブリン特有の臭いがかすかにする。ドブ川のような嫌悪感のある臭いだ。分かるか?」

「う~ん?わかんない。」

「ドブ川よりも、水浸しの服をそのままにしておいたような生臭いような臭いですね。」

「良い例えだな。」



 事実ゴブリンは雨風に晒されても、血に濡れても清潔感を保つようなことはしない。そのため凶悪なゴブリンは血の臭いが強くなり、普通のゴブリンは生臭いような臭いがするのだ。


 その個体が数十、百と巣の中にいたらどうだろう。巣の中からかすかに気持ちの悪い臭いがするのだ。



「何でゴブリンの巣は洞窟に似てるの?建物にすれば良いのに。」

「そうなったらゴブリンは食料を取れないだろ?洞窟にするから雨風をしのぐ冒険者や動物が入ってくる。そしてそれを襲うんだ。」

「でも、臭いから普通は気づかれますよね?」

「雨が降る日。それも夜となれば不安で臭いなんか嗅ぎ分けられなくなる。さらに脅かせば相手はすぐ行動できない。それを上手く使ってゴブリンは生き延びる。」



 冒険者の死因はドラゴンのような強い魔物と戦うことでも、裏切られることでも。ましてや事故や災害で死ぬことでもない。避難の為に逃げ込んだ先がゴブリンの巣であること。それがおおよそ7割を締める死因になっている。


 Sランクパーティーでも精神が不安定なら安定した連携が取れず、自爆するし、ランクの低い冒険者ならそもそも武器を持つことさえできない。



「ゴブリンって賢いんだねー。」

「いや、これはずる賢いが正しいと思うよ。」

「さてと、じゃあ突入する前に、班を分けよう。」

「班?」



 俺の言葉にアカリは首をかしげる。おおかたなぜ班を分けるのか。と言うことだろう。



「そうだ。全員が入ったらここの守りが薄くなるだろ?だから2班に分かれる。ルシエラさんもそれでいいか?」

「ええ。構わないわ。……私一人で護衛でも構わないけど。」

「いや、それは悪いし。」



 確かにルシエラさんの実力なら一人でも大丈夫だろう。この人魔法四つを完璧同時に放てるし。いや、ハイエルフだから当然か。



「私が洞窟に入ると魔法の威力が高すぎて崩れるのよ。だから、私は外で護衛の方が良いの。」

「でも一人じゃ危ないだろ?」

「?ドラゴンが来ない限り大丈夫よ。」



 何この人。異世界召喚された人達なの?ドラゴンまでなら1人で相手できるって、ほとんどの魔物1人で倒せるじゃないか。いやしかしもしものことがあっても困る。でも2人とも連れて行かないといけないし。



「2日にかけて突入では駄目?」

「それがあったか。」



 俺としたことが盲点だった。別に一回の襲撃で倒しきらなくても大丈夫なんだ。期間は二週間あるし、別にそれ程急ぐ時間でもない。


「じゃあ、先に俺とゴブリンの巣に行きたい奴。」

「はい!」

「僕は後で構いません。」



 どうやら一番始めはアカリと行くようだ。よく考えてみれば練習は基本アイラとやっていたからアカリと2人というのは初めてだ。



「それじゃあ行くか。」

「楽しみ。」

「油断するなよ。」



 気楽な考えを持つアカリは心配だ。油断したところを後から攻撃されるかも知れない。そのため俺は常に索敵魔法「サーチ」を発動しておく。



「アカリ、お前は回復魔法使えるか?」

「うん!全部の属性使えるよ!」

「…凄いな。さすがだ。」



 アカリが全ての魔法を使えるなら良かった。少なくとも回復魔法だけでも使えてくれなければ俺の命が危ない。本来ゴブリンの巣の殲滅は1パーティで行くものではないからな。


 ならなぜ1パーティで行くか。それは二人に集団戦に慣れて貰うためだ。二人は魔王を倒す旅に出ることになる。ならば魔族の集団に襲われる可能性もあるわけだ。だったら魔物の群れで多対一の戦いに慣れてもらわなければならない。



「あ、あそこにゴブリンがいる。」

「よく見つけたな。アレは見回りだな。見つかる前に殺せば仲間を呼ばれる心配はない。やってみるか?」

「…。うん。やってみる。」

「分かった。ほれ、ナイフだ。これをゴブリンの後から首を切ればバレずに倒せる。頑張ってこい。」



 アカリの肩を少し叩き、送り出す。その間に俺はサーチの範囲を広げ、情報を細かく見ていく。今周りにゴブリンは4体しか確認できていない。


 恐らく地下深い所に集まっている。



「スー、ハー。…よし。」



 俺はアカリの動きを観察する。アカリは極力足音を立てないようにゆっくり歩いて行く。残りあと10メートルほどだろう。ジワジワと距離をつめる。


 そして、後2メートルの所でゴブリンが気付き、鳴き声を上げようとした。アカリはバレたことに少し体を硬直させた。仲間を呼ばれては厄介だ。下手をすれば地下の奴らが大量に湧いて出てくる。


