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1話 勇者が来たようです

二話目です。相変わらずの駄文ですがよろしくです。

 朝早く目を覚ました俺はボロボロの宿を出て草原に向かう。草原にはなぜか魔物が近寄らないため、俺はよく準備運動と練習、筋トレをしている。といってもそんなに難しいものじゃない。


 毎日20キロ走り、全身の筋トレを500回繰り返し、素振りを1000回、技を200回、魔力の五つ操作を30分、そして魔法の練習を百回だ。戦士と言えども魔法は使える。魔力が少ないのが辛いところだが。



「ファイア。」



 火属性初級魔法を発動させる。指の先には拳サイズの火の玉が浮かぶ。これに似たものを五大属性分作り、縦横無尽に走らせる。おかげで火属性は形を、水属性は温度を、風属性は薄さを、雷属性は方向を、木属性は植物の柔軟さを自由自在に操れるようになった。



「さて、次は。」



 ロングソードを片手に持ち、思い切り左腕を落とす。なにをするのか。痛みに耐える?正解。恐怖を無くす?それも正解。だが違う。



「ヒール。」



 そう。回復魔法の練習だ。これは光属性の支援に入る初級魔法。傷を癒す力がある。俺はこの魔法について考えたのだ。周りの魔法使いたちは回復魔法を全身にかける。ならばそれを一点に集中させれば?回復力は高くなるはずだ、


 それを繰り返しているととうとう腕をくっつけられるようになった。しかし欠点もある。腕がなくなれば戻せない。それは再生魔法でしか治せないのだ。しかし、腕をくっつけられるかくっつけられないかでは格段に差が出る。だから俺は練習し続ける。



「今日は20秒で完璧にくっついたか。まずまずだな。」



 目指すは10秒未満。俺のランクならこれくらいの速さでくっつけられれば攻撃される前に体制を整えられる。用心しておいて損はないと俺の親父も言っていた。



「今日はこれくらいでいいか。」



 気が付けば朝日は少し高い位置まで来ていた。3時間ほど練習していたらしい。右手に串焼き状にしたリトルウルフの肉を持ち、食べながら帰る。途中肉食動物がいたため少し分けて帰ってきた。トラと呼ばれる生物だ。黒と黄色の縞模様が綺麗なため、貴族の絨毯として使われることが多い。やり過ぎれば四神の白虎が来るため要注意だ。



「ユーリアさん、何か依頼はある?」

「ありませんよ。というか自分で探してきてください。」



 相変わらずの冷たい反応に少し肩を落としながら依頼票を見ていく。端っこに張られるものほど割に合わない依頼となり、手を付けられないことが多い。俺はそれらを率先してやることにしている。貧しい人の依頼も俺の中では最重要の依頼なのだ。


 まぁ、楽しいからが大きな理由ではあるが。



「どこに行けば良いんだろ?」

「分からないよ。あ、そこの人に聞いてみれば。」



 若い男の子と女の子の声が聞こえ、その方向を向けば少年と少女がいた。この辺りでは珍しい俺と同じ黒目黒髪の少年だ。少女はこれまた珍しい紅い炎のような瞳と宝石のように蒼い髪だった。少年の腰には聖剣が。少女の手には女神の杖が握られていた。


 その2人は俺の方に近づいてくる。



「すいません、少し良いですか?」

「ん?いいが、その剣と杖、噂の勇者と聖女か?」

「はいっ!」



 思っていたよりもテンパることなく返事ができた。これが俺より年上の剣聖と賢者なら慌てて返事すらできなかっただろう。しかし、Fランクの俺に何のようなのだろうか。



「冒険者として活動したいんですが、どうすれば登録できますか?」

「あぁ、登録なら受付嬢に頼めばしてくれるぞ。案内しようか?」

「お願いします!」



 若いって良いなと年寄り臭いことを考えながらユーリアさんの元へ向かう。なぜ他の受付嬢の元へ行かないのか。それは俺が嫌われているからだ。能力値の低い俺は受付嬢のほとんどから避けられる。もちろん冒険者からもだ。


