6.タイムリープした俺氏、【実弾】を集める為にド変態を飼いならすのコト。(下)
まったりイキます。
性犯罪者、と言っても、何処かのキモ男では無い。
丁度この頃、前世に於いてとある近所の公園で「痴女」に声を掛けられた記憶が蘇ったのだ。
そして、それから僅かばかり後、
ニュースに近所の公園が写った後、俺はものの見事に吹いた。
何しろ、逮捕されたのが、その時俺に声を掛けてきた「痴女」だったのだから。
そう言えば、この頃は逮捕された女性の性犯罪者、多かった様な気がする。
中学3年の男子とデキた挙げ句、彼のクラスメイトの女子二人と共に乱交に耽っていたとこを現行犯逮捕された女教師の話だとか。
家出した中学生男子を家に住まわせてた為に「誘拐犯」として逮捕された女の話だとか。
そう言うガチなのに比較すればややダメージは小さいものの、少年に無理やり裸を見せる系の痴女で、「猥褻物陳列罪」捕まったのだったか。確か執行猶予はついたが、実際生で観た事がある事と、彼女が「東大」卒業間も無い「美人」であったとニュースで報道された事から、記憶にしっかりと残っていたのである。
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どうして、こうなってしまったのでしょう?
私、大島桜子(24歳)は、間違い無く「勝ち組」になり得るべくキャリアを積み重ねて来ました。
東大法学部を優秀な成績で卒業。
無論、主席などとは言いませんが、それでもベスト20からは脱落した事もありません。
加えて、在学中に、司法試験と税理士資格を取得。昨年春からは、有名法律事務所にも在席し、順風満帆のスタートといった状況でした。ですが、たった一つ、そう。たった一つだけ予想を覆す不幸が私に降りかかったのです。
私の家は「貧乏」です。
北九州市の低所得者が住まう地域出身の私は、両親と弟、妹、弟、妹の計7人家族。近所の川原で食べられる草を刈って来て空腹を紛らわせるのが幼い頃からの日課でした。
そんな私に転機が訪れました。
実家には無いテレビを見せて貰うのが日課となっていた私と兄妹が友達の家で見たテレビの番組。そこに出ていたとある人物の「一言」が、私の進路を劇的に変えたのです。
『貧乏人でブス、デブ、チビこそ【東大】へ行け!!』
天啓を受けたかのように、私はこの日を堺に人が変わったかの様に「勉強」を頑張りました。
高校を卒業する頃には、河川敷で拾った「東大」の赤本をマスターして、入学試験対策はほぼバッチリと言う状況でした。
ですが、私、と言うか、私の家族も含めて、ですが、ハッキリ言ってナメてました。
「東大」に入学して卒業するまでにかかる費用と言う物を。
結局、高校の進路指導の先生を始め、色々な人に相談した結果、私は奨学金を利用することに決めました。
日本学生支援機構の第一種と第二種を併用して最大まで支援を受ける事にして、月に16万5千円を毎月受け取り返済は卒業後からと言うものです。
ですが、此処で計算違いが生じました。
入学金に関しては、私は父から「心配するな!」と言われていた為、入学時割増の制度を利用しませんでした。
ところが、入学直前に、タクシー運転手をしていた父が交通事故で帰らぬ人となりました。悪い事に父の方が「加害者」側となっていた為、一生懸命支払って来た保険も、相当減額されての支払いとなり、実家の家族の為のお金はともかく、私が東大に入学する為の「入学金」は工面するのも難しい状況になりました。
結局、入学金は、地元信用金庫の個人ローンで工面して、私は念願の「東大」生になる事が出来たのですが、私はその金利の格差に愕然としたものです。
結局、卒業までの間、返済を遅らせる事が出来たのは良かったのですが、「奨学金」全体の金利と「入学金」の利息がほぼイコールと言うめちゃ高い金利に私は目の前が真っ暗になる気分を味わいました。
そして、卒業後、私は先に申し上げた様に、都内の大手法律事務所に就職しました。
そして、初任給の明細を見た時、絶望を感じました。
所得税分を除く手取りが14万8千円。そこから先ず奨学金の支払いが約4万8千円。これが毎月均等に15年間支払われます。慈悲はありません。更に、入学金の借入分の返済が、最低レベルまで月の支払いを下げて2万4千円。計7万2千円が何もしなくても毎月出ていきます。
実質手取りは7万6千円。そこから家賃3万6千円を引くと、残金僅か4万円。毎月16万5千円が支払われていた学生時代と比較しても、圧倒的にお金が足りません。
そんな中、私はパートナーとなった先生と都内をクライアント巡りしますが、これも交通費は自己建替え。一ヶ月1万生活を頑張っても「足」が出そうな貧乏っぷりです。
見兼ねたパートナーの先生が、私にこんな提案をしてきたのは、移動中に貧血で倒れて駅前のロータリーで休んでいた時でした。
「流石に今の状況は仕事にも差し支える。良かったらボクが君に援助してあげてもいいんだよ? なに、大した見返りなんて求めないよ。たまにボクと一緒にホテルに入って気持ち良くしてくれれば、他に何もいらないから」
先生のその提案に私は泣きました。
先生は感動して泣いた物と勘違いしていた様ですが、真相は違います。
私は、ただ、「東大」を卒業したら、貧乏な人間でも「幸せ」になれると信じて頑張って来たのです。
なのに、努力して東大を卒業した結果、行き着いた先が「コレ」とはあんまりです。
先生は良い人ですし、私を女として求めてくれるのも全く嬉しくないかと言うと、そんな事もありません。
ですが、先生は「デブ」「チビ」「ハゲ」の三大苦です。ハッキリ言って「無理」なんです。
私は「ちっちゃい男の子が大好き」なのです。「ちっちゃい男の子が大好き」なのです。
大事な事なので2回言いましたが、ある意味その為に頑張って来たのです。
少なくとも「デブ」「チビ」「ハゲ」の油ギッシュな中年男に抱かれる為じゃありません。
結局、その日は私の様子が厳しいと判断したのでしょう。先生は私にそれ以上の判断をさせずに直帰を命じて解散となりました。
一人、電車で最寄り駅の東高円寺駅で下車した後、近道となる蚕糸試験場公園を通り抜け、ボロアパートへと向かう途中、公園のブランコから飛び出した男の子が、シュタッ! と私の前に着地しました。
「やあ、お姉さん。貴女が通るのを待っていましたよ」
にこやかにイケメンに微笑みながら、他の誰でも無く、間違い無く私に問い掛けたとってもかわいらしい美少年の笑顔は、吸い込まれそうな程美しく、そして何故だか、とってもとっても「凶悪」なモノに見えました。