 そこまで判断し、ロングソードを全力で投げる。もちろんアカリに当たらないようにして。ロングソードはゴブリンの眉間に直撃し、一撃で命を刈り取った。



「ドンマイ。次頑張れば大丈夫だ。」

「うん。」



 この後も俺はアカリに何度も不意打ちを決められるように指導していった。足音を立てないように、でも早く移動するにはどうすれば良いか。気配を完全に無くすにはどうすべきか。


 もはや聖女ではなく、暗殺者としてのスキルが磨かれているのは置いておく。気にしてはいけない。生き残れば勝ちなのだ。それに聖女のスキルとしてサポート系統が多いからな。実は暗さtゲフンゲフン。不意打ちに向いていたりもするわけだ。



「こんな感じ?」

「もう少し前辺りを狙えば叫ばれる可能性も下がるぞ。」

「うん!」



 無邪気なアカリに暗殺者のスキルを身につけさせるという事実に少し罪悪感を感じながらも、無事1度目の突入をクリアした。3回ぐらい仲間呼ばれて焦ったけどそこはやはり聖女。広範囲魔法により一瞬で殲滅していた。


 これ、もう俺いらないんじゃないか?



「ただいま。」

「お帰りなさい。早かったわね。」

「アカリが強すぎるんだよ。全く…。俺の出る幕はなかった。」

「仕方ないわね。職業上貴方は戦闘に不向きなんだから。」



 それを言われるとぐうの音も出ない。やはり適正的な問題で『学者』は筋力や体力といった物が成長しづらいのだ。戦士であれば1年で100メートルを4秒台で走れるとすれば、学者なら1年で13秒を切るか切らないかになる。だがこれは大幅に成長した場合で…だ。つまり、俺は本来王宮などに籠もって実験するのが望ましい生活の仕方なのだ。



「さて、次はアイラだな。準備できてるか?」

「はい。余り持ち運ぶ物もないので。」

「んじゃ、また頼んだ。」

「ええ。」

「行ってらっしゃーい。」



 アイラはバランスの良い戦闘を行える『勇者』である。しかし、まだ魔法は得意でないらしい。ならば、俺は集団戦の時は魔法を主体としてサポートするべきだろう。


 まぁ、集団戦の前に不意打ちの技術を教えるんだが。



「さて、アイラにはまずゴブリンを後から倒してもらう。このナイフでな。」

「…僕の剣ではダメなんですか?」

「あぁ。お前の剣は魔物特化だから魔物が弱ければ簡単に倒せてしまうだろ?それでは技術が身につかないからな。ナイフ1本で仕留めてもらう。狙うのは首だ。」

「分かりました。」



 剣が邪魔になっては困るため預かっておく。どうやらこの剣が勇者にしか振れないのは本当らしい。剣のサイズと重量が割に合わない。両手で振らなければ俺の肩は外れる。


 アイラの動きに問題は無いのか、身体強化魔法を目にかけて動きを観察する。普通こんな使い方する奴はいないが、できてしまったものはしょうがない。身体強化で目を良くすれば筋肉の動きまで分かるのだ。後で目が痛くなるのがたまにきずだが。



『何であたしをアイラたんから引き離すのよ。』

「しょうがないだろ?技術を身に付けなきゃ何時死ぬか分からない戦いに身を投じるんだから。」

『………。聞こえてるの?』

「じゃなきゃ返事しない。」



 勇者の剣が意思を持っていることは知っている。伊達に本を読んで勉強した訳では無い。冒険者になる前は本の虫とまで呼ばれていたのだから。古代語を解読したりエルフ文字を独学で習得したりもしたな。懐かしい。



『あなた、まさかユニーク職持ってる?』

「俺の職業は『学者』だ。てか少し黙ってろ。アイラの観察に集中できん。」

『あたしと話したい人間なんて大量にいるのに、何なのこの人。』



 ハイハイ。興味が無くて悪かったですね。俺が興味あるのは魔物の意思と生態、他には全種族の言語だな。まだエルフ語と魔族特有の言葉、人魚の歌の歌詞の意味とかしか分かってないがな。



「終わりました。」

「初めてにしてはなかなか良かったぞ。だが、もう少し早く近づかないと気付かれる可能性がある。」

『学者が勇者に指導…プフ。身の程をわきまえなさいよ。』

「レティ、僕の師匠をバカにするのは許さないよ。師匠はこれでも強いんだから。」

『さぁ?どうかしらね。』



 うへぇ、勇者の剣の癖して性格悪いなコイツ。まぁ、こういった伝説の武器は全て持ち主至上主義だから仕方が無いけど。アイラの目を見てみろよ。メッチャ睨んでるぞ?