 嫌われ者の俺とユーリアさんが10年も関係を保つのは必然的なことだった。


 ユーリアさんは俺の姿を見た瞬間面倒くさそうな顔をしてため息をつく。



「さすがに顔を見た途端にため息はないだろ。こんないい男なんだから。」

「なら、もっと稼げるようになってから言ってくれるかしら?顔は悪くないけど収入で即落選よ。」

「性格悪いアンタに言われたくないな。」



 俺とユーリアは睨み合う。



「あなた、私がいなかったら依頼受け取れないのよ?」

「そう言うアンタだって俺がいなかったら即ここから追い出されてるからな?」

「私は性格をただせば大丈夫よ。」

「それができたら俺の相手などしないな。それに、俺だってやろうと思えばCランクの魔物も倒せる。」

「あら?あなたに気を遣う必要ないからこのままなのよ?Cランクの魔物倒せても大怪我の治療費で収入がなくなるから無理ね。」



 平行線な俺たちの醜い言い合いはオロオロしている2人の姿を見て収まる。水と油などユーリアさんと俺はいつもこのやりとりをする。もちろん油はユーリアさんだ。



「誰が油かしら?油臭い男のあなたに言われたくないわ。」

「知ってるか?男より女の方が体脂肪率が高いんだぜ?」

「それは体調を整える為よ?そんなことも知らないの?」

「油臭いのは男なら誰でもだぞ?臭いで言うなら香水つけるなよ。甘ったるい匂いが気持ち悪いんだよ。」

「それはあなただけよ。他の男性には人気なんだから。」

「そんなので人気ならお前は俺の相手なんかしなくて良いだろ?」

「そんなことできるならとっくにしているわ。」

「そうだな。お前の相手するのは俺しかいないんだもんな。ってそれはどうでも良い。この2人の冒険者登録をしてくれ。」

「分かったわ。あなたたち、字の読み書きはできる?」



 急に優しい受付嬢モードに入るユーリアさん。相手が子供だからか声のトーンが高くなっている。いつもああならかわいいんだがな。というかユーリアさんしれっと俺の心読んだような……。


 気のせいか。



「書けました。」

「はい。あら、あなたたちが勇者様だったのね。分からないことがあればあのおじさんに聞けば分かるわよ。」



 しれっと俺をおじさん呼ばわりするな。まだピチピチの20歳だ。それと冒険者の説明は受付嬢の仕事だろうが。サボるんじゃない。



「冒険者に聞いた方が分かりやすいでしょ?」

「それもそうだな。あと心を読むな。それじゃあ、冒険者のことを教えるぞ。」



 ひとまずテーブルを囲みイスに座る。俺はオレンジジュースを2人分と水を頼む。もちろん水は俺のだ。2人は申し訳なさそうな顔をするが、俺が奢ることにした。年下に払わせるほど俺の性根は腐っていない。男の魅力は腐り落ちてるらしいがな。ハッハッハ…ハァ。



「ご注文のオレンジジュースと水になります。」

「あ、ありがとうございます。」

「ありがとう。」

「ん、サンキュ。」



 飲み物が来たところでまずは自己紹介からすることにした。お互いのことを知っておかないと後々困るからな。



「まず俺からだな。俺の名前はルシフ・シャロ。貴族じゃないが名字は師匠の名から貰った。今年で20歳のピチピチイケメンだ。」



ブブー!!


 後から聞こえた音に俺は顔をしかめる。アイツはいつの間にか後ろに来て用意したのか。しかもこれは廃止された嘘発見魔道具じゃないか。人の手で押すため冤罪が多くなったといわれる。そんな者を使うのは一人しかいない。



「ユーリアさん、俺がイケメンじゃないのは理解したから早く持ち場に戻りなさい。仕事怠慢ですよ。」

「私、仕事があるようでないからいいのよ。」



 そう言い捨ててユーリアさんは持ち場に戻った。何がしたかったのか。気を取り直して自己紹介し直す。



「冗談はさておき、ルシフ・シャロだ。今年で20歳になる。ランクはFランクだが、10年間冒険者をしている。強くないが知識量は多い方だと自負しているからな。何かあれば質問してくれ。」

「僕はアイラです。14になります。勇者に選ばれたので、戦闘慣れするために冒険者になりに来ました。」

「私はアカリ!アイラの幼なじみで今年で14歳!聖女になったけど、なにをするのか分からないからご指導お願いします!」



 アイラはどことなく自信なさげな様子だ。だが見れば分かる。アイラは強い。今はまだ荒削りだが、磨けばそれもう凄まじい宝石になるだろう。


 逆にアカリは自信満々な女の子だ。真逆と見える性格だが、相性が良い。ツッコみがちであろうアカリはアイラが止め、自信のないアイラをアカリが引っ張る。この2人だけでも世界に通用するパーティーになるだろうな。



「それじゃあ、今から冒険者について指導するぞ。」



 人に教えるという初めての経験にワクワクしている自分がいることに気が付いた。最近は同じ事を繰り返すだけだったため、ワクワクというものは余りなかった。久しぶりだ。この感覚は。



「それじゃあ、まず冒険者の基礎からだ。依頼の方法だが、あそこに依頼票が張られている。真ん中にあるほど稼ぐことができたり、ランクが高い依頼だったりする。逆に端は稼ぎは少ないし、ランクの少ない人専用の物だ。」

「何で端は稼ぎが少ないものにするんですか?困ってるなら助けた方が。」

「アイラの言うことはもっともだ。だが冒険者はこの仕事一筋だ。なら稼げる依頼に行くのは当たり前なんだよ。俺は基本端の依頼ばかりやっているから感覚が分からないがな。最悪狩った魔物を換金せず、その肉を食べれば暮らしていける。」



 俺の発言に2人は気持ち悪そうな顔をした。確かに初めて聞いたらそうだよな。俺も始めはそうだった。しかし、以外と食べられる物だ。ゾンビ肉やスケルトンは無理だが。スライムは意外と冷やせばシャーベット状になる。無味無臭のため味を付ければジェラートのようになるのだ。



「次に集団。つまりパーティーやクランについてだ。パーティーは最低2人、最大8人までだ。その中で役割分担が必要になる。例えば前衛職でも騎士は防護、戦士は攻め。といった感じだな。魔法使いでも得意魔法があるから情報を交換しておけ。個人情報には気を付けろ。あとは周囲だな。特にお前らは勇者だ。何時狙われるか分からないぞ。」



 俺の知っている中では宿が特定されたエルフが男冒険者に襲われ、性のはけ口にされたと聞いたことがある。それ以来エルフは人間と友好関係を結ばなくなった。エルフは集団族。赤の他人でもエルフであれば家族同然なのだ。



「クランはパーティーの大きいものだと思えば良い。最低九人、最大40人までだ。依頼に行くときは8人パーティーになる。一番強いのはSランククランの『月明かりの宴』だ。クランは基本ドラゴンなどの高ランク魔物の集団も争うときに集められる。ここまではいいな。」



 2人とも頷く。物わかりは良いようだ。俺は何度聞いても覚えられなかったからな。師匠に何回飯抜きにされたか。



「最後は依頼の達成方法だ。依頼の達成には証拠品が必要になる。牙や爪、魔石などだな。数種類の討伐依頼なら全ての種族の素材が必要になる。素材は余分に持って帰ってくれば換金して収入にできる。ほとんどはそうしているな。」

「ルシフさんはどうしてるんですか?」

「俺は爪とか牙は換金するが、肉は貰っている。困ったときの非常食になるからな。ちゃんと調理すれば魔物も美味しいんだぜ。」



 そう言って俺はアイテム、マジックポーチから串焼きにしたリトルウルフを出す。マジックポーチはお下がりだが、性能は上から2番目のAランクだ。マジックポーチは中の時間は止まり、永遠に保存できる便利なもの。しかし数が少ない。


 俺は取り出した肉を2人にあげた。不安そうに見るので俺は同じものを出し、かじりつく。うむ。味噌ベースの甘辛いタレで焼いたため美味しい。



「私も。ハム!っ!!美味しい!!」

「本当?じゃぁ、ぼ、僕も。」



 一口食べてから2人は一瞬にして食べきってしまった。勇者だ聖女だ言っても中身は子供。無理する必要はない。美味しそうにおかわりを食べる2人を見て俺は姪っ子を思い出す。


 5つ上の兄の娘で、今は6歳。食べるときだけは俺に近づくんだよな。まるで小悪魔だ。兄の嫁に似ている。かわいいから許しちゃうけど。



「さて、簡単な説明は終わった。跡は実際にやるだけだ。取りあえず『スロタルボア』でも狩るか。」

「うん!」

「良いんですか?ここまでして貰って。」



 心配そうな目で見てくるアイラの頭を撫でて俺は返す。



「子供がそんな心配をするな。一度乗りかかった船だ。最後まで面倒は見る。お前らが俺に失望しなければの話だがな。」

「よろしくお願いします。」

「おう。」



 俺は依頼票をとる。内容はスロタルボア二20匹の討伐。その肉の納品だ。報酬は手に入れた肉の2割と1500ゼニー。安い報酬だが、今回はお試しだ。これくらいが丁度良い。



「ユーリアさん、この依頼で頼む。」

「分かりました。新人の指導頑張って下さい。ベテラン冒険者さん。」

「うっせ。お前も頑張れよベテラン受付嬢さん。」



2人で皮肉を言い合い、俺とアイラとアカリはスロタルボアのいる北の草原へ向かった。

暑い…暑くて集中できない。ですのでメッチャ投稿遅いです!え?だめ?そこをなんとか。


やっぱりだめ?そりゃそうですね。できる範囲で頑張ります。


次回もよろしくです

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