『アイラがそこまで言うなら、手本見せてみなさいよ?もちろん魔法無しでね?』

「…はぁ。分かったよ。アイラ、ナイフを貸してくれ。」

「はい。」

「サンキュ。」



 面倒くさいが喧嘩を売られたなら買わなければ。特に勇者の剣に見限られたら俺の師匠生活は終わり、馬鹿にされ続けるのだ。絶対この剣、俺が失敗したら周りに言いふらすタイプの性格だし。



「あそこのゴブリンで良いか。」



 遠目に見えたゴブリンを狙う。しかし、俺らのいるのはゴブリンの前方。つまりこのまま近づけばすぐにバレてしまう。石を拾い、ゴブリンの背後へと投げる。



「ギッ?」



 物音に敏感なゴブリンは予想通り後ろを振り返った。と同時に足音無く、しかし鋭く駆け出す。ゴブリンまでの距離は20メートル。


 しかし、ゴブリンはすぐにこちらを向いてきた。当然俺の姿を視界に入れ、仲間を呼び出そうとする。



『失敗ね。』



 勇者の剣の声が聞こえたが、このくらい想定内だ。ナイフをゴブリンに向かって投げ、喉に刺す。



「ギァッ!?ガッ!」



 声が掠れ、仲間にはととか無かったようだ。ナイフが刺さり、ゴブリンの意識がそちらに行った瞬間相手の後ろに回り、右手を顎に、左手を額にかけ、一気に捻る。


 ゴギン!と鈍い音がしてゴブリンは倒れた。おおよそ2秒といった所か。師匠より遅いが成長はしているだろう。


 アイラの元に戻るとなんか目を凄いキラキラさせていた。



「で?どこが失敗だって?」

『ナイフで倒せてないんだから失敗でしょ?』

「ナイフ1本で仕留めてもらうとは言ったが、ナイフで殺せとは、言ってないぞ?使って良いのはナイフ1本と言う話だ。」

『屁理屈じゃない!?』

「この程度予測できなくてどうする?魔族はもっとずる賢い。裏をかくだけじゃなくて横に回り込んだり斜め下の作戦を立てたりしないと一筋縄じゃいかないぞ?」

『偉そうに。』

「お前が言うな。っと、大声を出しすぎたな。ゴブリンが湧いて来やがった。」



 後と前から20ずつのゴブリンが見える。アイラは剣を構え、俺は魔法を構える。


 ゴブリンから麻痺毒を塗られた矢が放たれた。



「『ヴェール』。」



 俺とアイラの周囲に風を纏わせ、矢を逸らす。その隙を逃さずアイラは一気に8体のゴブリンを倒した。俺もロングソードを構え、相手に突っ込む。



「師匠!」

「チッ!」



 後ろから向かって来る矢を剣で弾き、切り返しざまに4体の首を切る。同時に火属性と氷属性の魔法を乱射する。



「こっちは終わったぞ。」

「はぁ、はぁ。終わりました。」



 辺りに転がるのはゴブリンの魔石ばかりだ。ゴブリンの持っている毒矢も改修して、弓も集める。たまに良い掘り出し物ががあるんだよな。



「今回のは少し多かったな。そろそろ戻るか。」

「はい。」



 地上に戻ると2人はゆっくり話をしていた。というかその中に山賊のアイツや他の人質も混ざっていた。


 …いつの間に仲よくなっているのだろうか?



「ただいま。」

「「「「お帰りなさい!」」」」

「…これ、どういう状況?」



 ほら、アイラもなんか白目を向いて固まってるし。俺自身ゴブリンの大量発生の時より驚いてるし。



「仲よくなった。」

「さいですか。というか山賊、お前もか。」

「私にはルヒトと言う名前があります。」

「いや聞いてない。」



 まぁ、何も問題ないなら良いんだが。



「ルシエラさん、明日は俺とアイラとアカリの3人で巣の攻略するから頼んだ。」

「分かってるわ。」

「そろそろ馬車に戻れ。夜が来る。」



 そういって俺も馬車の中に入る。見張りはルシエラさんがやってくれている。ルシエラとの交代まで俺は一眠りした。どこが嫌な感じがしたのは気のせいだろう。

はい。こんな感じになりました。矛盾点とか誤字脱字があれば連絡下さると嬉しいです。それではまた次回!

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